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人狼の教科書がほしい

はじめに


人狼ゲームに網羅的な教科書があればいいのになあと考えていたことがある。軽めの入門書なるものは存在しているらしいが物足りなさは拭えない。私もそうだが多くのプレイヤーは実践の中で人狼ゲームの本質を学び、理解を深めていることだろう。
しかしながら、ある程度経験を積んだプレイヤーにとっては役職ごとの細かい適切な動きや奥が深い多様な進行について明確な方向性のようなものがあれば役に立つような気がしていた。

ボードゲームとして有名な将棋には定跡が載っている棋書があり、麻雀においても牌効率の本なども存在している。
人狼ゲームにおいても最低限の基本事項が存在しており、その裏をかく奇策などが存在しているにせよ基本的なセオリーを理解しておくに越したことはない。
セオリーを理解したうえで当該村における具体的な事情を要素にセオリー外の行動や推理への応用を図ることでより進展性が生まれうると考えるからだ。

そのため、誰かが人狼の教科書を書いてくれないかなあなどとぼんやりと思ったことが往々にしてある。
無論、自分で書くには億劫である。
というのも、果たして自分なんかが教科書という名目で正しさを押し出したものを押し付けて良いのか、このゲームの本質に反するのではないかといった懸念が存在するからである。あと、単純に時間がかかりそう。

人狼の教科書の目次

さて、書くのは億劫とは言ったものの、どのような内容があると私自身が嬉しいかという内容を目次形式で想像してみたい。

  1. 人狼ゲームとは

  2. スタンダードな配役について

  3. 用語説明

  4. 各役職の能力について

  5. 進行論

  6. 襲撃論

  7. 推理論

ぱっと思いつくのはこんな感じだろうか。以下それぞれについてさらに細分化した内容の理想を少しだけ考えてみる。1,2,3については省略。

各役職の能力について

占い、霊能、狩人、共有者、猫又、狂人、狼、狐、狂信者、背徳者のスタンダードな役職の能力と実際のリーディングケースを通じてどういう動きが適切か問題形式で考える内容が理想である。
例えば、狂人の動きについて①占い騙り、②霊能騙り、③潜伏狂人のうち、③の潜伏狂人が基本的には狩人COをすることが悪手になりやすいといった基本的な部分について理解していない人が多いように見受けられる。

なぜそうなのかを具体例とともに考える内容や例外的に狩人COをする必要性がある場面の検討などあれば役立つように思う。

実際に各役職の動きについて細分化された内容をリーディングケーススタイルで記述するのであれば相当の分量となってしまうだろう。

進行論

ここではCO状況の編成ごとの進行論の検討となるが、霊能ローラーや占い決め打ち、ライン戦やLWCOの可否、飼い狼進行、パンダ吊りの可否、相互占い、PET進行、狩人の護衛指示といった多岐にわたる論点について詳述する必要がある。

襲撃論

狼として噛みを考える場合に、信用勝負や占い即噛み、ベグ噛み、ボルコン噛み、漂白噛み、意見噛み、呪殺対応噛みや噛み合わせでの灰コントロールなどメリット、デメリットの検討がメインとなるだろう。

推理論

プレイスタイルにもよるが大きく分けて単体考察と盤面考察に分けて論じることになる。また、そのハイブリッドのプレイスタイルも多いだろう。

盤面考察においてはCO状況や噛み考察、投票結果やCOタイミング、狩人の護衛先や占い結果によって囲われているかなど多様な要素をもとに導く手法である。

単体考察においては、視点漏れしていないか、発言に違和感がないか、論理矛盾が存在しないか、雰囲気や姿勢、村に有益な提案をしているか、狼利の言動をしていないか、人物像分析からの行動との不一致がないかなど、ある種直観由来のものが多く存在する。

人間には危険察知能力というものが存在しているし、なんとなくおかしいなという人に遭遇した際は言語化できない理由が付随したりすることがある。
そして、直観というのは意外と馬鹿にできず実際に正しかったりすることが多いという経験はないだろうか。
そのような直観での成功体験が多ければ多いほど単体考察スタイルになりやすく、そうでない場合は盤面考察スタイルになりやすいような気がしている。
ただ、実際には両者は不可分に結びついているものと考えられ、狼に投票していたとしても当該人物の性格傾向から身内投票していそうだなと感じたりすることは否定できないように思う。

終わりに

人狼の教科書がほしいとは述べたものの、今のところ実践に優る教科書はないという気もしている。同村者や観戦者の集合知を知ることで一つずつ身に付けるほうが血となり肉となるスピードは速い。
その意味で、仮に教科書的なるものの内容としてはリーディングケースの具体的な事例検討スタイルの文章にするのがベストなのではないだろうかという気がしている。

私が大学で法律学を学んでいた際に、いろいろな基本書に触れたが実際の事実関係が存在する判例を簡略化した事例の設問が最初にあり、そこからどの条文が問題となるか適示し、法的解決を試みるかといった流れで説明していくスタイルの基本書が最も読みやすく感じたという経験があったからだ。
事例のようなものが書かれておらず、ひたすら説明的な文章は私には難解でイメージが湧きにくかった。
この経験からわかりやすい文章にすることの難しさとイメージを湧きやすくさせる大切さを感じたのである。

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