大人になってから絵が描きたい人のための三ヶ月上達法の前準備



注意

・キャラクターの絵が描きたい人のための記事
・三ヶ月上達法をベースにしてます。イラストレーターのさいとうなおきさんが紹介しているものなので詳しくはこちら

・この記事でいう「絵が上手くなる」という言葉は、デッサン崩れがなくなったり、線が上手く描けるという意味
・線画が上手くなるまでの話が中心なので、塗りの話ではない

この記事の目的

参考にしている絵描きさんの線、絵柄に近づけるようになる。

最初に話しておきたいこと

ここは大人になってからキャラクター絵を描けたらいいな、って人のための記事です。というのも自分自身二十歳を越えてからキャラ絵を描き始めたからです。
ここ数年youtubeでのイラスト講座が増えてきて、それに色々自分の考えを混ぜ込みながら考えた説をこの記事で書いていきます。

三ヵ月上達法、これは他のイラストレーターもオススメと言っているようにかなり効率的だと思いますのでこれをしていくためのお話。

そもそも絵が上手くなるためにはたくさんの【気付き】というものを得ることが大事です。
すごく極端で簡単な例を人体で挙げると、上を向いている時のアオリ顔だったら耳は目よりも下の位置、下を向いている時のフカン顔だったら耳と目の位置関係はまた変わります


作家さんによって違う「〇〇している時の〇〇は〇〇」という気付きを得て絵に取り込むことで上手くなっていきます。そのために模写をするとそういうところに気付きやすくなるんですね。

なので模写は大事っていう結論です。
だから模写を頑張りましょう………って話をしたいのではないのです。

模写は最初に出来なくて当たり前

そもそも模写出来ますか?
横に参考にする絵を置いて、それを見ながら描いて誤差は1mm程度に収めるくらい正確なものを描けますか?
ほとんど無理でしょう、それは当たり前です。

でも現職のイラストレーターはこう言うんです
「もっと見ながら描いて」
「努力してないでしょ? 努力してたら描けるよ」
「化け物生み出してるって」

私はこれを言われてきた側ですので安心してください。気持ちは分かってあげられます。頑張りましょう。

子どもの頃から絵を描いてきた人たちとの差

ところで、そもそもなんで現職のイラストレーターはこんなことを言ってしまうのかというと、あくまで想像なんですけど
模写をするための目の力、っていうのが特殊能力だと気付いてないんです
誰もが見ながら描けるって思ってるから言うんです

じゃあ更に、なんでそう思ってるのかというと子どもの頃から絵を描いてきたからなんです。

子どもの頃から絵を描いている人って今と同じような絵を描いていたわけじゃないんです
でも「上手いね」「すごいね」って言われてたんです。
それは「見たものをそのまま描ける」から言われるんです。

手をその通りに描けたら「上手だね」って言われて
花をその通りに描けたら「すごいね」って言われて
漫画のキャラをトレース並に似せれたら同級生から「すげー!!」って言われるんです。

子どもの頃から絵を描いてきている人たちは、まず鉛筆一本で見たものを描けるようになるまで努力出来た子どもだったんです。

でも知っての通り、手をそのまま描けても、花をそのまま描けても、何かのキャラをトレース並に描いても、Twitterではいいねされないんです。
ネット、あるいは大人になってからだと「絵で表現する」ということが評価されるからです

大人になってから絵を描きたくなった自分のような人は
絵で表現したくて一から始める人
子どもの頃から絵を描いてる人たちは
見る力が備わっている状態で、絵で表現しようとしてる人
ここの差が出ます。
つまり、子どもの頃から絵を描いてる人たちは上手くなるための模写をしてくださいと言われたら、すぐに出来て、気付きをたくさん得てレベルアップしまくるんです。

でもそれは逆に言うと、大人になってから絵を描き始める人は、見る力さえ備われば模写から得られる気付きによって同じように上手くなるんです。
見る力を鍛えること、それが上手くなるための最短距離です。

改めて整理すると
絵が上手くなるためには三ヶ月上達法が大事。
その為に参考にする絵の模写をして、気付きを得る。
その為に正確な模写を描けることが大切。
でも、模写をするにあたってほとんどのイラストレーターは「よく見て描いたら出来る」と言う
その人たちは遠い昔に鍛えた目の力があったから

なので、目の力を鍛えて、模写をして、気付きを得て、昔から絵を描いてた人と同じようにより効率的な三ヶ月上達法を繰り返して上手くなろう、という話。

タイトルにある、三ヶ月上達法の前準備というのは目の力を鍛えるためのトレーニング法の紹介、その記事です。

180秒ドローイング

ご存じの人も多いですね。
ポーズマニアックスというサイトにあるドローイングを行いましょう。
設定は男性女性はどちらでもいいです。時間は180秒or90秒。難易度はかんたんからでいいと思います。

ただそのまま描き写すのはレベルが高いので、今から書くポイントを抑えて取り組んでください

シルエットを作る
キーポイントを探る
角度を見る
筋肉は描かない
そして、シルエット、キーポイント、角度を使って
【どう描いたら、再現出来るのかを常に考える】

本来30秒ドローイングは人体の速写、クロッキー能力を高めるためのものなのですがそういう使い方は絵の初心者にはまだキツいです。初心者からレベルアップして初級者って言えるレベルになってからやり始めましょう。
同様に筋肉の膨らみなどは、人体を描いた時の説得力が出るためいずれは描けるようになりたいですが今はいいです。

シルエットを作る

モデルを見たら、全体的に見るとこれは細長いな、これは四角だな、これは三角形だなくらいでいいです。
ただそのモデルを描く時の一番頂点の部分と、一番底辺の部分(あるいは一番左側の部分と、一番右側の部分)を見てこれくらいのシルエットで収まりそうだな、と意識してシルエットを作ってください。また、しばらく描き進めてちょっと違ったなと思ったら、シルエットを作り直せばいいので最初はふわっとシルエットを作ってください。

キーポイントを探る

モデルを見て、頭の傾き具合、顔の向き、鎖骨と肩の位置、中心線、肘、手、足の付け根、股間、へそ、膝
主に関節や頭。体の開き具合を、シルエットを元に点などをつけていってください。
モデルを遠くから見たりするとなお良い。

後で直すのですがこの時点で自分は左肘と左足の距離がおかしいです、それでも描き進めてます。

角度を見る

両肩のキーポイントを結んだものと、実際のモデルの両肩を結んだものとの線は同じ角度かどうか
頭から胴体にかけて首はどういう角度をつけているか。
胸は、腕は、お腹は、腰は、足はどういう角度か、というものを
モデルをちゃんと真正面から観察して、そして描く時もキャンバスを真正面から見て
同じ角度になっているかを逐一確認しながら角度をつけていきましょう


自分は虫めがねでズームインしたりズームアウトしたりしながら描きました。
順番としては顔の向き、顔に面してる左肩を少し、左腋からくびれまでの曲線、腰から左足の太もも、左足のふくらはぎ。
不透明度を下げたキーポイントを参考に右胸、お腹、腰、右足の太もも、股間、右足を全体的に。
つまり描いたところの隣、隣、隣と順番にやっていきます。

ここまでを180秒(90秒)で行けるようにしましょう
行けなかったらもう少し秒数を増やしても。

何度も描き直していい

終わったら一度モデルの絵と自分の絵を見比べてみましょう。
恐らく全然似てないはずです

そもそもシルエットから描き直したいって思ったら、もう一度シルエットからやりましょう。
自分で描いた絵を見て、もっとこうすればよかったああすればよかった、ってなる点を意識してキーポイントを探り直して、見直してまた描き進めましょう。

どう描いたら再現できるのかを常に考えてみる

ここからは実際の模写でするような
超重要な話です

シルエット、角度、キーポイントの中でも
主にキーポイントを手段として、描いてみる方法

何の真下に何が来るのか
このキーポイントからどれくらい離れた場所に何が来ているのか

例えば
鼻の真下に膝がある
肘の真下に胸がある
目の真下に鎖骨が通る
唇の真横に肩の膨らみが重なる
頭をもう一個分下にずらすと胸の位置になる
両胸を結んだ線の半分から小さい〇一個分右、その点から真下にへそがある

何かに気付いたところに全部点を置いて
どうすればモデルを絵で再現出来るのか、と考えましょう

(結構汚い字だったのでこっちでも描く
①左肘と足の距離
②左足とくびれが同じ高さ
③ひざをでかく取ってしまっていた
④両ひざは同じ高さ
⑤鼻と右足は同じ軸位置
ちょっと描かなかったけど
⑥、⑤のラインから少し横に乳首
⑦右胸のアウトラインから下に引くと、右のふとももと少し距離が空く)

今回のはどう調整すれば近づけるのかそれを考えてみて、1個だけでもいいので近づける要素を見つけましょう。
10回やれば10個近づけられますのでここは見て考えて
自分は講師になったつもりで
自分の絵を生徒の絵だと思って

気になったところを見つけてあげましょう。


そうなれば自ずとしっかりモデルを見ていることでしょう
穴が開くほど見ていることでしょう

そしてそれが、鍛えた目を使った見る力というものです



ちなみに全然合ってませんでした
大口叩いておいて自分もまだまだなので精進です
えー、この記事を信じるか信じないかは貴方次第(都市伝説)

最後に

気を取り直して
最初はシルエットを作って、キーポイントを探って、角度を見て
それらを組み合わせてよく見て描いていきましょう

そういう手順で最初はいいと思うんです。
でも想像してみてください。
いずれ、シルエットを頭の中で作れるようになります。
キーポイントが白紙のキャンバスに浮かび上がるようになります。
後は角度を逐一チェックするだけです。
それって、何のガイド線もつけずに模写が出来ている
んです。
自分はそう信じて今日も見る力を鍛えて、模写もして、毎日毎日描いてます。
頑張ろうぜ!

追記

どう描いたら再現できるのかを常に考える、の補足

今回、主にキーポイントを使って
〇〇から下に直線(ライン)を引いた場所に〇〇がある」というところを中心に話しました。
でもこれは、キャンバス全体を見て大まかにどこに何があるのか、というものを探るのに適した手段だったにすぎません。

なので追記として、ディテールをより細かく描き写すための手段を3つ紹介します。
ちなみにここからはトレーニングではなく実践です
キーポイント・角度・シルエットを探る力の応用です。

https://twitter.com/ebihurya332/status/1611912889614598145?s=20

例えば自分が参考にしている
えびふりゃ(ebihurya332)さんの描いたイラスト。
今回分かりやすいようにトレースするんですけど

①目は顔のどこに、どれくらいの大きさで描いているのか
②鎖骨って首からどれくらい離れているのか

これらは「ラインを引く」という手段だと
ちょっと掴みづらいですよね

自分のやり方だと、①と②はそれぞれ手段があって
①は線を置いた時に出来た面を近づける(シルエット)
②は一番近い線から考えるって手段(キーポイント・角度)

つまり


鼻と両目頭を結んだ時にどう傾いていて、どれくらいの大きさの三角形が出来るのか。それを見つけたら後は近づけてあげればいい。
シルエットを作る、という見る力の応用

ちなみに鼻は体を先に描いた後、ラインを引いて見つける


鎖骨は鎖骨でも、肩の方から角度を見る

例えば
「右手と左手で大体1mほど広げてみてください」って言われて広げてみても、多分誤差って結構あるんですよ。数cm、下手すれば10cmの誤差
でも「右手と左手で大体5cm広げてみてください」って言われると、誤差ってあっても1、2cmなんですよね。

わざわざ首から鎖骨の距離を考えるよりかは、肩の方から見て、あとは角度を見れば鎖骨は描き写せるんです。
鎖骨に一番近い肩の線にキーポイントを置いて、鎖骨との距離をおおよそ目視。鎖骨の始まりにもキーポイントを置いて、角度を見て描く。
これもキーポイントと角度の応用


さらにこれは、輪郭から目(まつ毛)までの距離でも考えられる
(輪郭は体からラインを引いて整えてあげれば良い)

そうなると、目の大きさ、位置、傾きまでもが求められる。

まとめると

鍛えた目の力を使って、正確に描き写すための手段は
①体の至る所からラインを引く(キーポイント)
②参考にする絵から何かしらの形を見出して、近づける(シルエット)
③誤差が小さくなるような位置関係を見つける(角度・キーポイント)

シルエット・キーポイント・角度を意識してトレーニングに組み込むのはこういう手段で有用になるからです。


これ以上は長くなりそうなので、後一個だけ紹介。
すごく簡単に言いますね。

子供の頃に漢字を習ったと思うんですけど
漢字ドリルを思い出してください。
「はね、はらい、とめ」なんてものを習いましたよね。
他にも、「人偏(にんべん)はマスの左側に書きますよね。

あのマスって、結構良い役割をしてると思いませんか?
どこから始まって、どこではね、はらい、とめをするかってとても分かりやすいと思うんですよ。

自分はえびふりゃさんのイラストが大好きです。
特に目。すごい魅力的です。なのでこうしました。

パーツ模写って名付けてる

・どこからどの角度で、どれくらい動いて、どこで止めるのか。
・上まつげだけを見ても、線に強弱がある。
・瞳の輪郭は結構厚い。

ぱっと見ただけでもこれだけ情報が拾えますね。
そしたらそれを描き写すだけです。これも再現するための描き方です。

色んな再現出来る手段を見つけましょう。

最後のまとめ


・キャラクター絵を描きたい人はまず、正確な模写が出来るのを目標にしましょう
・そのために180秒ドローイングなどで、シルエット・キーポイント・角度を見つける練習をしましょう。
ラインを引くという手段も使いつつ、実際にそれらのキーポイントや角度を使ってモデルを描いた時に、特に違和感がないならそれは「良いキーポイントと良い角度」を見つけられたということです


・参考にしている人の絵を横に置いて、シルエット・キーポイント・角度・ラインなど、よく見て、今まで鍛えた目の力を使って模写を行いましょう


・パーツ模写をして、参考にしている人のイラストの特徴的な目や口、眉などの理解を深めましょう。(一枚の絵だけじゃなくてあればあるほど良い)


・180秒ドローイングや模写、パーツ模写を繰り返して練度を高めて、3ヵ月上達法をやってみましょう

お互い頑張りましょうね

最近書いたもの
ちょっとした裏話

初心者の方向けに実際頭の中でどういうことをして180秒ドローイングや模写をしているのかも書きました

更新追記

7/9
・タイトルの(追記)部分を削除
・冒頭部分の再投稿するという旨の文に取り消し線
・注意という見出しの中にさいとうなおきさんの三ヶ月上達法の動画を埋め込み
・追記部分に他のnoteを埋め込み

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