見出し画像

初めて自作キーボードを組み立てた備忘録

 本noteは自キー素人がErgomirageを組み立てた、ビルドログにも満たない備忘録です。見苦しい行動が多々ありますので御留意ください。


Ergomirageとは

 Takashicompanyさんによって頒布された自作キーボードキットです。


組み立てた人のスペック

 自作キーボード歴:ほぼなし
 電子工作機器:なし
 はんだごての最終履歴:中学3年生(二桁単位で前)
 手先の器用さ:触れる物は皆破壊してしまう
 知識:キーキャップとスイッチはわかる。手元にある。


Ergomirageを購入した経緯

 TLに流れてきた下記のツイートによって一目惚れしてしまったからです。

 しかしながら、破壊神とまで呼ばれたことのある、不器用の権化とされる人間なので、はんだ付けに並々ならぬ抵抗感がありました。
 それ故にホットスワップ式の透明な既成キーボードを2年間も探し続けていたこともあって、ひとまずビルドガイド(組み立て方)を読むことにしました。
 19:53に「ほ、ほしい…!!(原文儘)」と呟いてから、ビルドガイドを読み、これならできるかも!と思い至って購入したのが、20:12でした。結局、2年間の悩みをわずか19分で覆してしまったのです。だって一目惚れだったから……。


キットが届くまでの準備

 Ergomirageのキットが届くまでに、ビルドガイドに記載してある必要部品と電子工作機器を揃えることにしました。

 キットに含まれないもののうち、必ず必要な部品は3つでした。
 そのうちキースイッチとキーキャップは手元にあったものを使用しました。

Cherry MX互換キースイッチ 44個
▶︎Zeal Turquoise Tealio® 

キーキャップ(全て1uサイズ)
▶︎XVX PBT
Amazonで購入していたやつ

Pro Micro
▶︎key micro white(Pro Micro互換機)


Pro Microを勉強する

 手持ちのキーボードはすべて既製品で、なおかつ、ファームウェアを触ったことがなかったので、Pro Microとはなんぞや?からスタートしました。
 要するにキーボードの脳みそ、PCでいうPC本体、つまりマイコンだということがわかりました。通称MCU
 調べれば調べるほど「悲劇」「もげる」などの悲惨な単語が増えていきます。一体どれだけやばい部品なのか……。
 幸いにもビルドガイドには、キットに適したMCUへのリンクがあり、悩む必要もなくリンク先で購入……。できなかった!!


Pro Microが売り切れていた

 悲劇ってこういうこと?
 互換性のある品というか、そもそもPro Microが互換機なので、アリエク辺りでも使用できるMCUは山ほどあるはずなのですが、なんせ初めての自作キーボード。絶対に失敗したくない。でも入荷がいつあるかわからない……。という状況に陥りました。
 結局おとなしく入荷を待つ方向に気持ちが向き始めたとき、一本の動画に出会います。

……これ、かなりいいのでは?


key microについて

 Pro Microの互換機です。Pro Microと比較したときに「破損しにくい」「コンスルーを使用すれば、MCU側もはんだ付け不要」という点が気に入りました。お値段的には、Pro Microのほうが安価ではありますが、とにかくはんだ付けを一か所でも減らしたかったことと、基盤に白色があったことから購入に至りました。


コンスルーを購入する

 キーボードの基盤とMCUを繋ぐピンの部分がバネになっているので、上記にある全貌の見えない「悲劇」を防ぐことができるそうです。まさに神ツールです。
 購入時には2.5㎜のコンスルーが売り切れていたのですが、key microだと2㎜のコンスルーが使用できるので遊舎工房さんでそちらを購入しました。


電子工作機器を揃える

 結論から言うと、Amazonで一式入っているものを購入しました。お値段3000円弱の価格破壊。
 触れる物は皆破壊する者としては、とりあえず、人並みに使用できる最低限のもので練習する必要があると感じていたような、高いものを壊すことが怖かったような……。
 購入にあったっての条件は「温度調節が可能なはんだごてであること」と、「数種類のこて先が入っていること」でした。
 一式の内容は 、
「はんだごて」
「こて先」
「マルチメータ」
「こて台(スポンジ付)」
「はんだワイヤー」
「はんだすいとり器」
「静電防止ピンセット」
「8 in 1精密ドライバー」
「ワイヤーストリッパー」
「電子ワイヤー」
「収納バッグ」
「英語の説明書」
です。
 このうち、はんだ(ワイヤー)だけは、同梱されているものと別に、精密機器用のものを買いました。


Ergomirageが届いた

 注文から特に待つことなく発送通知を頂きました。
 通知内に「不明な点があればご連絡ください」という旨の文言があって、思わず拝みました。ありがたすぎるだろ……。
 ほかの部品も一週間のうちに揃いました。

 各部品に不足がないか確認を行って、細かいパーツの多さに震え上がりました。それでも、部品の種類は比較的少なく、構成がシンプルなのは非常に心強かったです。
 しかも、部品の予備も入れてくださっていたのでこの時点で、安心感は倍増です。

 届いたら直ぐにでも組み立てる予定だったのですが、家庭の事情によりここから約4か月寝かせることになりました。


Ergomirageを組み立てる

 約4か月期間を開けてしまったので、改めてビルドガイドを読み込みいざ作業を開始します。

 ここで、作業台の購入を忘れていたことに気付きます。とりあえず、その辺にあったスタバのショッパーを適当にハサミで開いて、トレー状にしたものを使いました。かなり便利でした。


1 PCB(基盤)に予備はんだを置く

 nanaさんの備忘録を参考に、こて先を平らなものに取り替えました。

 はんだの融点が約190℃だったので、温調はんだごてを250℃に設定し、いざ予備はんだ!と、思ったのですが、はんだが溶けず……。むやみに温度を上げても良いものか悩んでいたところ、こちらの動画に遭遇。

これじゃん!

 ということで、改めて350℃に設定し、なんとか予備はんだの作業を終えました。道具は良いものを使うべきという教訓を得た。


2 ダイオードを取り付ける

 予備はんだが順調に終わったことで自信をつけた私は、意気揚々とダイオードの取り付けを始めました。
 ところが、ダイオード小さすぎんか?と、5秒で自信が急降下。いつかYouTubeで観た気がするマスキングテープに張り付けて、ひっくり返す方法を試みようとしたときには、それはもう、コメツキムシの様に暴れまわるダイオード達。幸い、一度に全部開封したわけではなかったので、一生懸命一か所に集め、取り付ける向きを確認します。基盤の矢印の先と、ダイオードの線を合わせていけばいいんだ。大丈夫難しい話じゃないはず……。

見えない!!!

 想像以上に線がわかりにくく、いろんな角度から明かりを向けたり、明かりを消したり、慣れるまでかなり奮闘しました。向きだけは間違えないように慎重に取り付けを行って、かれこれ一時間程度取り付けにかかったと思います。


3 MCUのリセットスイッチを取り付ける

 向きとかないよね……。と怯えつつも、ダイオードに比べたらはるかに大きいスイッチなので、取り付け自体は、すぐに終わりました。


4 MCUの取り付け

 はんだ作業がないので楽勝です。コンスルーを側面から見て、部品が露出している側をkey microに突っ込むだけです。左右のコンスルーの向きも揃えて、2本ともkey microに挿せたら、PCBの裏面にリセットスイッチが向くように取り付けます。なんて簡単!(この時はそう思っていた)


5 動作確認

 ファームウェアを書き込んで、各キーが作動するか確認を行います。
が、さっきの簡単さが嘘のようにうまくいかない。リセットボタンを押してもキーボードを認識してくれません。
しばらくRemapから書き込めないことについて悩んでいましたが、ふと「これPro Micro」じゃないじゃん!ということを思い出し、key micro側の説明を読みに行きました。

 うーん、左右分割しないから抵抗チップは付けなくていいはず……と見当違いのことを考えていたところ、読み落としを発見。

「Firmware を書き込むときは、QMK Toolboxを使って下さい」

https://abitkeys.com/keymicrowh/build.html

申し訳なさすぎる、どう考えてもこれじゃん。

 ということで、ゆかりさんのショップ「Lilakey」のページを参考に書き込みを行うことにしました。

 ファームウェアはビルドガイドにあるものをそのままダウンロードしました。

が、うまくいかない。そういえば、触ってないのに、頻繁に接続のオンオフ音が鳴り響いている。

 一度、マイコンだけで書き込みができるか試してみることにしました。リセットボタンの代わりにピンセットでリセットを行います。参考動画は遊舎工房さんのものです。

 QMK Toolboxのログに、どうしても「thank youほにゃらら」が現れないものの、デバイスマネージャー上では正常に書き込めていそうなので一先ず作業を進めることにしました。
 元通りPCBにMCUを繋げて……。

やっぱり抜き差ししてる音がする!!

  どうやら接触に問題がありそう。
 というわけで、key microでは本来不要なMCUとコンスルーのはんだ付けを行いました。
 こればかりは個体差もあるはずなので、誰のせいでもない。あるとしたら強行突破している私のせいです。
 幸いコメツキダイオード達に鍛えられた私は、案外すんなりはんだ付けを行うことができました。
 

・動作確認のために、キーテストを行う

 ピンセットでダイオードを挟む方法でキーテストを行いましたが、うまく反応しません。ピンセットが原因なのか?
 他にこれといった原因が見つからないので、やり直し覚悟でスイッチプレートと、キースイッチを少数、取り付けました。この状態でキーテストを行ったところ、スイッチを取り付けたところは、無事に反応しました。


6 改めてキースイッチとキープレートを取り付ける

 順番が少し前後しましたが、キースイッチをすべて取り付ける作業を行いました。意外とプレートから外れやすいので、対角線上に2個づつ取り付けを行い、都度、ちまちまとはんだ付けを行いました。


7 改めて動作確認

 すべてのスイッチを取り付けた状態で再度キーテストを行いました。
二か所通電しなかった箇所が出ましたが、ひとつは、ダイオードのはんだ付けをやり直すことで解消。もうひとつはスイッチのはんだ付けをやり直すことで解消しました。


8 ボトムプレートのとりつけ

 表面から、
ねじ→キープレート→スペーサー→ボトムプレート→ねじ
の順番に取り付けます。コメツキムシ再び。
 
ちいかわのように「わぁ!!」を連発しながらなんとか装着完了です。


9 ゴム足シールのとりつけ

 四隅に張ろうとしてから、表から見えることに気付き、PCBの下に隠し込むように貼りました。たぶんビルドガイドも表から見えてないので同様に処理しているんだと思います。


10 キーキャップのとりつけ

 勝手知ったるキーキャップの取り付けを行いました。
 上からはめ込むだけなのでさして難しくありませんでした。ただ、手持ちのキーキャップは、印字があるものなので、1uサイズに対応していない箇所があり、キーマップと異なるキャップを装着した箇所が何か所かありました。
 ちなみに、印字のない透明系キーキャップも手持ちにあったのですが、背が高すぎて取り付け断念しました。
 nanaさんのうさキーキャップを嵌めたら一層かわいさが増したので満足しています。

 正直、傾斜のない平らなキーキャップのほうが打鍵しやすそうなので、ここは要改善だと思っています。

完成


感想

 我ながら強行突破しすぎている自覚がある。きっと作り慣れている人から見たら絶叫ものの強引さなんだろうと思う。
 先人たちの沢山の知識が無料で開放されていることがとてもありがたかった。何か一つでも欠けていたら完成まで辿り着かなかったと思う。
 念願の透明なキーボードを、素敵なキットで自作キーボードとして組み立てられたことがとても嬉しくて堪らない。
 しかも、無事、(運がいいだけかもしれないけれど)ちゃんと使えるのだ。
 なんとなく、キーボードの仕組みを理解したので、これからは臆することなくキーマップの変更を行なったり出来るのではないかと思う。
手配線や、回路図の設計など、上を見始めたらキリのない沼のような界隈であるが、自分が楽しいと思える範囲で、これからも細々と関わっていきたい。