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ランソプラゾール錠による下痢!?


#報告事例
半数が消化器症状で、下痢・軟便が16件、内視鏡検査によりコラーゲン層形成大腸炎が確定された症例も1件ありました。
多くは逆流性食道炎に対する処方でした。
今回とりあげたランソプラゾールのほか、アスピリン、NSAIDs、チクロピジンなどの服用あるいは併用による、水様性下痢が主症状の
コラーゲン層形 成大腸炎がよく知られるようになりました。基本的な定義は、大腸内視鏡検査と生検により、大腸粘膜上皮直下に10μm以上のコラーゲン・バンドが認めら れるものとされています。ほかにも、ラベプラゾール(商品名:パリエット)以外のPPI(プロトンポンプインヒビター)は添付文書に同様の症状について記載がありますが(頻度不明)、報告が多いのはやはりランソプラゾールのようです。

#原因は代謝阻害か !?
PPIの薬物代謝酵素であるCYP2C19やCYP3A4の関わりが疑われています。発生機序について解明はされていませんが、PPIが大腸粘膜に存在す るプロトンポンプに作用することで、免疫反応に影響しているとの説があります。高齢女性で多いとの報告があり、当モニターでの下痢は男性6例、女性10例 でした。


主にチトクロームP450(CYP)2C19とCYP3A4によって代謝されます。⽇本⼈ではCYP2C19の酵素活性が低い⼈が18〜23%と多く、そのような患者では、ランソプラゾールの代謝はCYP3A4に依存します。そのため、ランソプラゾールとCYP3A4で代謝される他の薬剤(表1)を併用するとランソプラゾールの薬物代謝が阻害され、ランソプラゾールの血中濃度が高まることで下痢症状が発症すすと考えられる。


CYP阻害薬の例
トリアゾラム/アルプラゾラム/ブロチゾラム
スボレキサント/シンバスタチン/アトルバスタチン
ロスバスタチン/アゼルニジピン/ニフェジピン
リバーロキサバン/エプレレノン/ニソルジピン

参考文献
副作用モニター
日経DI

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