ディア・デイジー② 薫風歌から変更しました。

アリアの丘 森の小径
木々の隙間から、陽の光がさしこんできている。
ジョセフィーヌ、木の上を目を細めて見つめ、まぶしそうに見つめている。小鳥が巣穴から飛び出していく。
「ふふっ・・・そこねっ!」笑顔になり、巣穴を見つめる。「見ぃつけたっ! 」そう言うと、その木に登り始める。
エドガーが向こうから、ジョセフィーヌの姿を見つけ、木の下に走ってやってきて、見上げる。
「ジョセフィーヌ様ー! 何をしてらっしゃるんですかっ!」ジョセフィーヌ、木の太い枝の上に乗り、キョロキョロして、声のする方を見下げ、エドガーを見つけた瞬間、満面の笑みを浮かべ手を振る。
「エドガー!」「ジョセフィーヌ様! そんな所に登られてっ! お怪我なさったら大変です! 降りてきてくださーいっ!」「平気平気っ! 見て見てっ!」そう言うと両手をそっと木の幹から離し、バランスを取ると一瞬よろける。エドガー目を見開く。「あぶないっ!」
「うわっ!」ジョセフィーヌ、木の幹に思い切りしがみつき、大きく目を見開く。「ジョ・・・セフィーヌ様っ!」「うわぁー、びっくりしたっ! ねっ、エドガー。」エドガー、大きくため息をつく。
「お願いです! 降りてきてくださーい!」
「んー、実はね。ここ、ここっ! ここにね ひな鳥たちが3羽いるの。可愛いの! 」屈託のない笑顔でエドガーに話しかける。「鳥さんがね。餌を加えてね。飛んで来ていたの。で、見てたらね。ここに入ったの。それで見つけちゃった!」「わかりました・・・わかりましたから、とりあえず、ゆっくりゆーっくり、降りてきてくださいっ。」「うん。わかった! 」ジョセフィーヌ、少し名残惜しそうに、鳥の巣穴を覗き込み、ひな鳥たちの頭を優しく撫でて呟く。「早く大きくなってね。」
エドガーそれを見ながら、微笑む。
ジョセフィーヌ、木からそっと降りてきて最後両ジャンプして着地し両手を広げる。「じゃーん!」
「はぁ・・・」「ほらっ、見てっ。あそこよ、あそこ!」ジョセフィーヌ、木の上の太い枝の辺りを指差す。「赤ちゃん。こーんなにちっちゃくて、ふわふわしてて、私をお母さんと間違えて・・・口を大きく開けてねっ。ふふふっ!」
ジョセフィーヌ、その小さな両手で小さく丸を形っくり、満面の笑みになり、エドガーを見つめる。「んもうねっ!とっても可愛かったのっ! 」
エドガー、思わずぷっと吹き出して笑う、「ははははっ、そうでしたか。ひなどりを見つけたんですね。」「うん! 」「わかりました。わかりましたけど、ジョセフィーヌ様、かくれんぼは、忘れちゃいましたか?」「あっ」そう言うとハッと我にかえる。エドガー、頷く。「そうです。」「お兄・・・ちゃまは?」「とっくに帰られました。」「あ・・・あのね。」「はい。」「お兄ちゃま、怒ってた?」エドガー、肩をすくめる。「いつもの通りです。」「はぁ・・・そっか。」エドガー諭す様に話す。「何ごとも、途中でほおり出すのはいいことではありません。わかりましたか?」「・・・うん。」
「それに、まだお小さいのですから、一人で危ないことはなさらないように。何かあったら、大変です。」「でも、私・・・もう8歳なのよ。」下を向き口を尖らせる。エドガー、その様子を優しい瞳で見つめ小さく息をつき、両手をパン! と叩く。
「さぁ。お説教はここまで。では、僕も、ひな鳥たちを見てきても?」エドガー、首を傾げジョセフィーヌの顔を見つめると、ジョセフィーヌ笑顔になる。「うん! 」「よしっ」エドガー腕まくりして、木を登り始める。「あと、もうちょっと・・・ほらっ。そこっ! そうそう! そこっ! 」軽々と木の幹の上にバランス良く体を預けて、木の穴を見つけ覗きこむ。「あぁ・・・」
小さな穴の中には、ひな鳥たちがこれからの厳しい自然を生き抜く為に、自らの本能を携え、そのすべを知り、口を精一杯に大きく開けて、その小さな命の始まりを輝かせている。それを見てふっと微笑む。
「ねぇー。どお?」ジョセフィーヌ、エドガーを見上げる。「はい。確かにおりました。」「かわいいでしょう?」「はい。」エドガー、ひな鳥たちに囁く。「必ず、生き抜くんだぞ。」ジョセフィーヌ、それを見つめ、笑顔になる。エドガー、木から降りて来て互いに微笑みあう。
「さぁ。帰りましょうか。」「うん! 」
エドガー、歩き出す。その後ろからジョセフィーヌが歩き出し、少し日に焼けた手をじっと見つめ、その手をぎゅっと握りしめる。
「・・・ん?」エドガー、後ろを振り向き、ジョセフィーヌを見つめると、屈託のない笑顔を自分に向けていてくれている。エドガー、穏やかな瞳で微笑み返し、その手を優しく握り返すと、ジョセフィーヌ、頬を少し赤らめ肩をすくめる。そのまま手と手をしっかりと結んだまま、歩き出す。「ふふっ。」
2羽の蝶がどこからか現れ、結ばれた手と手の周りをまるで戯れるかのように飛んでいるかと思うと、急に離れていく。
 草原は太古より、永遠に受け継がれ続く限りある
一つ一つの美しい命の営みを育み続けていく様を、そっと見守っているかの様に、ただ風に吹かれている。
つづく。

タイトルをやはり変更してしまいました。
薫風歌ではなくて、
やはりディア・デイジーします。
誤字脱字はご容赦くださいませ。
暇つぶしになると幸いです。

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