見出し画像

ルークハント怪文書⑥

※ATTENTION

このnoteはスマホゲーム「ツイステットワンダーランド」で今後展開されるであろう7章こんなストーリーだったら面白いな…という考察を物語風に仕立てたものです。よって6章までの盛大なネタバレを容赦なく含みます。そこのところご了承ください。
また、この話は
「愛の狩人ルーク・ハントが夢で見た7章」
という体でルクハンが自分が見た夢を思い返すような形で綴ってる夢日記という体で描いてます。
つまり怪文書です。
完全なる妄想、幻覚です。
普通の考察文だと出しきれないこんなインスパイアあったら嬉しいなって言う小ネタも入れ込もうとした結果がコレさ!
後ほど別ノートに解説を作れたらなと思っています出来上がるまではどこに何のインスパイアを入れたか考えながらご覧いただければと思います。
なおこの話はつづきものです。
その①まだ読んでないよ!って方はこちらからお願いします。 

第15章「夢の終わり」

5月15日、朝
長い夜の終わりを告げる、朝の雲雀のように
リリア・ヴァンルージュはオンボロ寮上空を舞っていた。

彼はどうやら、ガラスの反射光に目を焼きながらも必死に何かを探している様子だ
やがて一つの窓枠に降り立ったかとおもうと。ロックシンガーの如くガラスをけたたましく殴打しはじめた。
朝に似合わないドンドンドンドンという音がNRCの空気を騒つかせる。

私も流石に嫌な予感がしてね。
オンボロ寮の方へ向かっていると
やがて部屋の主が起きたのだろう。
窓が開かれた。
あの部屋に居るのは恐らくシルバー君だった筈だ。

シルバー君は唐突な雲雀の来訪に驚きを隠せない様子だったけれど、普段の落ちついた様子のリリア君からは想像つかない焦燥ぷりに
これは只事ではないと部屋に迎え入れたようだ。

流石に部屋の中に入られると私の耳を持ってしても会話は追えない。一体何の会話をしてるのだろたろうかと考えながらもオンボロ寮まで歩みをすすめていくと扉が急に開いたかと思いきや中から気の動転した監督生が飛び出してきたのを、受け止めることとなってしまったんだ。
あまりの急展開に私は目を白黒させていると
監督生を心配してついてきたのだろう。グリム君が私に何が起こったかを話してくれたんだ

「なんか急にリリアのやつが来てな、シルバーにお前はどっかの国の王子で、今日の誕生日で自分とはお別れだって言ってやがったんだぞ。」と。

リリア君はあの後、シルバー君から引き剥がされてオンボロ寮マジフト作戦室で尋問を受けているようだ。
そこでようやく細かい事情が判明したのさ。

まず、シルバー君は、実は茨の谷の友好国の王子だということ
シルバー君がなぜ茨の谷育ちであるのは、情勢不安の彼の母国に代わりに、リリア君が彼を成人年齢である18才まで養育するよう依頼されたからだということ。

正直あまりの唐突さに加え、
自室の君が思わず
「秘匿された王子ってスター・ローグの主人公じゃないですかーー??そんな盛り盛りファンタジー設定有り??」
と言ってしまうような情報の数々に圧倒されてしまいそうだった。 

ちなみに、本当は誕生日がちょうど大会に被るのもあり、大会後一カ月かけてゆっくり事情を飲み込んでもらう算段でいたのを急に変えざるを得なかったのは、ここ数日のシルバー君のメディア露出が原因とのことだ。

シルバー君の特異な美しいオーロラ色の瞳は彼の王族特有の色で見るものが見れば素性がバレてしまうもの。メディア露出媒体がよりにもよってツイステッドワンダーランド全土が注目する二代魔法学校マジフト対抗戦だったことが相まってクーデターの危険を無視が出来ない状態になってしまったようなんだ。
おまけに竜の君が引き起こしたマジフトまわりの騒動がメディア露出したことを皮切りに茨の谷近辺の情勢は一気に混沌の渦に飲み込まれてしまったようでね。
リリア君は、シルバー君の命を守るため自分が持ち得る全部を投げ打って護衛を依頼することにしたのだそうだよ。

ところで、リリア君がシルバー君の護衛を依頼するにあたり用意してきた対価がとんでもないものでね。

端的に言えば現ディアソムニア政権の無条件降伏をだったんだ。

内容は以下の通り。
まず、竜の君がその膨大な魔力をもって引き起こしてしまった複数の騒動に加え
彼の臣下たる一部ディアソムニア寮生やドラコニアン達の引き起こした騒動の責任を取るべく
リリア君の退学処分(※自主退学による中退ではなく追放処分)に加え
竜の君から寮長権限の剥奪をし、学年末までの猶予を持っての退学処分とすることを学園長との相談を行い可決。

一時的に浮いたディアソムニア寮の寮長、副寮長権限を今学期の間、実質的な反逆同盟軍のリーダーかつここ3年のマレウス政権の最大の被害者である獅子の君への全面移譲をしたいと申し出てきたんだ。
正に竜の君の禅譲だね。
それも契約の信用を取る為に、わざわざ努力の君を呼びつけユニーク魔法を担保に入れた契約書を作成させた上だというのが。リリア君の本気度を伺わせるというものさ。

リリア君はその他も、竜の君が雷で破壊してしまった機材等、必要な損害賠償には極力応じる上
可能な範囲で就職先の斡旋まで行うとまで言ってくれてね。
破格すぎる条件に対し最初、獅子の君は裏を勘ぐったようだけれど
「茨の谷と夕焼けの草原との全面戦争だけは避けたい。」と言われ呑まざるを得なくなってしまったという訳さ。

その後は、自室の君も巻き込んでより細かい報酬の条件詰めや護衛プランのすり合わせに大忙し。
下手したら本日起きるかもしれないクーデター対策やドラコニアン達の今後に対する対策などの打ち合わせしていくうちに、試合がはじまる時間は刻々と近づいていったんだ。

説明し忘れていたけれど、マジフト学園対抗戦は毎回夕方から夜に行われていてね。
前半戦が日没まで
夜の帳が落ちてから
後半戦をやるのが毎年の伝統となっているよ。

第十六章「悪夢の誘い」

一方で当事者でありながら…いや当事者だからこそか。
あまりに受け止めきれない現実を突きつけられてしまったシルバー君は、ベッドに蹲り泣き崩れていた。

当たり前だ。今まで彼の中で培われてきた世界が一瞬にして壊れてしまったのだから。
シルバー君はずっと、カルト集団と化したマレウス様とその取り巻きの心根を変えて、またマジフト大会前の平和な、普通の学園生活を取り戻したかったのだといっていた。
しかし、彼の努力も虚しく、ささやかな願いは音もなく崩れ去ってしまった。
シルバー君からしたら今まで何のために動いていたのか。分からなくなってしまうのは仕方のないことだろう

彼の精神状態が到底試合に耐えられるものじゃなくなっているため、会場に行かずオンボロ寮での待機が望ましいのではないか。
そうオルト君は診断してくれてだけれど、悲しいかな今日はマジフト学園対抗戦当日
午後になると生徒の大半が観戦のため会場であるRSAに赴いてしまう関係上NRCは事実上誰も人が居なくなってしまうのさ。
もちろんNRCに残る生徒も居るのだけれど今年残るだろう生徒の大半は恐らくドラコニアン達だ。
彼らは今でもシルバー君を逆恨みしている可能性があるため、下手に学園に残した方が危ないと言った状態になってしまっていたのさ。

そうして午後の日が傾きはじめたころ
シルバー君はオルト君、エース君、デュース君に付き添われる形でRSAへと向かうこととなった。

本当は選手であるシルバー君は午後一にはNRCを出立してRSAでの最後の打ち合わせに参加しなければならなかったけどね。
誰よりも彼の状態を近くで見ていたオルト君が
「せめてリリアさんとのお別れの時間を作ってあげてほしい」と意見を出してくれたのを皮切りに自室の君が色々「シルバー君の護衛プラン」を練ってくれたお陰で少しばかりの時間を用意することが出来たということさ。

現状私が聞いている話だと
シルバー君はギリギリまでNRCに留まり、リリア君と最後のお別れをした後観客の入場に紛れる形でRSAへ。
そして前半戦中に選手控室に向かい後半戦から選手として試合に出場。
というプランで動くこととになる予定だそうだよ。

守りの薄さの問題は近接範囲をオルト君が護衛、周囲は自室の君が監視ドローンを配備することで強化。
シルバー君の特異な髪の色、目の色はオルト君が所持する光化学迷彩機能を使ってカモフラージュをかけ。
更に、一緒にエース君、デュース君が同行ことで一見「対抗戦を観戦にきただけのNRC生徒」と捉えられるようにし、万が一敵が現れても見つかりにくいようにするそうだ。敵方もシルバー君の情報をメディア以外で所得していないと想定できるからこそ成立する作戦だね。

(ちなみに自室の君は監視ドローンのチェックのためなんとNRCに残ってくれることとなったんだよ!
彼も対抗戦に行きたかったろうに、流石勤勉の精神を持っていると感嘆してしまったよ。私も見習なわなければならないね。)

ちなみに私はシルバー君が攫われるパターンを考慮して彼に「果てまで届く弓矢」をかけ見守る役目を担わされている。
選手として一足先に会場入りしているけれど、万が一の時の連絡係として私も彼同様前半戦は出ず、後半戦だけ出場する算段となっているよ。

リリア君は、今日の夜出発の船で賢者の島を後にするらしい。
シルバー君のことを考えたらせめてRSAの道中で通る港まで彼を見送るという形もあり得たのだろうけれど、「最後の一仕事があるから」と断られてしまったようだ。

彼らは無事に別れの挨拶ができたのか。
数週間のわだかまりは解けたのか。
シルバー君は落ちつきを取り戻せたのか。
そんな「果てまで届く弓矢」では解らない事情に私は矢も盾もままならないと言った心持ちであったよ。

同様に
トラブル…いや、後の展開を鑑みたら悪夢と言っていいだろう何かは、徐々に賢者の島を覆い隠さんとしていたんだ。

はじめの悪夢は、いよいよ開会式の幕が上がるといったころの選手控室で起きた。
なんと監督生が急に失踪してしまったのだ。
しかもグリム君を置いて。たった一人で

獅子の君曰く急に血相を変えたかと思ったその直後に「どうしても行かなきゃいけないとこがある」と行って静止も効かずコロシアムの外の方に駆けていったようなんだ。

迂闊だった。シルバー君にまつわる真実が衝撃的すぎて失念してしまっていたが今思えば今朝は監督生君も何かに相当動揺していたではないか。
彼にもう少し寄り添ってあげられたのではないかと自分が歯痒くなる。

だが正直な話もう、監督生君を引き戻す時間は残されていなかった。
幸いグリム君が「アイツは理由無しにフラフラどっか行ったりする奴じゃないから信じて待つんだぞ。」といって、子分の尻拭いは親分の役目と言わんばかりの張り切りぶりでマネージャーを勤める姿を見せられたら思わず手伝うしかなくてね。

彼が信じるなら大丈夫と気持ちを切り替えて試合に挑むこととなったのさ。

試合はとても善戦していたよ。
私達NRCは普段、チームの連携に課題を持つが故に巻き返されがちなのだけれど
今年は自室の君が調べてくれた各自の魔法スペックデータに基づいた獅子の君の采配が光り、RSAの強力なチームプレイに対抗できるだけの連携プレーが出来るようになったからね。

マジフトのファンからすれば三年前、連携の苦手なNRC生をまとめ上げた天才司令塔レオナ・キングスカラーの名を世に知らしめ伝説の試合の再来であったし
現RSAのエース選手のファンであれば彼が獅子の君に約束を取り付けたという
「学園対抗戦の大舞台で正々堂々戦う」という夢が三年越しに叶った瞬間でもあった。
NRC生は無論「今年こそ本当に勝てるかもしれない」と三年越しに胸を躍らせる試合運びだった。

そう。三年だ。
この光景を見るのに三年もの月日がかかったのだ。

聡い私の耳は聞き取ってしまう。
マレウス・ドラコニアに振り回されてないことに喜び讃える観客の声を。
三年間、彼への畏怖から凍りついていた時間がようやく進んだことに、安堵してしまう人々の声を。

嫌な悪寒が走る。
この悪寒はそう、VDCのリハーサルの時、ヴィルの凶行を止めようとした時と限りなく近しいものだ。
そして唐突に思い当たってしまった。

今朝の監督生の姿は、あの頃の私の姿と重なるということに。
何か嫌なことが起きるという直感と
止められなかったという自責からくる脅迫概念
監督生には一体何が見えてしまったのだろう??

やはり監督生を追いかけた方が良かったのでは、そんなことが頭をよぎったころ。


二つ目の悪夢は舞い降りた。


それは、「シルバー君が失踪した」というオルト君からの知らせだった。

第十七章「因果の糸」

前半戦終了の合図である日没が訪れる直前だった。オルト君達から「シルバー君が失踪した」と連絡が入ったのは。

私は「果てまで届く弓矢」でシルバー君達の動向を確認していたから、彼らが無事RSAまでたどり着いたことも、そのあと選手控室に入ったことも
マジカメと魔法、両方で確認しているしなんならに目視もしていた。

まさに控室まで辿り着けばもう大丈夫。と胸を撫で下ろした束の間というやつだね。

オルト君達曰く、沈みがちなシルバー君を考慮ししばらく一人で居られるよう対応したらしい。
それでも外部侵入者に対応するべくドアや窓の外側で見張体制を続けていた矢先。
内部の監視カメラを見ていた自室の君が普通鏡無しで有り得ない規模の転移魔術に気付き今に至るとのことだ。(服だけとかならいざ知らず、人一人動かすような大規模な転位魔術は基本鏡をはじめとした媒体が必須なんだ。我が家の別荘にあるようなね。)

人が多すぎてスキャニングが間に合わないと困っているオルト君を見て、慌てて「果てまで届く弓矢」を起動させれば、なんとシルバー君はRSAのコロシアムには居らず学舎の塔を上へ上へと歩いていて、何かただならぬ事態が起きているのは明白だった。

これは早くシルバー君に追いつかなければいよいよまずい気がする。
しかし、私達塔にたどり着いた時にはもう頂上一歩手前まで彼は歩みを進めてしまっていてね。

下から声をかけるが返事はなくただただ反響音が聞こえる様に思わず間に合わない。と感じでしまったその時

オルト君が飛び立たった。
彼は流れ星のように塔の上まで駆け上がったかと思うと、シルバー君の動きを止めたのさ
しかしシルバー君は抵抗をつづけていると音を聞いてるとわかる。
早く手伝わなければならないと階段を踏み込む足が強くなる。

何とか彼らを助けることができるかと考えつつ、塔の上まで登ると
オルト君腕の中には糸が切れたかのように倒れたシルバー君がいた。
話を聞くと、どうやらオルト君が最後の最後、ユニーク魔法に目覚めたようで。本人もなんだかよく分からないパワーでシルバー君のことを止められたようだ。

これは後々分かったことなんだけれど、オルト君のユニーク魔法は「因果」だったり「運命」だったりの糸を断ち切る魔法のようでね。
自室の君曰く「拙者の推しアイドル…がけもが持ってる運命の糸を切ることができるハサミ」とのことだよ。
どうやらシルバー君には強い呪いないし祝福がかけられていたのだけれど、間一髪オルト君が因果の成就をぶった切ることに成功したというわけだね。

まさにムシュー・ワンダー!
やはり君は奇跡を招く存在だったんだ!

と、一瞬喜びと安心に満ちた心もちになっていると、窓から強い夕日の光が差し込んだ。
ふと外を見やれば日がしずもうとしていた。
前半戦の終わりのタイミングだった。

しかしなんでだろうか。
NRC側から這い寄る暗雲が。悪夢がまだまだ始まったばかりだと物語っている気がした。
私が前半戦中に感じた悪寒は、未だに私の背筋を震わせていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?