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ルークハント怪文書⑦

ボンジュール!私は愛の狩人ルークハント。今までの夢話はどうだっただろうか?
楽しんでいた頂けてれば幸いなのだけれど。
さて、今までずっと私の視点での様子を語っていたのだけれど、RSA側にいた私視点ではどうしてもNRC側で起きたことは語ることができないんだ。
そこで、竜の君目線の話とリリア君目線の話、監督生君目線の話を断章として綴ろうと思う。
何故そんなことが出来るかって?もちろん夢の中だからさ!
物語もいよいよクライマックス。最後まで楽しんでいただけたらと思っているよ。

※ATTENTION

このnoteはスマホゲーム「ツイステットワンダーランド」で今後展開されるであろう7章こんなストーリーだったら面白いな…という考察を物語風に仕立てたものです。よって6章までの盛大なネタバレを容赦なく含みます。そこのところご了承ください。
また、この話は
「愛の狩人ルーク・ハントが夢で見た7章」
という体でルクハンが自分が見た夢を思い返すような形で綴ってる夢日記という体で描いてます。
つまり怪文書です。
完全なる妄想、幻覚です。
普通の考察文だと出しきれないこんなインスパイアあったら嬉しいなって言う小ネタも入れ込もうとした結果がコレさ!
後ほど別ノートに解説を作れたらなと思っています出来上がるまではどこに何のインスパイアを入れたか考えながらご覧いただければと思います。
なおこの話はつづきものです。
その①〜⑥まだ読んでないよ!って方はこちらからお願いします。 

なお、今までずっとルーク視点でしたが今回はマレウス、リリア、監督生視点の断章セットとなります。あらかじめご了承ください。

断章1「楽園」

鏡を抜けるとそこは伽藍洞であった。
NRCの校舎はかつてないほど、静寂につつまれていた。
誰も居ない校舎に赴きを感じながら歩みすすめれば、今までのささくれ立った気持ちが落ちついていく。
あの決闘で負けてからというもの、ずっと人間の声や気配が茨の棘のように肌を刺していた。
下手に動けば人間に雷を落とかねないと、引き籠ることしか出来ないでいた。ようやく気配が落ちつき外へ赴けるようになったのだ。
しかし、ここまで人が居ないとは、僕が知らぬうちに長期休暇に入ってしまったのだろうか?そんなことを考えながらいつものコースを散歩していると


オンボロ寮の前に、リリアがいた。

校舎内だと言うのに大きな荷物を持つ彼に違和感を抱いているうちに、彼は口を開きこう言った。

「マレウスよ、今日付でお主とワシは退学じゃ。お主と人間の世界は相容れぬ。茨の谷で静かに暮らすのがお主のためじゃろう。」

あまりに唐突なリリアの言葉に頭が追いつかなかった。なんとか声を絞り出しなぜと問えば「アレを見よ」と視線を誘導される。
誘導された先には祭典に賑わうロイヤルソードアカデミーの校舎がうつる。あぁそうか今日はマジカルシフト学園対抗戦の日だったかと、思わずそちらに飛び立とうとすれば、すかさずリリアに止められた。
「やめよ、お主は招かれておらぬ」
お主は選手から外させた。試合ももう始まっておる。皆が楽しんでいる所に水を差すな。そう言われて心の芯が冷たくなった。
また置いていかれてしまったのかと思うも束の間
間髪いれずにリリアは茨の谷の近衛兵からも引退し赤竜の国へ行くと言うものだから。胸にくすぶる寒気は加速していく。

遠くから聞こえる楽しそうな声を背景に


「お主とはここでお別れじゃな。…………意に沿えぬことばかり押し付けて、結局、実のあることは何もやってやれんかったが……達者でな」

そう笑顔で言われてしまえば、遂に心臓が握りつぶされたかのような感覚になってしまう。

リリアが居ない窮屈な城へ戻る。
それはずっと、覚悟を決めていたはずの事柄だった。
元々学校で今更学ぶべき魔法など無く、この学園に入学した目的は外の世界の見聞のため、少しばかり窮屈な思いから解放されたいがためだった。
それなのにどうして。
どうしてこんな胸が苦しいのだろう。

そしてなにより
リリアはなんでこんな別れの時も笑顔でいるのだろう。

それじゃあ船の時間があるから!と門の方行こうとするその刹那ポケットから見えたドングリの腕輪を大事そうに扱う姿を見て

ふと、ドス黒い感情が湧いた。

何故リリアは僕に笑顔で別れたのだ?
何故リリアは今、ドングリを大切そうに扱い寂しそうな顔をするんだ?

どうして?
どうしてどんぐりは…
どんぐりは…つれて………

…あぁ、そうか。お前は、僕から離れたいから笑顔なのか。
お前も僕と共に居たくないのか。
僕に恐れずに向き合ってくれた、お前に言われたからこそずっと
人を傷つけないように、ひたすら努めたのに。
人を守るべく、ひたすら努めたのに。
最新の注意を払って、ずっと、ずっと、配慮して、我慢しつづけてきたのに

何もかもが信じられなくなる。
これ以上何をすれば良いんだ?
僕から離れようとする人々に
僕を除け者にしようとする世界に!

あぁ、観客の歓声が耳を刺激する。
気配が僕をあざ笑う。
楽しそうであればあるほど悲しくて、痛くて、憎くて仕方ない。
何よりも、全てを手に入れておきながら無自覚な彼奴が恨めしい。

そう思ってしまったが最後。
無意識に魔法を紡いでしまった。

「ああ、そうだ。始めからこうすればよかった。」

御伽噺の世界を作ろう
民の命を永らえさせ、寂しい別れのない
いつまでも永遠に幸せに暮らせる楽園を
無論君臨するは僕一人
そうすればきっと…

「きっと、少しも寒くない。」

断章2「或る蝙蝠の一生」

人生は詩の一編より若し
長いこと生きてきたが、この言葉の正しさに身をつまされるばかりだ。
永い時をかけ言葉を尽くしても徒労に終わることもあれば、たったの一言で報われる瞬間もある。その繰り返しが人生で、撚り捻り合わせたものが歴史であった。

今回の一件は無論前者の方だ。
彼のことを哀れに思い、永らく手を尽くした果てがこの結末だ。
自身の身体も限界。
裏で行使しつづけた魔法と、過度なストレスで身体中あちこちが悲鳴をあげている。
て人でいられるうちにここを立ち去ろう。
あとは誰も居ない山野で静かにオーバーブロッドして学園長にでも回収させれば良い。
そう思いながら門を向かおうとした矢先

自身の胸元のポケットが燃えた。
思わず、後ろを振り向けば
「今立ち去れば彼奴がどうなるか…お前なら分かるな?」
と、マレウスが晴れやかな顔で杖を振るって言う。

マレウスのユニーク魔法は因果律をつかさどる糸の操作だ。
因果は人にも物質にも宿る運命のようなもの。
時間経過で「寿命」で壊れたならものいざ知らず、突発的な事故で壊れたものであれば、それこそ破れた布を糸でつぎ合わせるかのように修復することが出来る。
しかし、マレウスの魔法の真骨頂は、人間の運命にまでも干渉が可能ということだ。物と違い人間の運命を対象とするのは彼が縁を結んでいるものに限られる為、そうそう発動されることはないのだが、今、RSAの先には彼が干渉できる存在が居る。

殺さねばならない。

このような暗愚、世に残してははならない。
そう思った瞬間、目の前は真っ赤になった。

最短でマレウスの首を狙うべく一気に距離を詰める。
某はユニーク魔法を質に入れた状態。
マレウスがユニーク魔法が成就したらシルバーの命はないし勝ち目もない。
だから成就する前にカタをつける。
そう心に決め最大の力で武器を振り上げた。

身体中が悲鳴をあげる。

しばらくは、ずっと某が一方的に攻撃を仕掛けつづけるばかりであった
マレウスは避けているのみで攻勢にならない。
表情を見れば、戸惑いが良く見て取れる。
その姿に思わず頬が緩む。
そうだろう!己がこんなに恨まれているなんて想定外だろう!

赤子のころから世話をしてきてから百有余年
しょうもない用事で大事な予定を潰され
ご機嫌取りのために奔走しつづけた
学校へ入学してからもずっとだ。
寮長の責務を解せぬ奴の尻拭いをし続けた。
奴の境遇をあまりに哀れと思い、駄々に耐えてきたが
一番大事な物を潰す浅薄さにほとほと呆れた!

このような怪物、育てたことが間違いであった!なので、責務をもって終わらせよう。

怒りで身体に血が巡る。
武器を持つ手に力が入る。

お互い切り札を欠いたままの決死の肉弾戦の中
ようやくマレウスの首が取れるとこまでひっ迫する。そう思った刹那、

意識が何かに絡め取られた。

心臓を括られた感触から察するに、シルバーにかけようとした因果がワシに跳ね返ったのだろう。
よかった。これでシルバーは無事に帰れる。

安心の中。某は微睡むように旅立った。

断章3「走れ監督生」

監督生は焦燥した。
必ず、かの深淵の支配者を止めねばならぬと決意した。
監督生に理屈はわからぬ。
異世界から来訪し、世情を解さず暮らしてきた。
だけれど、嫌な予感に関しては、人一倍敏感にならざるを得なかった。


今朝、夢を見た。
森に住む少女が妖精達に自身の身の上を聞かされ
ささやかな恋が叶わないと知った少女が悲しみに暮れていると
茨の女王が、糸車の呪いを少女にかけにくる。
そんな内容の夢。

目が覚めた瞬間飛び起きる。
背中はじっとりと濡れ、寝巻きの感触が気持ち悪い。
この嫌な予感に介在する妙な既視感に目を逸らしたくて、思わず窓を見やれば…

人が、空を飛んでいた。
魔法の箒を使わず宙をかけるその人の名はリリア・ヴァンルージュ先輩だっただろうか。
彼はオンボロ寮2階、シルバー先輩の部屋の窓に駆け寄ったかと思うと思いっきり窓を叩き始めた。あまりの音にグリムも起きたため、共にシルバーの部屋に様子を見に行き、

そうして耳にしてしまう。

「シルバー、お主はさる国の王子じゃ。今日、18才の誕生日を迎えたら、お主は、本当の家族の元へ帰ることになるのじゃ」と言うリリア先輩の言葉を。

同時に思い出してしまう。
森の中の少女の夢を。
夢とあまりに酷似したその光景に思わず怖くなり外へと飛び出せば、姿を表したのは妙な既視感の答えだった。
ルーク・ハント
そう、今朝の嫌な予感は、彼が毒林檎ジュースを飲もうとした日に見た美しき女王の夢と近しいものだったのだ。



しばらくの間、こちらの世界に来てからなんとなく見てきた夢のフラッシュバックで上の空になった。
考えれば考えるほど、トラブルに似た夢を見すぎてて。現実と夢の境目がわからなくなる。

なんとか落ちついた頃には日が登りきっており
すぐさまレオナ先輩に引きずられる形でRSAへ行くこととなる。

そのあとは会場につくなり準備にてんやわんや。
「シルバーとエースとデュースとオルトは別行動だぞ」などなど急遽変更となった部分をグリムに聴きながら準備する。
正直今朝からずっとグリムに助けられっぱなしだと感じる。
皆から、自分が呆けていた時にグリムがすすんで事情説明や世話をしてくれていたと聞いて
グリムも成長したんだなぁ。と感慨深くなる。

ちょっと頼もしくなった小さな背中に安心感を覚え、ようやく周囲を見渡せる余裕が出来た頃

気づいてしまう。
ツノ太郎が会場にいない。と。

ヒュッと。今朝の嫌な予感がぶり返す

慌ててレオナ先輩に確認したら「トカゲ野郎は不参加だとよ。退学謹慎処分が決まったんだと」と返され、嫌な予感が増幅する。
実のところオンボロ寮作戦室では昨日までツノ太郎が参加する場合のシュミレーションをしていた。万が一アイツが頭下げるなら利用しない手はないと言って。
99%無駄といいながら。チームのメンバーに協力を仰ぎ試行錯誤してきていたのだ。
本来なら自分が彼を意思確認に行く手筈だったのだ。

しかし、レオナ先輩の表情が予期せぬ形で頓挫したと物語る以上、今朝自分が呆けてる間に何かあったのは明白だ。
このままじゃ…

このままじゃ……!!


気づいたら走り出していた。
「レオナ先輩。どうしても行かなきゃいけないところがあるんです!」といい残して。
行き先は無論NRC。

今日は夜までバスが出ないから走るのみだ。

上り坂に息が上がる
目の前がチカチカしてぼやけてく。
足の筋肉は悲鳴をあげて
何度止まりかけたか分からない。
けれど、姫を呪う茨の魔女の夢が
歩みを止めるなと言ってくる。

自分には、理屈が分からない。
異世界から来て、魔法に触れて半年と少ししか経って無い。勉学はすれど自身に魔法が使えない故未だ魔法士の感覚すらわからない。

だけれど。
今、ツノ太郎を絶対止めなきゃ大変なことになる。それだけは確信を持てるのだ。

頭に焼き付く光景が
ずっと警告してくるのだ。

正直止められる可能性は限りなく低いだろう。
自殺行為だと言われたら最もだ。
それでも、行くことに意味がある
そう心に決め一歩一歩進んでいけば
ようやく頂上にたどり着いた。

校舎内に入るや否や、自寮に向かう。
あくまで直感なんだけど、ツノ太郎は今オンボロ寮にいると思うのだ。

どうか間に合ってくれ。
と、最後の力を振り絞り進んでく。
ツノ太郎がいたらそのまま体当たりしてやるとおもいながらつきすすむ。

そして遂に
ツノ太郎と邂逅した。
しかし

彼の立ちすくむ側に倒れたリリア・ヴァンルージュに、間に合わなかった。と感じでしまった。

「おや、どうしたんだ?監督生?」
人が倒れる中、不気味なほど美しい笑顔でこちらを見てくる彼に、何かうすら寒いものを感じる。
人智を超えた存在に頭が理解を拒絶している。

自分は初めてマレウス・ドラコニアに恐怖を覚え、思わずこう呟いてしまった。

「カイブツ…」と。

その瞬間、彼の高笑いと共に全てが闇に呑み込まれた。

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