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何時しか 脱落した 其の寺院。 そんな感じで 客人は疎か 誰もいない。 軋む椅子に 凭れかける。 傾く天井 ‥ 輪廻転生。
玄関先の 人形は 舞い納め。 そんな感じで 朽ち果てる 終い住い。 帰る場所に 遠回りも 何もない ‥ 人の道。
島に眠る 深い爪痕。 そんな感じで 戦争遺跡。 始まりと 終わりの ‥ 霞む狭間。
人知れず 崩壊の渦中。 そんな感じで 心許ない 足元の悲劇。 何もかも 傾れ崩れる ‥ 時を背負い。
目にしたのは 百度石。 そんな感じで 寒空の下 御百度参り。 神に百度と 相対するも 願い事の 叶う気配は ‥ 微塵もない。
掟に背く者は 許されない 夜さりの時。 そんな感じで 在りし日の 使用人は ぽつりと話す。 御用の申出は 夜七時迄に。 沈黙の来客者は ぽつりと佇む 最小テレビに ‥ 縮こまる。
薄れゆく 幼少期の 思いで。 そんな感じで 保育バスも 走行しない 森の中。 そっと静かに ‥ お昼寝時間。