いちごの名前
八百屋さんで安かったから、そう言うと
義母が、苺を1パックくれた。
夜ご飯の後に食べよう、と冷蔵庫に入れ
夕飯の支度を始めた。
今日のメニューはメンチカツとサラダ。
少し前までは、ご飯が進めば良いと思って、副菜を作るのをサボりがちだった。
しかし、最近 子供が産まれた。
今後のためにも栄養バランスに気を付けなければならないと思い始め、申し訳程度に、毎食レタスをちぎって添えている。
お米も炊けて、夕飯の準備は整った。
今日は夫の帰りが遅いとのことだったので、子供にミルクをあげて寝かしつけ、私も夕飯を済ませる。
さあ、楽しみにしていたデザートの時間。
冷蔵庫から、いちごを取り出す。
開けようとしてパッケージを見ると、
書いてあったのは
「 いばらキッス 」
ふふ、と笑ってしまった。
茨城県で生産された物だということはまず分かったが、想像力をかき立てられたのはその次の単語。
小説等を読んでいると、キスは色々な表現をされる。
この名前を考えた方は、甘酸っぱい、を想定していたのだろうか。とろける甘さ、だったのだろうか。
そんなに深くは考えていなかったかもしれない。
しかし1度考え始めるとニヤニヤしてしまう。
今日の振り返りをしながら、イチゴを食べる夜。
天気はパッとしなかったが、1日を通して 子供はよく寝てくれ、メンチカツも美味しい、いい日だった。
しかし、夫の帰りを待つ寂しさからだろうか、
いばらキッスは少しだけ酸っぱかった。
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