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10/25 DAY#41 嵐の横浜スタジアム

今日のスケジュール
08:00 朝食 ボディースクリーニング
10:15 オプションウェイトトレーニング
12:00 ランチ
12:30 メディアインタビュー
13:30 戦略決定者会議
13:45 バス出発
17:00 スナック
17:45 FWミーティング
18:15 ディナー
21:00 スナック

今日はキャプテンズランじゃないけど、明日は別の試合が行われる為に昼からスタジアムで練習。
しかし今日はすごい雨…
と言うか久々の雨。
本当ウェールズは天気に恵まれてる。
ここまで雨が降ったのは2日のみ!
今日が3日目。晴れ男ばっかり何だろうか?

朝いつもより早く起きて今日帰国してしまうリーアムのお見送りに行く。
帰ったらすぐにオペするらしい。
僕は今回リエゾンの仕事をする為にある決め事をしていた。
それは、選手との距離感を保つ事。
僕もプレーヤー、ラグビーが大好きだ。
リエゾンになった事で選手達とはあり得ない距離感で毎日過ごす事になる。
しかしリエゾンという立場でいながら熱狂的なファンであった場合、選手達にとって迷惑な存在になってしまうんじゃないかと思っていた。
だから今まで選手達とセルフィーした事は無い。
あくまでも裏方に徹するべきだ。
でもリーアムとはこれで最後かも知れない…
そう思うと話しかけられずにいられなかった。

ラ「リーアム、今までありがとう」
リ「ヤーマン、こちらこそ色々助けてくれてありがとう。特にWiFiやゲームのセッティング、彼女の部屋予約ではお世話になったよ」
ラ「今まではリエゾンだし言えなかったんだけど、俺はリーアムのファンやねん。プレースタイルが好きで。やっぱWTBよりFBでのプレーの方が好きだよ。そんなリーアムを間近で何試合も観れて本当嬉しかった。ここまで連れてきてくれてありがとう!」
リ「何だよ早くそれ言えよ(笑)そしたらシャツとか色々あげたのに(笑)」
ラ「いや、もう充分だよ(笑)こんなに近くで観れたし。それにTVでは絶対に見れない姿もいっぱい見れた。特に試合前にあんなにリラックスしてるなんて思ってもみなかったよ」
リ「皆んなは結構ナーバスになってるけど、俺はそーゆーの苦手(笑)それに普段と同じでないと試合でも同じ事が出来ないんじゃないかと思ってる。だから試合前でもいつも通りの自分でいる事を心掛けてるんだ」
ラ「でもナショナルアンセムとか歌ったら嫌でも緊張するんじゃないの?」
リ「ナショナルアンセムの時は歌ってるけど別の事を考えてる。国家だから違う事考えてても歌えるしね(笑)」
ラ「へーそうなんだ、何考えてるの?」
リ「XXXXの事とかかな(笑)ラグビーの事は考えてない(笑)キックオフのホイッスル聞いたらラグビーに集中する様にしてる」
ラ「XXXX(笑)リーアムっぽいわ、これから帰って手術でしょ?」
リ「ああ、すぐにオペだよ」
ラ「大変やな…俺もオペした事あるけど良いもんじゃないよね」
リ「そうか?俺はある意味楽しみだよ(笑)全身麻酔とか気持ち良いじゃん(笑)それにこれで暫く静養出来るし。RWCがあったからここ2年弱はずっとラグビーしてた感じだし。ちょうど良いよ。」
ラ「全身麻酔(笑)わかるわ、俺もブラックアウトするまでカウントダウンとかする(笑) そっかーやっぱヨーロッパだとシーズン長いし試合数多いもんね…」
リ「でもそんなに難しい手術じゃないし、ウェールズチームのお疲れ様旅行は行くよ(笑)カリブ海に皆んなで行くんだ」
ラ「へーそれは楽しそう。俺も連れてってくれへんかな(笑)」
リ「アランに聞いてみれば?あかんって言うと思うけど(笑)」
ラ「それは無理っしょ(笑)」
リ「とにかく、今までありがとう」
ラ「こちらこそ!当たり前のことをしただけでそう言って貰えて嬉しいよ。また会おう」
リ「ああ、イングランドかウェールズにおいでよ。来たら連絡してくれたら会いに行くよ」
ラ「マジ?今ちょっと6ネーションズ行こうか悩んでるけど行くなら連絡するわ」
リ「おー、良いね是非おいでよ、また会えるの楽しみにしてるよ」
ラ「うん、会いに行くよ。じゃ気をつけて。いつも応援してるよ」
リ「サンキューヤーマン!じゃあな!」

そう言って握手してハグして別れた。
リーアムは面白い奴だった。
また絶対に会いに行こう。
この時6ネーションズに行こうとほぼ心に決めた。
結局リーアムとセルフィーは撮り忘れ(笑)

そしていつものルーティン朝ミーティングしてると、ジェンキンスがやってきて朝からキッカーを連れて練習したいとの事。
アレックと僕で二手に分かれて、ウェイト組とキッカー組を秩父宮へ連れて行く。
シューちゃんは帰ってきたらホテルに残ってリクエスト待ちに。
朝に秩父宮でキッカー練習する事をTCCのMさんに伝えると、マジですか?と送られてきたのがこちら。
なかなか悲惨な状況…
冷蔵庫は無事なのか(笑)

そんなことはお構いなしでグランドへ。
雨でもガンガン蹴り込むキッカー。
やはり今週のセミファイナルは僅差で進むと思うし、何より拮抗した状況でのPGは本当に大きな意味を持つ。
今大会はビッグスがメインキッカー、今のところ彼のゴール成功率は非常に高い。
特にタッチラインから15m以内の難しい角度からのキックは安定している。恐らくこのエリアでも80%は超えているのでは?
それも日々の練習の賜物なんだろう。
本当に良く練習している。
今日午前中は自由参加のウェイトだったのに志願して練習している。
努力は人を裏切らない。

そしてホテルに帰ると明日のキャプテンズランの準備。
いつもの如く僕達がやる(笑) その方が早い!
そして買出しも僕達だけで行く(笑)
だけど色々細かいリクエストがあって買い物には行けず…後で行くか。
ふと僕達のテーブルに僕宛の封筒があるのに気づき、中を見てみると…


とあるフォロワーの方からウェールズチームに贈りたい物があると言われてホテルに送って貰った物でした!
開けてビックリ、手作りのブローチ。
しかも僕の顔まで描いてある!
選手に渡すと皆んな手の凝ったプレゼントで喜んでくれた。
本当はホテルの住所とか教えたらダメなんだろうけど、僕は安全であろう人で僕にDMしてくれた人には応えられる範囲で答えていた。
一生に一度、そんな機会に勇気を持って何かをしたいと思って僕にまで連絡くれた人は少なかったけど、実際に数名の方は何とかしたいと思い連絡してきてくれたのでそれに応えた。
何事も行動しないと結果はついてこない。
そう思ってるだけにそうしてあげてしまった。
でもみんな良い人ばかりで良かった(笑)

そしてランチを食べたら昼からの準備。
スタジアムでの練習だけどメニューはいつも通り。
なのでコンタクトバッグやタックルバッグなども持っていく。
DHLバンは練習道具でパンパン(笑)
用意が出来たら少し待っていざ出発!
今回は今までで1番遠いスタジアム…
しかも雨。
多分渋滞してるんだろうな…
と思ったら案の定大渋滞(笑)
僕はバンを運転してたので被害は無かったけど、シューちゃんはバスでバスガイド席に座ってたら後ろからイライラしてるアランに椅子をずっと蹴られてたらしい(笑)
想像するだけで寒気する状況である(笑)
そして結果は到着15分遅れ!残念!
シューちゃんの渾名は2日ほどミスター15ミニッツに改名された(笑)

到着したらピッチにバンの中身の練習道具を下ろす。
しかし大雨、しかもピッチのタッチライン付近は水が溜まってる!
明日明後日の試合はこんな状況だったらどうしよう⁉︎と思うレベルのコンディションだった。
そんな状況に苦労しながらも道具を下ろして並べて行く。
後は選手達の練習のお手伝いをするだけ。

しかしさすが横浜スタジアム。
デカい!
けど陸上トラックがあるからかピッチから観客席が遠くて、8万人入る観客席も何故か圧迫感を感じない。
ここまで4会場でゲームしてきたけど、トヨタスタジアムが1番雰囲気あったかな?
あの圧迫感のある三階観客席が良い。
そんな事を考えながらピッチを一周してみる。
また来週末ここに帰ってきたいな…

暴風と大粒の雨を降らす空が、まだ3時過ぎの太陽を遮り真っ暗でそんな僕の思いを何となく不吉にさせていた…

チーム練習も終わり、今日は持ってきた道具を全て持ち帰り。
明日はここでもう一つのSF、イングランド対ニュージーランド戦が行われるからだ。
なのでスタジアムのデコレーションも明日仕様。
どちらが勝つのか?世紀の一戦になる事は間違いなし!

そして帰りの道も雨のせいで少し渋滞。
行き道よりかは大分マシだったので機嫌もそこそこ(笑)
帰ったら直ぐに届いたポケットWiFiを英語設定にして皆んなに渡さねばならない。
しかも朝行けなかった買出しもある…

ホテルに着いてすぐにWiFiを配り、ディナーをしてたらアランの登場。

ア「いやー今日は雨で参ったな。何で日本はこんなに渋滞するんだ?」
ラ「まぁ今回は雨だったからとしか言えません…」
ア「ふん!これで明後日晴れでも渋滞したらお前の名前はレインマンにしてやる」
ラ「え?まぁ良いですけど(笑)」
ア「所で明日の夕方だけどハイエースを出せ」
ラ「はい、それは構いませんがどこへ行くんですか?」
ア「ルークと他のコーチ4人が明日のSF1を観に行くからスタジアムまで送り迎えしろ」
ラ「え?スタジアムまで?じゃスタジアムで待機って事ですか?」
ア「ああそうや、ドライバーも試合観てて良いぞ」
ラ「ええええ!?マジすか?チケットくれるんですか?」
ア「心配するな、明日の試合のマッチマネージャーはウェールズ協会の親友だ」
ラ「おお、なるほど」
ア「俺からお前らの事も言っといてやるから大丈夫や」
ラ「ありがとうございます、じゃちょっとプラン立てます」
ア「うぬ、出来たらルークと相談しろ」

何と!幸運な事に明日の試合が観れそうだ!
しかしまだハードルは残っている。
問題は車。明日は我々ウェールズは関係の無い試合。
ウェールズは関係者ではない。
つまりいつも使える車両通行証やIDなどが使えるかもわからないし、車を置く場所も無い…
ちょっと考えるか…
と言う事で相談した結果、僕とシューちゃんで行く事に。
アレックはABsのゲームを観たかったけど観たくない不思議な感覚に襲われてて辞退してくれた。
僕らに譲ってくれたのだ。ありがとう。

この時のアレックの予感がまさかの結果をもたらすとはまだ誰も知る由は無かった…

続く

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