かつて18歳だった君へ。-若さはゆるやかに溶けて-
あの頃のわたしたち
あの頃はいろんなことがわずらわしくて、まぶしくて、きれいだったね。
グラウンドを染める茜、廊下に落ちる影、眠たい朝とふてぶてしい校舎、笑い合う声。
あの時間は何より貴重だった。
それなのに勝手に「受験」なんてものがやってきて、二度と会えないであろう彼らを尻目に、わたしたちは歩き方さえわからないまま走り始めた。
教室を染めていった灰色はいたるところに広がって、わたしたちの色を、放課後を奪ってっいった。与えられた「答え」に向かって、一列に並んで走るわた