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ルービックキューブ速解き入門

スピードキューブはじめてみました

凄い人や若い人がたくさんルービックキューブの速解きをしています。スピードキューブ、というジャンルらしいです。

子供が放り出したルービックキューブが転がっていたので、30余年ぶりに触ってみた私は、解くのに10分以上かかりました。夜中に解いておいたら、思いのほか子供が喜んだのに気をよくして、もっと素早く解く方法を検索してみました。というのも、解く様子を子供に見せてみたら、私の速度では飽きて気が逸れてしまうんですね。

ともあれ、そうして検索してみたところ、スピードキューブというもの、そしてその代表的な手法であるCFOPに出会ったのです。すでに優れたウェブサイトもそこここにあります。しかしまあ、どちらかというと分かっている人向けの、ハードめなコンテンツが多いというのも感じたので、ちょっとした解説を作り始めてみたわけです。初心者なりに、一緒に学びながら速くなれれば嬉しいです。

なお、間違いがあったらやさしく教えてくださいね。年端もいかない妹に教えるように、Twitter@MikimekimiKumeまでよろしくお願いします。

このノートとテキスト等の教材には、中級者以上の方を唸らせる何かは一切!載っていません。入門者が作る入門教材ですから、「え、そこから?」というビギナーシップと、美しさしか取り柄はありません。私と同様の初心者の方に愛してもらえれば良いなあ、と思っています。

なお、ダウンロードするPDF・mp3や外部サービスこみで完結するノートです。アフィリンク等は一切ないので、遠慮なくリンクを踏んで使ってやってください。

CFOP法

一般的に、CFOP法、というのが、代表的な手法となるようです。これは頭字語で4段階ある解法フェーズを順番に並べた名前とのこと。

 ・C(Form a Cross)底面に十字を作る
 ・F(First 2 Layers: F2L)底面から中段までを完成させる
 ・O(Orient Last Layer: OLL)上面のピースの向きを揃える
 ・P(Permutate the Last Layer: PLL)上面のピースの位置を揃える
 ・完成!

ここで出てきた、F2LOLLPLLという言葉は、今後たくさん出てくるはずです。ぜひ、ここは馴染んでおきましょう。

ツール

基本的に、物理的な教材=ルービックキューブ以外は無料です。

 ・物理的な教材:3x3x3のルービックキューブとと2x2x2のミニキューブ。なお、まだ私はスピードキューブ用のキューブは入手していません。一通り記憶して、後は手技を研くのと、技の引き出しを増やすだけ、という段階になったら買おうかと思います。ちなみに、2x2x2のミニキューブは、ルービックキューブの理解のために、初心者なら初めに入手すべきだと思います

 ・自作のテキスト教材:PDF(そもそもの原版はExcelで作って吐き出しています。後述の和文回転記号ベースで、CFOPの手順を整形したものです)

 ・無料単語帳アプリ:Quizlet。自分ではiPhone上で使うように作りましたが、AndroidやPCからでも使えます。

 ・音声:ゆっくりボイスのMP3(耳から脳に叩き込むのもオススメ。4分のループなら、1時間に15回転できます。そしてまた、こういう覚え方は日本語向きだと思います)

和文回転記号

まず、回転記号についてご紹介しましょう。ルービックキューブの回し方は絵解きで解説するのが一番分かりやすいはずです。しかし一方、画像記憶のできる稀有な人を除いて、「読めないもの」はなかなか覚えられません。伝えるにも、いちいち画像を作るのでは、手間もかかり、情報密度が低く非効率です。そこで、ルービックキューブの回し方の1動作ずつに、アルファベットを割り当てることにします。これが、回転記号です。一般的な回転記号については、下記リンク先がきれいな図解で分かりやすいので、そちらを見て頂ければ良いかと思います。

Tribox:回転記号

ルービックキューブの回し方のような類の記憶には、手を動かしている様子を自分自身で見て、それによってイメージで記憶するのが大事です。つまり、回転記号を見ながらではなく、ルービックキューブと手を見るのが大事。目を切ることが大事。だから、言葉でざっくり記憶して、ぶつぶつ復唱しながら手を動かしたい。

でも、R U R' U'とか、私にはどうつぶやけば良いのか分かりません。英語圏の人なら、「R」を「Raで始まる短い単語」、「R’」を「Riで始まる短い単語」などにあてはめてつぶやくのでしょうが、英語に堪能でない私にはとてもそういう芸当はできません。目で見ているだけでも、特にアポストロフィ記号がチカチカします。

そこで考えました。日本には九九とか電話番号の語呂合わせのように、1音1記号の体系にあてはめて、唱えて作業性記憶に放り込む手法があります。同じような使い方ができる、和文回転記号があるといいな、というのが、これを考えた経緯です。

それでもって、コレです。Tribox様のサイトに負けないよう、綺麗に作りました!

和文回転記号詳細

1音1動作、という原則で、なるべく想起しやすいものを考えました。「み」ぎ、「ひ」だり、という言葉から、まずは、一般の回転記号だとアポストロフィのつかない正回転(表面の回転なら時計回り)をイ段、その反対回りをエ段、180度回転をウ段としました。そして、どの面を回すかを行で示すことにします。

Upはかなりこじつけですが、

 R → マ行 「み」ぎ =右
 L → ハ行 「ひ」だり =左
 U → カ行 「き」わみ =極み
 D → サ行 「し」た =下
 F → タ行 「ち」かく =近く
 B → ラ行 「り」めん =裏面

と割り当てました。

2段回し(元はRw、Lwなど)は、正回転はア段・反回転はオ段に割り当てます。2段回しの180度回転は、正回転もしくは反回転を繰り返すことにします。ここは最大の妥協点です。が、2段回しの180度回転はあまり見かけないので、良いのではないでしょうか。

中段回し(M, S, E)と全体回し(x, y, z)は、ちょっと高コストな感じが出るといいし、また、他とごっちゃにならない方がいいと思ったのでカタカナの濁音と半濁音に割り当てます。

中段回しをガ行、全体回しをパ行にしました。中段回しをしゃしゅしょなどに割り当てるようなアイディアもあったのですが、発音しにくいのでやめました。

中心軸が混乱しないように、Y軸周りは促音、X軸周りは撥音、Z軸周りは音引きに統一します。

 ・Y軸はポンコツロボが首を振るイメージ
 ・X軸は子供がうなずくイメージ
 ・Z軸は時計台の歯車が動くイメージ

自分で書いていてもなんだかバカっぽいですが、印象に残れば混同しないというか、混乱した時に思い出すためのフックにできるようにとご紹介しました。このへん、正回転がどっちだったかも混乱しがちですが、この調子で適当にこじつけておくと良いです。一応、Quizletにもそれ系の学習セットがひとつあります。テキストの右欄外にもあります。どうせかなりのこじつけなので、よければ皆さんそれぞれ考えて見ると良いです。

 ・「ピン」は刺すから手前面下向きに、とか
 ・「ペン」シルロケット発射、とか

逆に言うと、そういうこじつけをしておかないと、ここはどうしても混乱しがちです。元ネタはまあ、Evenとか、頭字語なんですよね。ただ、それはそれで英語に親しんでいないと直感的にはなりませんし、向きは自明ではありません。

ここから先は、全面的にこの和文回転記号に依存していますので、PDFテキストを再掲しておきます。

ちなみにその成果

では、こいつを使っての練習ですが、私のメニューは、まず混乱しないように、和文回転記号の一覧表を見ながら、口に出してキューブを回しつつ、

「みめむむ、まも、ひへふふ、はほ
 きけくく、かこ、しせすす、さそ
 ちてつつ、たと、りれるる、らろ
 (青ボトム白正面から)
 ギッ、ギン、ギー
 (青正面白上面を確認)
 ゲー、ゲン、ゲッ
 (元に戻ったことを確認)
 ピッ、ピン、ピー、
 (上面に黄色縦棒、前面に緑縦棒、右面が橙市松を確認)
 ペー、ペン、ペッ
 (元に戻ったことを確認)」

とやってから、前日の復習と、新ネタの学習をするようにしています。まだまだですが、修得は格段容易になったと感じています。正方向の向きは普通の回転記号に準拠しているので、妙な混乱も来さないはずです。

この後説明する2x2x2の解き方は、それまでなかなか頭に入らなかったのが、和文回転記号を導入したら、その日のうちに全部ひとまず覚えるところまでは行けたので、当初は「我ながら(いつもながら)バカなことを考えるもんだ」と思っていたのが、「ひょっとして名案なんじゃね?」と思い直したのです。捗る捗る。

で、こちらに慣れた後で、Wiki等で見つけた手順を学ぶ時には役に立つかも知れない、一般的な回転記号から和文回転記号への簡単変換ツールです。

 和文回転記号への変換ツール

Quizlet

和文回転記号についてご紹介が済んだので、無料単語帳アプリQuizletの紹介です。この単語帳アプリのiPhone版で、私はしこしこ手順を覚えています。テキストと合わせてどうぞ。

このQuizletには、「クラスルーム」という機能があって、複数の教材をまとめられるのですが、下記の紹介リンクから、クラスルームへの参加ができます。もちろん、教材単位でアクセスすることもでき、Quizlet内で、「JapanizedRotSign」をキーワードに検索するとすぐ見つかります。

Quizletクラスルーム招待リンク(ただし、トライしてみる前に、この記事をひと通りお読みになるようオススメします。学習セットはあくまで「単語帳」なので、これだけでは説明不足な部分がたくさんありますよ)
 Level 0:https://quizlet.com/join/NsJzX5h6S
 Level 1:https://quizlet.com/join/hCmH3YPf8
 Level 2:https://quizlet.com/join/BA4mjHgpb
 Level 3:https://quizlet.com/join/hFGX7UuKZ

前述の和文回転記号についても、Level 0に「0-0 和文回転記号の学習
」と「0-1 和文回転記号の中段と持ち替え」という2つの学習セットを上げています。0-1は持ち替えとか中段とかの覚え方で、既に例示した通りくだらないです。

ここから本番

いよいよ各ステップについてご紹介していきましょう。まずは2x2x2、その上で3x3x3に移ります。

2x2x2-ステップ1:仮1面

まず、好きな色を決めて、周囲の色は気にせず、決めた色の3つのピースを下面に持ってきます。これは、本当に適当に回してもできると思います。これは簡単すぎるので、初めから下面に作るようにしましょう。なお、予習的に書くと、このステップが3x3x3での「クロス」に相当します。

この状態のキューブを骨だけにすると、こんな状態になります。

なお、テキストでは、構築中であるとイメージしやすいのと、隠面を見せておきたい場合がちらほらあるので、OLLよりも前のプロセスではこういうホネホネキューブを多用しています。ただ、人によってはキモく見えるかもしれません。

閑話休題。そうすると、残る1個が、ややおっくうな場所にあるか、容易な場所にあるか、どちらかになります。上面をぐるぐる回して同じになる面をひとつと数えると、揃った3つのピースと残る1つのピースとの位置関係は、テキストにある通り、5通りになります。これを狙った場所におさめるのが、3x3x3での「F2L」に相当する動作です。これを覚えるように勧めている教科書は、ざっとみた感じなさそうですが、これを覚えて、自分で回しながら何が起こっているのかをよく理解すると、3x3x3に進んだ時に理解度が違います。単に「頂点の動きだけを取り出したもの」ではあるのですが、シンプルな分、私は2x2x2に触ってようやくキューブの動きを実感する入り口に立てたような気がします。

これがこの章のテキストです。

テキストには、全ての手順に「和文回転記号(生成)」という欄があります。キューブの完成形からこの欄の通りに動かすと、練習用の初期状態が作れます。セットアップというやつですね。初期状態を作る手順は、解き方の手順を使って記述したので、作りながら動かし方に慣れてゆけます。ここでの動かし方の「慣用句」は、今後たくさん出てくることになります。

さくっとできたら、他の色でもやってみましょう。

2x2x2-ステップ2:OLL

上面も仮完成させます。下面にした色の対面色は分かりますか? 世界標準配色なら、明色ペア「白-黄」暗色ペア「青-緑」暖色ペア「橙-赤」が対面色です。この対面色には早めに馴染んでおきましょう。

下面にした色の対面色がどう散らばっているかで、手順が変わります。

 ・上面に対面色がひとつもない場合、2通り
 ・ひとつしかない場合、2通り
 ・ふたつ並んでいる場合、2通り
 ・ふたつ斜めにある場合、1通り

がありますが、最後のパターン以外は、側面への散らばり方で、さらに2つのパターンがあります。つまり合計7通り。なんども唱えて、唱えながら回して、さっくり覚えてしまいましょう。

上面が同じパターンの見分け方、手順開始時の方向の決め方は、例えばこんな風に考えます。ひとつだけ対面色がある場合、つまりスーンか逆スーンになるわけですが、そんな時はこうしましょう。

 ・側面に対面色がない面が見えていたら、その面を左側に来るように回す
 ・さもなくば、2種の開始状態のどちらとも異なれば、左側が正面に来るように回す

この判断基準は、自分が分かりよいように作るのが良いと思うので、ここでは深追いしません。ただ、「一部だけ見て一発で決める」という考え方を、訓練する良い機会だと思うのです。

2x2x2-ステップ3:PBL

PLLという言葉は出てきましたが、PBLというのは初出ですね。PLLが「Permutate the Last Layer」の略でしたが、このPBLは「Permutate Both Layers」の略となります。そう言えば、仮1面を作っていたとき、周囲の色は気にせずに作りましたね。ここで、上下とも交換によって揃えてしまいましょう。

どのPBLパターンなのかは、キューブを回さなくても、前面・右面の上段・下段に「同じ色が並んでいる」「対面色が並んでいる」「それ以外」の組み合わせから判断できます。テキストの図の状態になるように、向きを変えます。「ペアオンペア」の場合だけは、「き・く・け」いずれかの操作も必要になることがあります。

こういう上面・前面・右面だけを見て行う判断を「2側面判断」といい、3x3x3のOLL・PLLでは重要な技術になります。2x2x2も3x3x3もQuizletで練習できるようにしてありますので、キューブの性質を学ぶためにも、ぜひ、2x2x2から会得して下さい。2x2x2のPBLは、持ち替えが必要な時はペアが見えて自明なので、開始方向だけです。

テキストはこちらです。

さっきも書いたように、Quizletにもひとつだけ学習セットを入れています。「0-2 2x2x2 OLL・PBL 2側面色配置→和文回転記号」というものです。

音声もOLL、PBLをセットにして用意しました。ちょっと聞けば、すぐ覚えられると思いますが、これをしっかり覚えておいて損はありません。

覚えたら、何度も崩して何度も完成させましょう。2x2x2も、知識なしで取り組むとそこそこ苦労しますが、あっさり完成させられるのが気持ちよくなります。ただ、記憶に頼るのがここでの目的ではありません。手元で何が起きているのか、動かしながら観察して、理解しましょう。

2x2x2完成

これで2x2x2で覚えることは、教養としては以上です。もっと速く回すには、まだまだテクニックも「先読み」も必要ですが、3x3x3に取りかかる前座としては、ここまでで大丈夫です。いよいよ3x3x3。覚えることがたくさんありますが、はりきっていきましょう!

3x3x3-ステップ1:クロス

まず最初に、ぐちゃぐちゃにシャッフルした(これを「スクランブル」と呼びますが、そう呼ぶと、偶然簡単に解けてしまう状態になってしまわないように検証されたシャッフル、という含意がありますが、ここでは適当に崩した)ルービックキューブを用意します。

さて、それでは着手しますが、ここで始めるのは、下面の中央の色、側面の中央の色を基準に、欲しい辺のピースを下辺の決まった場所に手早く持ってくるゲームです。ここで補足ですが、辺々奇数ピースのキューブの場合、各面中央のピースは互いに相対的に見て移動しません。その場でスピンするだけです。だから、その色に辺を合わせるのです。

上面は自由にぐるぐる回せるので、上辺を移動させて、都合の良い向きならば側面の180度回転させます。180度回しても下面に来て欲しい色が側面に来てしまう嫌な向きなら、90度回して垂直辺で止め、隣の側面を90度回して下辺に着地させます。バケツリレーみたいだと思います。下辺とか垂直辺とかで嫌な向きの場合、むしろ位置が正しい時の方が面倒くさいのは面白いですね。既に完成した辺を含む側面を、バケツリレーに参加させるために動かした場合、手遅れにならないうちに戻しておかないと、手戻りしてしまいます。

CFOPにおけるOLL以降は、よっぽどのレベルに達するまで、記憶との突合と器用さのゲームになりますが、ここだけはパズルです。F2Lは、そのちょうど中間くらいですかね。

3x3x3-ステップ2:F2L

下から2段を完成させます。頂点と辺のひと組ずつ、縦にふたつ揃った状態に収めます。

最終的には「イメージ→(弁別)→作業」という連想ができる様にしたいのですが、「イメージ→弁別のタグとしての名前→和文回転記号→作業→自分の作業の視覚・触覚的フィードバックからイメージと記憶の連携」というプロセスで記憶を作ります。

ここで、名前が問題なのですね。F2Lには良さげな名前がなく、無機質なコード番号しか見当たらなかったので、ターゲットパーツの配置をそのまま言葉に置き換えられるように、名付けてみました。花火とか陶磁器とかと同じ名付け方です。

これがPDFテキストです。作っては解く、というのが大事だと思います。F2Lは、OLLやPLLと違って対称性が低いので、だいぶ無理矢理な生成方法を並べましたが、なんとか全て解法の組み合わせで表現しています。作っては解き、を私と一緒に修練してもらえれば良いなと思います。

Quizletでは、ひとつだけ。名称から和文回転記号への変換を行う単語帳です。「1-1 3x3x3 F2L 呼び名→和文回転記号」という学習セットを使っています。

音声もひとつです。なお、この音声のスピードで回せると、5 TPS(Turns Per Second: 1秒あたりの操作数)くらいになります。音読だとまあ、このぐらいの速度ですが、黙読・想起なら秒間14字くらい余裕なので、これらの呪文を完全に覚えてしまえば、頭の中で呪文を唱えながら回しても不利はないはずです。これも、和文回転記号を作った理由です。もしもあなたの手技が、想起するスピードに追いついてしまったら、たぶんあなたは世界ランカーですよ。

3x3x3-ステップ3:OLL

いよいよOLLです。上面を仮に完成させます。とはいえ、やることは単純で、パターンに応じて手順を回すだけです。ですから、これもまずは名前。パターンの名前です。英語圏ではそれぞれのパターンに色々とニックネームがあるようなので、良さげなものを探してきて訳しました。名前の出典はSpeedcubing wikiです。スクィージーとか、ザンボニとか、なじみのない単語も出てきますが、あえて超訳はしませんでした。ググってみたり、妄想で補ったりすると、案外それが記憶のフックになります。

ここで、クロス色の対面色が、上面・前面上段・右面上段にどう配置されているか、というのが、どのタイプのOLLなのかを判断する基準です。57通りあります。上面、前面および右面、というのは、ルービックキューブを回さなくても視認できる範囲での判断を意味します。これを「2側面判断」と呼びます。2x2x2でもやりましたね。この判断材料で向きを決める練習は、Quizletでやりましょう。「2-1 3x3x3 OLL 2側面色配置→呼び名(全方向)」です。壊れていないルービックキューブであり得る全てのパターンが問題に入っています。それでも200ちょい。初めのうちは、Quizletの問題が出る度に、PDFテキストから探して解答するのが良いかと思います。全体像を見たり、テキストのどこに書いてあったかが印象に残ったり、という各種フックを得て、記憶は充実してゆきます。

テキストには下記のような欄があります。各方向から見た状態がことなっているのがよく分かります。赤矢印の方向に回してから、手順開始です。

このあたりは色々な回し方を組み合わせるべき、とも言われますが、まず全てのパターンで1通りは覚えて、かつ、慣れている状態にしないと始まらないと思いますので、まずは1通り、習熟しましょう。

テキストのOLL生成手順には、他のOLL手順の組み合わせで作っている都合上、制約があります。完成状態から生成手順で作り、解法手順で解くと、何らかのPLL処理をしないと完成状態には戻りません。ただ、そうだとしても、当然上面の色は揃っていますから、そのままPLLを実行せずにOLLの練習を続けても全く問題はありません。

PDFテキストはこちらとなります。大分細かくなりましたね。必要ならA3で刷ってください。

Quizletには、「1-2 3x3x3 OLL 2側面色配置→呼び名(着手方向のみ)」「2-1 3x3x3 OLL 2側面色配置→呼び名(全方向)」「3-1 3x3x3 OLL 呼び名→和文回転記号」という3つの学習セットを作ってあります。

音声は、2ファイルに分けてあります。数が多いのでふたつに分けました。

3x3x3-ステップ4:PLL

あともうちょっとです。

麻雀をされる方だと、捨て牌が左右対称になった時、「トマト」「キツツキ」「しんぶんし」のように言うネタをご存じでしょう。私はあえて「子猫」と発声します。左右対称じゃないですが、裏目った時には「くだものだもの」みたいな悲劇も起きますね。ともかくも、同じ文字を同じ音に結び付けて同一な色の配置を覚えるのは、私たちの心理に適うものです。

PLLの説明には、よくこのような図が載っています。

しかしこの図を覚えていても、ここに書かれた交換関係を明らかにするには、ぐるぐるルービックキューブを見回しながら何がどうなっているのか解きあかさなければなりません。上面はもう、OLLの完了時に1色に揃っていますから、情報量ゼロです。側面に頼るしかないのです。

このよくある図を元にした改良も、試みてはみました。2ピースのスワップ交換と3ピースのサイクリック交換を寒色/暖色で変えたり、頂点交換と辺交換で色を変えたり、時計回りを太くしてみたり、色々と工夫はしてみたものの、別にそれが役に立つ実感はありませんでした。理解は深まるのですが、速くなりそうな予感はありませんでした。

そうすると、どうすれば良いでしょう。ここでも、2側面判断が活躍します。そして「トマト」の話の意味はここで回収されます。前面上端の3ピースと右面上端の3ピース、あわせて6ピースの組み合わせから、先ほどの「トマトことば」の名前が特定できさえすれば、半分以上のケースで、完成までの回し方が確定します。それだけでは確定しなくても、一対の組み合わせが対面色同士か否かを見れば、全て確定してしまいます。

この「トマトことば」と操作を結び付けるので、PLLの名前は覚えなくても良いのです。あえて言えば、「トマトことば」がPLLの名前です。イメージ→「トマトことば」→操作を結び付けてゆきます。まあ、普通の名前を覚える意味があるとすれば、キューパー同士の会話に乗るためですかね。

OLLと同じく、もっと色々な回し方があるようですが、手順のバリエーションを増やすなら、OLLのほうかな、と思います。PLLは回しきればゴールインなので、よどみなく素早く操作できる、という特性が全てです。コレと決めた手順を徹底的に研くのが大事なんじゃないかと思うのです。裏返せば、OLLには、所与の条件に合わせて、その後のPLLを容易にしたり、或いはスキップさせたりするような選択があり得るので、抽斗が多いほど有利になりそうです。

PDFテキストはこちらです。生成方法は、一般的な名前でまとめた方のページに並べています。また、OLLが緑で描かれていたのでお察しと思いますが、テキストの側面色の例は青クロス前提で書いています。青クロスは、側面色が白〜暖色で統一されていて美しいと思うのです。

Quizletでは、「1-3 3x3x3 PLL 2側面色配置→トマトことば」「2-2 3x3x3 PLL トマトことば→和文回転記号」「3-2 3x3x3 PLL 2側面色配置→和文回転記号」の3つの問題セットを登録しています。エラくたくさんの問題数がありますが、これは、それだけ覚えることがあるというわけではありません。Color Neutrality、つまりどの色でクロスを作ってもプレイできる、という能力を初めからつけるために、あらゆるクロス色・あらゆる2側面で、存在しうる全ての組み合わせを問題にしているからです。それが1700種類、というのは、ルービックキューブの局面数が4千京通りなどと言われるのと比べると、かなり少ないと思いませんか? しかも覚えるのは、手順にして21通り、「トマトことば」による色配置のパターンにして71通りだけです。手順の数が少ないので、OLLよりも少し楽なはずです。

音声はとうとう3ファイルに分けました。PLLは手順が長いものが多いので、どうしてもこうなります。YouTubeで凄い人のスピードキューブ映像を見ると、終盤、親のカタキのようにがちゃがちゃ加速して完成しますが、あれがPLLなのです。

OLL開始時のPLL先読み

なお、OLL開始時にPLLを完全に先読みできるパターンがあります。前面・上面・右面だけで完全に判断がつくのは、OLL全57通りのうち、21通りあります。1手目で見えるピースを考慮に入れたり、別手順を検討したりすればこれは増やせそうですが、これについては、私もまだ手つかずなので、テキストを配布するだけに留めておきます。

おわりに

ここまで読んで頂いて、たいへん嬉しく思います。なろう小説なら約1話分です。ん?そう書くと印象変わりますね。ともかくも、ありがとうございます。ここからしばらく、この教材を使ってみてもイイかな、と思って頂ける方のダウンロードの便宜のため、教材をまとめておきます。

買うもの。

 ・2x2x2ミニキューブ
 ・3x3x3ルービックキューブ

次に、教材PDFを全部入りでまとめたものをダウンロードできるようにしておきます。

そして、音源の一覧。

さらにはQuizletクラスルームへの招待リンク。

 https://quizlet.com

 Level 0:https://quizlet.com/join/NsJzX5h6S
 Level 1:https://quizlet.com/join/hCmH3YPf8
 Level 2:https://quizlet.com/join/BA4mjHgpb
 Level 3:https://quizlet.com/join/hFGX7UuKZ

そしてこちらが、一般的な回転記号から和文回転記号への変換ツール

 和文回転記号への変換ツール

また、大変参考にしたのが下記となります。私なりの多くの初歩的な補足や、狂ったアイディアの追加は行ったものの、基本的なCFOPの手順についてはほとんどこのページに由来しています。感謝感謝。

なお、私のノートを見て、「イイ!」と思って頂ける方がいらっしゃるなら、私を踏み台にして、凄い実績をあげ、さらに良いコンテンツを作って頂ければ幸いです。

長い記事にお付き合い頂き、本当にありがとうございます。では、楽しいルービックキューブライフをお送り下さい。

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