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VOICE PIGGIES Vol.12 MIX解説

皆さま、こんにちは。
かりをです。

先日、久しぶりに現場でDJする機会をいただきました。
パーティー当日がとても楽しかったのと気合の入ったMIXを準備したので、解説というと大袈裟なのですが、書きたいことをつらつらしたためていこうかと思います。

該当のMIXはこちらです。
聴きながら読んでもらえるとよいかと思います。

"VOICE PIGGIES" は声優楽曲DJイベントで、声優さんが歌唱する楽曲 (基本的には原曲中心) がかかります。サブコンセプトとしてグルーヴィー、アーバンというのもテーマにあるようです。

あまりイベント慣れしていないもので月並みな言い方しかできず申し訳ないのですが、パーティーコンセプトやブッキングの仕方が本当によく練られていて面白いと感じます。
主催・ろーるすこー氏のnoteも是非読んでみてほしいです。

オファーは今年初めくらいから頂いていたのですが、なかなか予定が合わず、またコロナの影響もあり、10月になって今回ようやく出演が叶いました。

意識したこと

行きたい行きたいと言いながら遊びに行けていなかったパーティーなのですが、過去の様子はツイッターや配信で覗いていたので、自由にやらせてもらえそうな雰囲気は感じていました。
ということで、基本的にはいつも通り。好きな曲をスムースに、踊れるように。

ゲストかつトリで、しかもロングセットなので (なんで?) しっかり盛り上げるところは盛り上げられるように頑張りました。
その為にも落とすところはしっかり落として、抑揚つけます。
大波を作るのが大事、江口拓也さんもそう言ってた。

あとは、平日の夜から声優楽曲で踊るイベントともなれば、熱量のあるお客さんが多いだろうということで新譜は多めに。

最近、声優さんの所謂 "イイキョク" が界隈の上手いDJたちに浸透してきていて、同じことをやっても埋もれてしまうと感じています。
選曲の方向性を大きく変えることはあまりしたくない (好きなものは好き!) ので、それ以外の部分 (繋ぎであったり、全体の構成であったり) で個性を見せていければなぁ…と思います。

全体の流れ

結果的にはこういうセットリストになりました。

vpセトリ

綺麗めな上モノが入るバンドサウンドから始まり、三拍子を経てスローダウン。
縦ノリのギターポップ、ジャジーな流れからトライバルなラテン、ハウス。
静かにリリカルにチルアウトしてから、ファンクなギターを引っかかりにディスコへ移行して、もうひと盛り上がりして〆。
みたいな感じです。

残り20分は、来てくれていた人たちへの私信とか忖度が含まれていました。笑

60分のロングセットだったので展開もゆったりめで、近いジャンルの曲を普段より長めに続けたりしました。

MIX内容の解説

中身を見ていきます。
オタク的、音楽的観点の両面から書けるといいけど、果たして……。

1. ハイドランジアに独り言 / 井口裕香

入り方はいくつかパターンを用意してましたが、前の番手のRe:eさんが綺麗めだったので、曲が終わってから「ハイドランジアに独り言」で始めました。

8月リリースの新譜だけど、タイムラインにいる若いDJたちがこぞって良い曲と呟いていたのでいける!と思ってかけました。
白戸佑輔さんワークス、音数が多くなっても渋滞しない、美しい、凄い。

2. crossingdays / 新谷良子

アウトロのギターとイントロのシンセがユニゾンしているように聞こえる繋ぎ。
アニメタイアップもあるアンセム。

3. 帰想本能 (feat. 悠木碧) / DECO*27
4. シンクロサイクロトロン・スピリチュアライザー。 / 神田沙也加

ボカロクリエイターの楽曲を2曲。
無機質さを演出できるのも声優ならではなのかな、と思います。
感情の機微を隠す技術とでもいうのでしょうか。

もしかしたら仮歌がボーカロイドだったのかな?とか想像したりもするのですが、悠木碧さんはそういったものの細かなニュアンスを吸収して表現することに長けているように感じます。
以前、ラジオでsiriや初音ミクのモノマネをされているところを見たのですが、それも非常に達者でした。

petit miladyの「LOVE demonstration」という楽曲では、その無機質さがより意図的に用いられています。

5. ワルツ / 斉藤壮馬
6. ハネ・ウタ・アイ・ヒト / 釘宮理恵

ポリリズムでミックスして、6/8 (3/4) 拍子を挟んで BPM 146.6 → 110に解釈してスローダウンします。
なんでそうなるのかは上手く説明できません…。

「ワルツ」のアウトロをループして、「ハネ・ウタ・アイ・ヒト」は2コーラス目から間奏まで。ここは結構なロングミックスになっているのですが、気に入ってます。

7. 可愛くなりたい / HoneyWorks feat.成海聖奈 (雨宮天)

ここからは縦ノリで跳ねるギターポップです。
サブドミナントから始まってトニックとの間をゆらゆら行き来する、緩やかな緊張と緩和がしばらく続きます。

8. 花は折りたし梢は高し / 夜叉姫神楽 (Vo.長縄まりあ)
9. ひと夜ひと夜にひとりごと / 市杵島瑞葉 (田澤茉純)

新譜の「花は折りたし梢は高し」から和風ポップ繋ぎ。
バンめし♪ かなりキテると思うんですが、どうでしょうか?
秋の陣も期待できそうな感じですよ。

ラスサビで短三度上がってGメジャーになる (ひと夜ひと夜〜はDメジャーで隣り合う) ので、1コーラスのサビに行かずにCメロに飛ばしています。
ちなみにここまでの曲は全てEメジャーでした。

10. tulutu... / 三森すずこ

ひと夜ひと夜〜のサビ前とサビの途中に「tulutu...」が聞こえるのは遊び心です。

花は折りたし〜のアウトロでもトゥルトゥル言ってるので、前後から挟んでいるのですが、狙ってはいなかったので後から気付きました。
サビでワチャワチャしたくなる曲です。

11. No.1 GIRL / 戸松遥

Harukarisk*Land は戸松遥さんの作品の中で一番好きなアルバムです。
この曲も本当に素晴らしいアンセム。

拙者、盛り上げたいときはブラスの音使いがち侍。
イントロのストリングスで受けつつ、ジャジーな展開に。

12. アイシテルは♡グラム? / 高槻かなこ

最近ハマってきた、高槻かなこさんの新譜より。
現場に来ていた若いお客さんたちにウケていて、とても嬉しかった。

Anti world は今年リリースされた声優アーティストシングルの中でも特に良くて、合わせてナタリーのインタビュー記事も是非読んでみてほしいです。

洋楽やK-POPからの影響を思わせる芯の通った歌唱に、キャラクターを歌い分けられるしたたかさもあり、声優ならではの面白さがきちんとあると思います。
"ロジックはなく、感覚" と本人は言いながらも、長所や積み上げてきたものをしっかり作品に反映させているところはアーティスト然としていて、魅力を感じます。

ついでみたいに書きますが、繋ぎに関してはキーシフトが割と好みな感じに決まってくれました。

13. 無関係でも親交中 / ひばり高校ひみつ組 (照井春佳, 吉田有里, 藤田咲)
14. Love Addiction / ALSTROEMERIA (黒木ほの花, 前川涼子, 芝崎典子)

よりスウィング味の強いジャズへ。アキシブっぽく、可愛くトリオで。

「無関係でも親交中」は MILK RING RECORDS のイベントでスキーモさんが上手にかけていて、いつか使ってみたいと思っていました。
本当に難しい、この曲。

アルストロメリアは英字表記が正式らしいですね。
「Love Addiction」はアウトロがほとんどないので間奏に飛ばしています。

15. 温故知新でいこっ! / 山形まり花 (日高里菜), 春日咲子 (山口愛)

ひなビタ♪8周年、おめでとうございます!

ササキトモコさんのお洒落トラックに乗る、日高里菜さんと山口愛さんのウィスパーボイス、台詞がかったフロウのラップ……。

「温故知新でいこっ! 」には私が声優楽曲に求める要素がたくさん詰まっていて、もっと各所で流れてくれると嬉しいなと思っています。
個人的にとても思い入れのある曲です。去年のDJデビューでもかけました。

ちなみにこんな記事もあります。
(mabanuaさん、この頃はアニソンに疎いって言ってたんですね…)

ここでジャジーな流れにラテンっぽくトライバルなビートを加えます。
サビの4つ打ちはこの後の展開も匂わせます。

16. Unbreakable / 野島健児

最近、声優楽曲界隈でホット (?) なポエトリーリーディング
台詞が入るとどうしても聴く人の意識を持っていくので、展開が変わったとはっきり分かるタイミングで入れました。

17. アジアの頂点 / 笠原弘子
18. 雨にキッスの花束を / 中島愛

「Unbreakable」が転調しまくるので、半音下げて誤魔化します。

レアグルーヴ的な選曲も少しは…ということで笠原弘子さん。
トライバルなビートは保ちつつ、新旧マクロス声優繋ぎでラテンハウス的な4つ打ちへ展開。

現場では合唱が起きて、デカ聲で歌いました。
マジで楽しかった……!

19. IN LOVE AND IN TROUBLE / 花澤香菜

今回DJしない主催のためにも一曲は入れたかった花澤香菜さん。
意識しなくても大体いつも入りますが……。

今度はハウス的な4つ打ちへ移行します。

20. Moments / 岩男潤子
21. 旋律の糸 / 上田麗奈

岩男潤子さんのプログレッシヴ・ハウス、ポエトリーリーディング「Moments」
JUNKO というアルバムに収録されているのですが、物凄いアルバムです。
こちらは32小節ほど使ったロングミックスになっています。

ブレイクからゆっくりフェードアウトし、ピアノとボーカルだけの「旋律の糸」へ。
落として落として、ここがボトムになるイメージでした。

22. ホーキングの空に / 坂本真綾

大阪のBar Guildで開催されている "よりみち" という声優楽曲DJイベントがありまして、いつもTwitchの配信アーカイブを拝見しています。

VOICE PIGGIES の10日前くらいに行われた回、レイバンよしのりくんのDJがとても良くて、それに影響されてかけようと思ったのが「ホーキングの空に」です。

当日、よしのりくんのDJが良かった話をpokobにしたら「もしかして今日ホーキングかけるの?」って言われましたが…。

23. 夏の記憶 / 坂本真綾

2019年で最も高い曲、最高楽曲です。

イントロをばっさりカットして、ストリングスとハイハットの三連符やハンドクラップがトラップっぽい、Aメロのインストから入るEDITを用意しました。

「ホーキングの空に」が James Blake のような静謐さとドープさを併せ持つサウンドで、その雰囲気を途切れさせず、次の曲へ持ち込むためでした。
「夏の記憶」Bメロからサビへかけての高揚感、どうしたらDJ MIXの中で最大限に活かせるかを考えた結果です。
これが三浦康嗣さん(□□□) の音楽だということも後押ししました。

歌い出しの歌詞 "さっきまでの夕立" は本来イントロにかかっていると思うんですが、ここでは少し前の選曲にかかっているということにしています。(言い訳)

発したものが他者から想定以上の受け取り方をされることもある、という貴重な体験をさせてもらえて「現場でのDJ楽しすぎ!」となりました。

24. トウメイナユメ / 鬼頭明里

パーティーの翌日 (10月28日) が発売日ということで、おそらく世界で最初にフロアへ投下させていただきました。
CDが間に合ってよかったです。Amazon ありがとう。

「夏の記憶」のサビ後に半音上げてループし、「トウメイナユメ」のリフが加わる感じでMIXしました。
フュージョンバンド的な間奏も聴きどころなんですが、今回はかけられなかったのでまたいつか。

元々は 夏の記憶 → 記憶(イヤホンズ) をやろうと思っていたんですが、Juke Voxで見てしまったのでこの選曲になりました。

25. フルスロットルで行こうぜ! / 西田望見

ファンクなギターを引っかかりにソウル、ディスコハウスを目指して展開します。
「フルスロットルで行こうぜ! 」のストリングスが乗っかるところはちょっと気に入ってます。

26. シャノワール / シュガーポケッツ (早瀬雪未, 広瀬世華, 赤尾ひかる)

多分、自分の番手では一番盛り上がった曲です。
今年リリースされた中でも屈指の名曲だと思います。

要求を受けて、初めてリワインドをやりました。(トラックパッドで)
やっぱり頭のリバース音から聴きたいもんね。

27. PERFECT GIRL / 三司あやせ (沢澤砂羽)〈再〉

〈再〉というのは再現MIXで追加した曲です。
現場のボルテージがあまりに高かったのでロードを躊躇ってしまいました。
再現MIXにて供養……。

日本一芝居が上手い声優さん (主観100%) 沢澤砂羽さん歌唱のキャラソンです。

28. Dream Goes On / 春音あいら (阿澄佳奈)

プリズムの煌めき。

予告していたプリティーリズム楽曲「Dream Goes On」で一旦〆。
長岡成貢さんの最高ディスコハウス、プリリズはこれだけじゃないのが凄い。
ちなみにディスコで締めるのは癖みたいなものです。

29. Naughty night, Magical night / 今剣 (畑中万里江), 千子村正 (前田佳織里), 三ツ鱗紋兼若 (南早紀)
30. Sinfonia! Sinfonia!!! / 竹達彩奈

残りの時間はスタートとゴールを決めておいて、現場にいる人たちに刺さりそうな曲をかけられるだけかけました。

会場が渋谷で、時期はハロウィンということで「Naughty night, Magical night」から再開。これも10月16日にリリースしたばかりの新譜。

これは石濱翔さんの曲なんですが、声優楽曲界隈はみんな大好き (?) Cymbals - Highway Star, Speed Star を思わせる曲調とタイトル。

やっぱり沖井礼二さんの曲へ繋ぎたくなるので、竹達彩奈さんのデビューシングル「Sinfonia! Sinfonia!!!」へ。
歌い出しの "いたずら好きな君の〜" がハロウィンにリンクするような気がして、ちょっと良い感じです。

31. Cut. Cut. Cut. / 周防桃子 (渡部恵子) x 真壁瑞希 (阿部里果) 〈再〉
32. あくまで恋煩い (ベルゼブブver.) / ベルゼブブ (大西沙織)
33. Twilight Zone / 古風楓 (大森日雅)
34. homemade christmas / 坂本真綾

モータウンやクリスマスの曲など、最近寒くなってきたので冬を先取り感。

ベルゼブブver.なのは大西沙織さんのオタクが来ていたので。
「Twilight Zone」はゲストのイカコさんが大森日雅さんのファンということで、被らなければかけようと思っていました。

イカコさんは女児アニメ界隈 (?) などに共通の知り合いが多くいるのですが、ご本人にお会いしたことがなく、偶然とはいえ、ありがたいブッキングでした。

35. エイリアンズ / 南佳孝 with 鈴木みのり〈再〉

様々なアーティストがカバーしているキリンジのエイリアンズ。
デュエットですが、声優カバーもあります。

36. Pure / 堀江由衣

多分、フロアから千円札が飛んできたのはこの時です。
街を彩る銀杏並木が寒い季節になってくると聴きたくなる、良い曲。

37. 瀬戸際 / 早見沙織

2020年のベスト声優楽曲です。

何も言うことない、完璧。
箱で聴く「瀬戸際」の低音はとにかく最高でした。

「Pure」のベースと「瀬戸際」のピアノが重なるところは、ピアノループを半音下げておいて、ギターが鳴るのと同時にキーシフト。

38. トップランナー / 入野自由
39. タイムマシン / 西山宏太朗

アーバンというテーマに添って、シティポップで纏めに掛かります。
最後は自分含め、みんな聴きたかったであろう西山宏太朗さんの「タイムマシン」で締めでした。
これ以外の答えはなかったですね。


ご挨拶

久々に出させていただいたパーティーはハチャメチャに楽しかったです。
初めてお会いする方が多かったにも関わらず、オタク話もたくさんできたし、共演者の皆様のDJアクトはどれも素晴らしかったです。
(お酒もたくさん奢っていただいたので、いつかちゃんとお返ししたい…)

見ていただいた皆様、共演者・主催の皆様、本当にありがとうございました。

結局、解説とも感想ともとれない駄文になってしまいました。
MIXの方は丹精込めて録りましたし、かけた曲はどれをとっても自信を持って良い曲と言えるので、是非聴いてみてください!

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