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選曲に詰まったらやっている事

こんにちは。お久しぶりです。

最近は可愛い女の子が出てくるアニメを見てばかりでDJをやれていないのですが、時々イベントに遊びに行かせてもらったりと楽しく過ごしております。

そんな中、何故か突然思い立って、noteを更新してみる次第です。


DJやMIX作りの選曲をしている中で「上手くいかない!」ってなったときに、私がやっていることの一例を紹介してみたいと思います。

単純に誰かの役に立つといいなというのと、あわよくば他の人たちがどんな具合でやっているのかヒアリングできるかも、というのが動機です。

恥ずかしながら私はクラブ界隈の友達が少なく、DJの技術的なことは探り探りでやってきたので「こんな方法あるよ!」みたいな情報が欲しいんですね。
もし反応がもらえたら嬉しいです。

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これから書くのは「キーを念頭に入れながら選曲はしてるけど、それ以上のことはよくわからん」くらいの人向けな内容です。上の図がどういうことかくらいはわかるよ、みたいな。
経験豊富な方や音楽理論に詳しい方にはあまり役立たない事でしょう。


とりあえず選曲の前提から。

私は選曲を考えるとき、まず使いたい曲をいくつかピックアップし、そこから繋げられる曲を足して膨らませていきます。

ここで言う "繋げられる曲" というのは、BPMやキー、楽器構成やジャンルなどの要素で音楽的な共通点がある曲ということです。
あくまでそれを前提として、背景や文脈を盛り込んでいくようにしています。

しかし、こうは言っていますが、私は音楽理論にあまり明るくないです。
そういう人でも出来る範囲のことを書いていこうかなと思います。

試しに "繋げられる曲" を探してみましょう。

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今回、例として挙げるのは花澤香菜さんの「We Are So in Love」という曲です。
2015年リリースのアルバム「Blue Avenue」収録。
お馴染み、矢野博康さん作曲の声優楽曲アンセム!
知らない人は今すぐブラウザバックして聴いてきて!!

何故これなのかというと、オーソドックスな進行を用いながらもドラマチックに展開し、ハーモナイズが難しいと思った楽曲だからです。

(とてもテクニカルで流麗なコードワークなので、詳しく知りたい方はこちらの楽理解説を読んでみると面白いかもです。私にはさっぱりです…) http://eatnaan.seesaa.net/article/428463526.html


それでは「We Are So in Love」と繋がる曲を考えてみましょう。
Traktorで読み込んでみるとBPMは124キーはE♭ (10d) となっています。

「We Are So in Love」のイントロは透明感のあるピアノとシンセから始まり、10小節目からはギターソロも加わってお洒落なAORといった感じです。
コード感も頭からしっかりありますね。

この素晴らしいイントロ、色々試してみるとわかるのですが、ロングミックスしようとするとなかなか綺麗に混ざらない。何故でしょうか?


楽曲のコード (和音) を解析してくれるアプリ、ヤマハの「Chord Tracker」を使って、コード進行を見てみます。
なかなかの精度なんですが、なんと無料アプリ。

コードからキーを判別するにはダイアトニックコード一覧があると便利ですよ。
こういうやつ → https://sakkyoku.info/wp-content/uploads/2011/04/diatonic-chords.pdf

それでは早速、コード進行を見ていきましょう。
1行で1小節です。

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イントロは基本的に4536、王道進行のループ。
混ざりやすそうなものですが…

2〜5小節はG♭ (7d) で始まっていますが、6〜9小節はA (4d) へ短3度転調しています。ギターソロが入る10小節からはリフレインなので再びG♭ (7d) 、14小節からA (4d) へと同じ展開です。

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ところが16小節でC (1d) に転調し、そのままのキーでAメロへと入っていきます。(19小節の3拍目からAメロ)

イントロだけで4回も転調していたんですね。
普通にロングミックスしたのでは、すぐに不協和音になってしまうわけです。

あれ? Traktorが教えてくれたE♭ (10d) はどこ? ってなりますよね。
もう少し後を見てみます。

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Aメロの途中、28小節に食って入るFmからE♭ (10d) へ転調しています。(色分けしているところ)

出ました、E♭ (10d) です。

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Aメロ最後の34, 35小節でいったんC (1d) に戻りますが、36小節からのBメロでE♭ (10d) に転調し、サビへの展開が決まります。
そのままのキーで40小節からサビへ突入。サビはイントロと同じ4536進行なんですね。

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アウトロは48小節のA♭M7から半音ずつ降りていき、C (1d) に転調してAメロへと戻ります。


ここまで、大まかですが1コーラスの流れでした。
G♭ (7d), A (4d), C (1d), E♭ (10d)、短3度で行ったり来たり。

こうしてみると割合的にE♭ (10d) の部分が多いんですかね。
Traktorの解析にも納得です。


それでは、肝心な繋ぎのプランを考えます。

【前の曲から繋ぐプラン】
・G♭ (7d) の2〜5小節をミックスする
・A (4d) の6〜9小節をミックスし、10小節でフェードアウト
・G♭ (7d) の10〜13小節をミックス

こんなところでしょうか。

一つ目は音数少ない曲じゃないとバランスとるのが難しそうです。
簡単そうなのは、ギターも入って音圧が上がる10小節から入れていくパターンでしょうか。何れにしても、G♭ (7d) を基準に探すのが丸そうです。

試しに1つ目のパターンで録ってみました。
中島愛さんの「はぐれた小鳥と夜明けの空」から。
頭のBM7が重なります。A (4d) の6〜9小節は中低域を削りつつ、リバーブをかけて誤魔化しました。元々コード感は薄めですけどね。

続きまして、

【次の曲へ繋ぐプラン】
・サビ終わりに食わせながらE♭ (10d) でミックス
・転調に合わせてC (1d) でショートミックス

どちらも短時間で捻じ込む感じ。難しそうですね。

おすすめは「ラスサビのアウトロに飛ばしてE♭ (10d) でミックスする」です。
Aメロに戻らないので転調しません!(笑)

まぁ、何故混ざらないか分かっていれば、そういう選択肢もとれるわけですね。

これも試しに録ってみました。
茅原実里さんの「夏を忘れたら」へ。
奇数小節で重なるA♭M7がアクセントになっている、かも?

結局キーの話だけでしたが、上手く繋がらなくて選曲が詰まったときの対処法を紹介してみました。

コード感の少ない曲を使うとか、ばっさりカットインするとか、そもそも不協和音など気にしないとか、他にも簡単な選択肢は山ほどあります。

DJでここまでやる必要あるんかいなという感じですが、グルーヴキープに執念を燃やしていきたい所存です。
でも、こういうことを経験と感覚だけでやってのけるのが本当に上手いDJなんでしょうね。


思ったより長くなってしまいました。
同じ界隈でDJを楽しんでいる誰かのヒントになる事があれば幸いです。

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