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生き様を知ろうとしよう。日本の歩き方#52 福井県若狭町→おおい町

日本の歩き方#52

福井県若狭町→おおい町
歩行距離 28km
総歩行距離 1647km

旅をしていると色んな人に出会う。その人のことを、うっかり忘れてしまうくらい多くの人と出会う。

でも、旅の醍醐味を後でも味わい深く感じれるか否かって『ちゃんと覚えていること』これ以外にないと思う。

心動かされた景色も、


その土地の文化も、

歴史も、


そして出会った人がしてくれたことも。

そして何より、そこで出会った人の生き様を。ちゃんと覚えていること。これが一番大事なことなのではないか。今日はそんなお話です。

早稲田の行きつけのカフェ、ホイッスルカフェのママのご実家に泊まらせていただいたこの地で、うっかり体調を崩してしまった。

長居するのも申し訳ないので、先に進もうとしたが、ママも、ご実家のご両親ももう一泊してきなよと勧めてくださったので、お言葉に甘えることにした。

「甘えれるとこは、甘えていきな、きっとそれがいい出会いになるからね、これからのプラスになる」

ママがくれた言葉だ。

こうして、熱を下げるために大爆睡につぐ大爆睡をかまし、夕方には熱が下がった。

泊めてくださったホイッスルのママのパパとママは(以降お父さんとお母さん)は、今、道の駅の経営をしてるということで、僕ら旅人のオアシス、道の駅を案内してくれることに。


その道の駅は熊川宿にある。

熊川宿は、鯖街道とも呼ばれ、若狭湾と京都の物流の中継地点として栄えた町だ。


街道沿いには、港、城下町、宿場町が栄え、独自の発展を遂げたのがこの地である。

そして、当時の街の面影が多く残っているのも、ここ熊川宿の見どころだ。


ぜひ、訪れて欲しい場所だ。 サイトはこちら↓

http://www.wakasa-mikatagoko.jp/search/entry/tourism-008.html

熊川宿を抜けて、道の駅若狭熊川宿へ。

道の駅の管理をしてるお父さんは、旅人への配慮のため、24時間解放のスペースを用意してくれているとのこと。(旅人からすればありがたい...)

しかし、問題もあるらしい。釣りやバーベキュー帰りの利用者が、ごみの分別もせずに、そのまま大量のゴミを捨てていくとのこと。


どこの道の駅の管理人もゴミや利用者のマナーの問題に頭を抱えているらしい。


旅人のマナーの悪さ対応しきれなくなった道の駅の中の一部には、休憩スペースやゴミ箱が撤去されたところもあるとのこと。

旅をしてれば、道の駅を利用させてもらったり、ゴミを捨てさせてもらうことはもちろんあるだろう。


でも、旅人として最低限のマナーを守ってほしい。生きていれば迷惑をかけることもあるだろうけど、旅をしてる人のマナー次第で、管理の人は本当に大変な思いをしている。


そして、旅人がやりたい放題やってしまえば、未来の旅人のためのシェルターすら奪ってしまうことにもなる。


だからこそ、旅をする人には、常にマナーだけでなく、利用させてもらっているんだという謙虚な気持ちで旅をしてほしい。


今こうして歩いてる道だって、入り込んだ野山だって、そこにある自然の恵みと、管理している人の汗水の産物なのだ。


管理人と道の駅をまわることで、改めて教えられた。ありがとう。お父さん。


名残惜しいが、今日は最後の晩餐だ。お母さんの料理は多品目で本当に美味しい。


改めて、お父さんから若狭、熊川宿の話を聞いた。



お父さんは、この地域で、建築の会社を興し、土木の領域まで拡大した経営者だったそうだ。会社も複数手がけていたらしい。


引退してからは町おこしのために活動されている。特に驚いたのはこれだ。

和菓子職人ではなく、葛餅の葛だ。和菓子に利用される、デンプンのアレだ。 葛の根っこを掘り起こし、粉砕し、そこからデンプンを取り出す。なんと、この工程に一年近くかかるらしい。

葛の花と葉

実は、この地域の名産の一つに、葛があったが、後継者不足のため、途切れてしまったのだ。

それを蘇らせるため、お父さんは葛のとりかた、つくりかたを資料を漁ってイチから勉強し、今では元どおり生産ができている。(テレビの取材もたくさん来た。)

葛の花を粉砕したもの。酒毒を溶かすらしい。
全大学生に持ってもらいたい

風味豊かな葛の花 ほんのり甘酸っぱいにおい

一生かけて、新しい挑戦をし続けているお父さんの話す姿には邪念はなく、純粋な少年の笑顔がいつまでも残っていた。いつだって冒険家なんだろうな。

そんなことを思いながら語り明かし、朝が来る。

寂しい別れだ。別れの朝、リヤカーを見てみると、「...アレ?歪んでたはずのリヤカーが真っ直ぐになってる」

お父さんが直してくれていたのだ。そして、折れたスポークも元どおりにしてくれた。

錬金術師かな?

何から何まで、与えてくれる。道を照らしてくれる。そんなお父さんみたいな無口な強さを備えた立派な大人になりたい。

100回くらいのありがとうをお父さんとお母さんに心を込めて伝え、次の街へ。

別れ際手を振ったら泣いちゃって振り返ることができなかった。

「また、会いに行きます。」そう呟いた。


国道27号をずっと行くと、こんな看板が。


日本ランキング2位の文言に連れられ瓜割の滝へ誘われる。


んん!美味い!!水の味なんて大して変わらないだろうと思っている人は、その価値観を変えにここに来て欲しい。コーヒーにして飲んでみたい。

ここから先は歩道なんてものはなく、何度か怖い思いをしながら進むことになる。

トンネルもいくつか潜り、おおい町を目指す。


すると、前日にお世話になった、ホイッスルカフェのママのお友達、よんさんが出張帰りに会いに来てくれた。

あの時のお礼がちゃんと言えたのが嬉しかった。




内陸を通り、海景色が見えてきた頃、目的地の、おおい町へ。

今日は、お父さんの知り合いの会社の会長が、泊まる所を用意してくれた。

そして、ホイッスルのママの友達のお宅が夕飯を用意してくれていた。

子どもたちと仲良くなって、そのパパのの釣った獲れたてアジをいただいた。

また温かい思い出が積み重なっていく。ゆっくりでも、こうした時間を大事にした旅をこれからも続けていこう。

そして出会えた人の生き様を、ちゃんと心に留めるんだ。忘れないんだ。

ホイッスルカフェのママがくれた言葉も、お父さんの背中も、差し入れくれた人の心意気も、迎えてくださった家族の粋な計らいも全部。

それが、僕の宝物になるだろうし、それをいろんな人に伝えたい。


福井県若狭町→おおい町
歩行距離 28km
総歩行距離 1647km

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