最大の事件 日本の歩き方#49後編福井市→南越前町
最大の事件 日本の歩き方#49後編福井市→南越前町
【今日のメニュー】
①浪人仲間の蔵田との再会、福井の道
②第2の故郷、鯖江へ。大好きな人たちに会う。
③度重なる事件。しまいにはリヤカー死亡。
のうち、②まで話したので、今日は③から行きます。この③の出来事のせいで、僕の旅は大きく変わっていくことになります。
それではスタート!!
鯖江を抜けると、しばらく、歴史街道という古き良き街並みが続いた。
一軒家も当時に寄せたものが多かった。
ちなみに福井県は、一軒家あたりの坪面積が最も多い県らしく、立派な邸宅が多い印象だ。言われてみれば、広い邸宅が多い。しかも、今流行りのセキ○イハイムとかで作られている画一的な家はほとんどない。見惚れてしまう家が多いのだ。いつか住んでやるぜ俺もそこに。
「旅してるの〜?」と声をかけてくる兄ちゃんにファミチキをもらった。
「俺も旅とかしたかったんだけどさ、仕事でね...だから俺の分も旅頑張ってな!」
そう労いの言葉をかけてくれた。こういう時ばかりは、誰がためでもない僕だけの旅が、僕だけの旅じゃないことを痛感する。
それから、しばらく歩くとまた声をかけてくれる子が。インスタを見てくれてる子だった。
お菓子とお茶を届けに来てくれた。なんと仕事中に抜け出して来てくれたらしい。
ありがとう。なんだか、この子とはまた会いそうな気がする。そんな予感がした。
歴史街道を抜けると、ついに峠が始まる。
峠を登っていると旅人だろうか、路側帯でiPhoneを拾う。すぐに届けないと。
旅中に大事なもの落としたら不安だもんね...
俺も何度失くしたことか...
もう、ワシに怖いもんはない。エールをくれた鯖江の人たちの顔、声をかけてくれた兄ちゃん姉ちゃん、そしてファミチキ。全てが肢体を震わせる。
「バキバキッッッッッッ!!!!」
今まで聞いたことのない異音が山田くんから聞こえた。
ついに...
ついに...
北海道から恐れ続けていた事態を目の当たりにすることになる。
【リヤカーの山田くんの車輪が壊れた】
皆さんは目の前が真っ暗になったことがあるだろうか。ポケモンのジムで体験するくらいではないだろうか。
なるんです。人は本当に絶望するときは。
この旅中、幾度となく、困難をコイツと乗り越えてきた。永遠と続く北海道のまっすぐな道も、秋田のオフロードも、雨の日も風の日も、コイツと乗り越えてきた。コイツ無しでは僕の旅はなかった。
ともに歩いた道のりは1600km。俺は君のことを信じすぎていた。もっと気を遣っていれば、もっとしっかりメンテナンスしていれば。
後悔は止むことを知らない。
俺の旅は終わった。
そうすらも思った。
それでも無理して歩いて、何とか今日のゴール、道の駅河野にたどり着いた。
さっきよりもひどくなっている。折れたスポークは3本。よくここまで頑張ったな。無理させてごめんね。
本当に...ごめんね...
明日の予定もわからないまま、ここで旅を中断することになった。
24時間オープンの休憩室がある道の駅河野。いつもだったら泣いて喜ぶだろう。でも、今日は山田くんのショックでガチですすり泣いている金髪の男がそこにはいた。
あまりの滑稽な光景に、話しかけてくれる旅人の人が。釣りをしながら日本一周してる人だ。
これ飲んで元気だしなよ。とミルクティーをくれた。
こんなときにも温かくしてくれる人がいる。さらに泣けてくる。
状況を整理します。羽を伸ばそうとやってきた道の駅の休憩室でゴキブリの如く焦げた金髪の24歳が、突然すすり泣いている光景を発見しました。
どうしますか?少なくともミルクティーは差し出さないでしょう。そういうことです。
世界は優しさで溢れているんです。
嗚呼、情けない。こんな時にも人の優しさを与えてもらうことしかできない自分が情けない。
とりあえず状況を何とかしなければならないので、しばらくお世話になった福井市の蔵田家に連絡する。すると、代えのリヤカーはウチに届けて、それまでウチにいればいいとのこと。
本当に情けない。本当にありがたい。また泣いてしまった。
しばらく、福井市に戻り、リヤカーのタイヤが届くまで旅は一時中断することになる。
夢の続きはまだずっと先にあるようだ。
嗚呼、、、情けない。
朝になると速攻で蔵田が迎えに来てくれた。
こうして一週間近く、また蔵田家にお世話になることになった。
福井県福井市→南越前町
歩行距離 36km
総歩行距離 1552km
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