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2021年来日公演後に聞いて語る、King Crimson / Meltdown Live In Mexico 2018

キング・クリムゾンの2021年の来日公演に行きました。
その時点では、2014年の復活以降のキング・クリムゾンの音源は積極的には聞いておらず、あまり期待してはいませんでした。

けれども、これがクリムゾンの最終公演になるとの呼び声が高く、今までの音楽体験への感謝を込めて、行くことにしたのです。

クリムゾンのオリジナル・アルバムは全て聞いていたし、ライブの主要作も聞いていました。そして、それまでの来日ツアーのセットリストも確認してからいったので、演奏される楽曲が私にとって聞き馴染んでいる曲がほとんどだと、わかった上で行きました。

予想を大きく覆す凄いライブ、とまでは言いませんが、「さすがはキング・クリムゾン」と唸らされるだけのライブであったことは確かです。行ってよかった、と思いました。

そこから、Audio Diary 2014-2018
Music Is Our Friend: Live In Washington and Albany, 2021
Meltdown  Live In Mexico  2018
と聞いてきました。

本稿は、総合的に見て、3作中最も優れたライブ作品である「Meltdown  Live In Mexico  2018」を中心に書きます。

楽曲リスト ★印が、私が実際にライブで体験した楽曲、◯印が、メルトダウンを買うにあたって、目当てにしていた楽曲

また、評判の良い「Blu-Ray Disc」は未見です。    

CD One

Walk On
◯Larks' Tongues In Aspic, Part One
★Neurotica
◯Cirkus
◯Dawn Song
◯Last Skirmish
◯Prince Rupert's Lament
★The Hell Hounds Of Krim
★RedFallen Angel
★Islands
◯The Talking Drum
◯★Larks' Tongues In Aspic, Part Two

CD Two
★Indiscipline
★The ConstruKction Of Light
★Epitaph
Banshee Legs Bell HassleEasy MoneyInterlude
The Letters
◯Sailor's Tale
Catalytikc No 9
Meltdown
★Radical Action II
★Level Five
★Starless

CD Three
★Peace - An End
★Picture Of A City
Devil Dogs Of Tessellation Row
◯Fracture
★The Court Of The Crimson KingHeroes
★21st Century Schizoid Man

Bonus Tracks 2018 Official Bootleg
◯Discipline
◯Moonchild
★Tony's Cadenza
Jeremy's Cadenza
◯Breathless
Cool Jam

楽曲単位でみれば、本作に収められている演奏は、8人~7人クリムゾンとして、
・完成してピークにある見事な演奏が、5割
・ウェットン・ブルーフォード期からの伝統芸能リフ曲が、3割
・2021年に、もう一歩良くなる演奏が、1割
・この編成にはいまいち合わなかった楽曲が、1割
といったところ。

2021年の来日公演では、「この編成にはいまいち合わなかった楽曲」は潔くカットされ、
「2018年で完成してピークにある見事な演奏」は主にビル・リーフリンの不在により、それなりに劣化し、
「ウェットン・ブルーフォード期からの伝統芸能リフ曲」は、伝統芸能として毎度おなじみのお約束形式で再現され、
「もう一歩良くなる演奏」は、ちゃんと良くなっていたと思います。

ライブを体験したという「思い出補正」があってなお、「明らかにビルリーフリン在籍時のほうが良い」と思わせるのは、宮殿の曲や、スターレスなどのメロトロン主体の曲。そんなに大きくアレンジが違うはずはないのに、やはりしっかり聞くと出来の差は明らかなのです。

そして本作のテイクが、そこまで良くはない演奏の曲は、ちゃんと「オーディオダイアリー」に名演を入れてフォローしている義理堅さ。

それにしても、ここまで充実した選曲だと、定番曲の「ワンモアレッドナイトメア」が入っていないのが不思議ですね。

もちろん、「ワンモアレッドナイトメア」は「オーディオダイアリー」に良い演奏が入っており、フォローされています。

「オフィシャルに出したライブ盤は全部買ってくれるだろうから、目玉の演奏曲やベストテイクは、小出しにしても良いよね」

という感じで、ファンの耳 ? 経済力 ? 信仰心 ? が試されます (苦笑)

一般の音楽ファンであれば、2014年以降のキング・クリムゾンは「メルトダウン」一セットを聴き込めばいい、そう思える良質なライブ盤ではあります。

disc1 から聞いていって、Neuroticaの(来日公演と比較しての)素晴らしさにびびりました。一人キーボードが追加されているだけで、こんなにも違うのか! と、なりました。まぁ、そこから続く「リザード」の曲は、絶賛するほど良くはないので、落ち着いて聞いていけたわけですが。

トーキングドラムはオリジナルのイメージが強すぎて、私はだめでした。ラークス2も、たぶん来日公演の方が出来が良いです。ラークス2は、体験したのが最終日の「アンコール一曲め版」だったこともあるのでしょうが。

disc2は、エピタフとスターレスが、ビルリーフリン効果で、来日公演より優れています。あとは、ライブでは聞けなかった曲が三分の一くらいはあるので、それらを中心に楽しみました。

レターズは、中盤を崩し過ぎのオーディオダイアリー版よりは良いです。ただ、これは、オリジナルどおりやったらやったで「オリジナルの方が良い」となるので、懐メロヒットパレード感覚を抜きにしていえば、あえてこの編成でやる必要はなかった楽曲と思います。

disc3。ピースはふつうに良い。フラクチャーはバッチリ良い。
宮殿は、ビルリーフリン効果でものすごく良い。来日公演版はなんだったんだ。ヒーローズは、無くても良いと思います。セットリスト収集の観点を除けば、無いほうが良い。
本セット最後のクリムゾンキングの宮殿は、視覚効果があった分、来日公演の方が印象が良いです。

リフの繰り返しのところで、メキシコの観客は
タラララッタラン(yeah !) 
タラララッタラン (yeah !)
タラララッタラッタラタ (wow!)
てな感じで、合いの手を入れています。これがラテンのノリですかね。

実はボーナストラック扱いの三曲が名演揃いです。
Discipline、Moonchild、Breathless。どれももの凄く良い。

間をつなぐトニー・レヴィンのソロと、ジェレミーステイシーのソロ、普通すぎるジャムのCool Jam は「功労者に、印税をあげます」ポジションのトラックと考えています。

全曲がベストテイク、とは言いませんが、長さにして2時間近い分量の「7人8人編成クリムゾンの決定的演奏」が収められている本作の価値は高いです。




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