ボブのはなし

西洋系の外人から見たら、日本人と中国人は同じに見える。
ましてや、日本人と日本人の違いは分からないだろう。
同じように、私もグアムに旅立ったときに、現地の人が全員同じように見えた。便宜上、彼らをボブとしておく。

~ボブの定義~
日によく焼けて、お肉を沢山食べているからか、体格が良い。ふくよかである。髪の毛は短髪。場合によってはパーマ。
目の前を通りかかると、ポケモントレーナーのように積極的に話しかけてくる。真顔で怒ったかと思いきや笑顔になるなどの、言外のジョークを得意とする。初見では戸惑うが、ボブのペースに慣れてくると楽しくコミュニケーションできる。

出会ったボブをタイプ別に紹介したい。

○はげましのボブ
食べきれないほどのお肉が料理で出てきた際に、となりに寄り添ってガッツポーズをしながら現地語でがんばれと言ってくるタイプのボブ。はじめはありがたいが、わりと長い時間がんばれといい続けてくるため 「もういいよ」と思ってしまう。ボブ自身の励ましのレパートリーを増やして頂けることを切に願う。

○水中のボブ
マリンスポーツ向けのボブ。言葉を発することのできない海の中で、ジェスチャーの技術を向上させた。
今では指1本で相手に意図を伝える。たまに観光客に、ほがらかに元気のないナマコを握らせてくるが、その意図は誰も知る由がない。 近年では、観光客と同じ水中用ヘルメットを被っていることがおおやけになり、ボブは魚ではなかったことが判明した。
良かれと思って、定期的に水中に餌をばらまき、観光客たちを魚まみれにしてくれるが、獰猛な魚達が、人に噛み付き阿鼻叫喚させていることを、彼はまだ知らない。

○つなひきのボブ
ビーチで遊んでいるときゃっきゃと近寄ってくる楽しいことが大好きなボブ。よく砂まみれになっている。
綱引きをして遊んでくれる友達を求めており、しばしば綱引きを強要してくる。審判するのも好きだが、参加するのはもっと好き。日本人3~4人とボブ1人でもボブの方が強い場合がある。
負けそうになると、ぎりぎりで綱を離して相手を転倒させ、負けるが勝ちの状態に持っていく。

○鉄砲のボブ
銃が撃てる会場の路上でうろうろし、前を通りかかる人に必ず勝負を申し込むボブ。しかし、会場に着くとちゃんと説明をしてくれ、銃を撃つ手を支えてくれる。弾の破片が跳ね返ってボブ自身に当たっても、文句を言わずにたくましく銃弾を払う。

グアムの旅で、4タイプのボブに遭遇することができた。
わたしも○○のボブ、というように一言で言いあわらせるような特徴を持ちたいと思うのでした。

おしまい

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