【旅行で学んだ幸福論】比較しない、効率を求めすぎない
社会人になってから、心のゆとりを失った気がしていたのだが、
それを明文化できていないまま10年がすぎた。
私は会社員として何社か経験し、現在はフリーランスで仕事を受けているが、どのフェーズでも「地位や名誉を得なければ」みたいな焦りがうっすらとあった。
資本主義には、どうしても競争社会の側面がある。
最初に入った会社が、イケイケのベンチャーで
仕事こそが自己価値!みたいな考えの方も多かったことが影響しているかもしれない。
なんとなくそのまま一生生きていくのが
重苦しくなってきたので、家庭を大切にする価値観に
少しずつ舵を切ろうとぼんやりと思っていた。
そして2024年2月、私は妊娠した。10月には産休に入る。
産休に入る前に最後の旅行をしようと、夏に沖縄に行くことになった。
私にとって、旅行の相棒といえば本。
そういえば社会人になってから、
ぜんぜん本を読んでなかったなと思う。
ゆっくりと旅の準備をしながら、大学時代に読んでいた本を飛行機で
読み返そうと決めていざ出発した。
その本には
「自分自身のことだけで精一杯になってしまうのが1番辛いこと」
というようなことがかかれていた。
まさに社会人時代の私のことであった。
何よりも大学時代の夏休み、バイトだけそこそこして
ゆったり本を読んでいた時の心のゆとりがある状態を思い出した。
あの時の安心感というか、ゆとりはなんだろう。
当時は実家で守られながら生活していたということもあるが、
特に未来に対して希望を持っていたわけでもなかった。
金銭的にはバイトだけでも生きていけるんだと知ったこともあるが、
一番は資本主義社会での「比較」や「効率至上主義」を知らなかったからだと思う。
お金や名誉が自分の価値を決める、効率の良さがすべて!
というような、偏った思想にはなっていなかった。
そして、当時のゆとりを取り戻したいと強く思った。
大人になってからは、たくさん旅行に行っても、
お金を稼いでも、なんとなく心は乾いていることがあった。
あの当事のゆとりや、心の豊かさが教えてくれたことは
「効率だけを重視すると、人生の色を失う」ということだった。
心の豊かさを取り戻すには
①「何とかなる」というような安心を、金銭面(生活面)と人間関係の面から得ること…
例えば、色んな種類の人と仲良くしておくこと、最低限の収入(バイトでもなんでも)でなんとなく生きていけると思うこと
②「効率とはかけ離れてるな」と思える世界線を生きてみること
が大切だと思った。
今の私でいうところの
家にいる動物の世話をいつも以上にしっかりしてみることや、
大学時代みたいに、ゆっくり本を読んで内省することなどだ。
秋に新しい生命が増えることも「仕事の生産性」という面では遠いだろう。
そして、大変なことや面倒だなと思うこともきっといっぱいある。
でも「面倒だな」と思うことに輝きがたくさん詰まっている。
ポコポコした胎動を感じながら、とても大切なことを思い出すことができた。
そして、沖縄の旅は最高に楽しかった。学生時代に行ったおきなわワールドや、エイサーショーを見たり、陶芸でシーサーを作ったりした。
友達2人と、夫と私で行ったのだが、それぞれ旅でやりたいことも違っていたし、1日の終わりに「ここが良かったね」とホテルで振り返った時の、良かったポイントはみんな違っていた。
そこで悟ったのだ。同じことを体験していても
それぞれの思い出は、全く同じにはならない。
それは悲しくもあり、きっと素晴らしいことだ。
家庭内で、よく夫と意見や感じ方が違ったりすると、孤独を感じたものだが、そもそも大人になってから完全に受け入れてくれる母のような存在はいない。
余裕がない時は、それがものすごくしんどいことに感じるのだけど、それは「物事の比較はほんとうに意味がない。私には私のオリジナルな価値観や幸せがある」と
いうことも教えてくれたように感じる。
人のことをうらやましく思うこともあるが、今回の旅での気づきを経て、
「人との比較は本当に意味がないな」と心の中で腑に落ちた。
インスタなどのSNSが発達した今、人のいい部分だけが切り取られて見える。「こんないいホテル泊まりました」とか「こんな大きな仕事しました」とか。
苦しみだけが見えないようになっているが、絶対に大変な側面もあるし、
もし同じ体験をしても全く同じように受け取ることは、ありえない。
そのことを理解すると、私は私の人生を愛し、
地に足をつけて落ち着いて生きようと思える。
妊娠中で体が思うように動かず、仕事もセーブ気味だったからこそ
学生時代に感じていた時間的なゆとりを再び思い出すことができた。
効率だけを重視すると、人生の色を失うこと
全く同じようにはわかり合えないという孤独を知ることで、自分だけの人生にフォーカスできること
に気付くことができた、貴重な7月であった。
ライフスタイルがきっとガラリと変わる今年、
寄り道を大切にする気持ちを、決して忘れないようにしたい。
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