ツケ払い

 先日郵便局に行った。電話番号と印鑑との変更手続き、それと3年前に葛西のどっかのATMでなくしたキャッシュカードの再発行のためである。ある日、ATMで呆然とお金をおろしたまま、「ピーッ!ピーッ!!」というATMくんの悲痛な叫びも耳に入れぬまま、扉を開け明後日の方向へ歩き出した─(こんなことってあるのか?)。警察から電話が来た。「あなたのキャッシュカードをお預かりしています」。え?ああ、なんかないなと思ったら…。「はい、わかりました、また受け取りに行きます(適当)」。そう言ってカッタるい電話をブチ切り、鼻くそほじりながらベッドにダイブし明日の仕事に震えながら気絶するように眠りについたのだ。過去の俺よ、さぞ気持ちのいい眠りを得られたことであろう。

 キャッシュカード再発行代¥1,100。まだこんな可愛いもので済んでよかったが、数年前の怠慢のツケ、しょうもない記憶、過去得たもの(つかの間のダラダラタイム)へのお支払いが今「お久しぶりです」とばかりにお礼参りにやってくる。

 同日市役所へも行った。適当な手続きをするためである。期限内であれば、手続きは超簡単に済むはずであった。期限内であれば、ね。期限を超えているため追加で書類が数枚必要になって、おそらく書類代が¥3,000~5,000+手間。期限は1月末日。数ヶ月もあってサエキくん、君は一体何をやっていたんだい?怠慢による損害をその時未来だった世界にいた今の俺が肩代わり。これを人呼んで「ツケ払い」と言うらしい。

 「ツケ払い」の言葉に漂う妖艶な甘い香りが人々にzozoで服を買わせる。ツケがあるから楽器が買える、車が買える、家が買える。未来の自分へ負債をGoできるのがツケなのだ。

 今の私は以前、特に大学時代辺りに色々やらかした人間関係的負債のツケ払いしてるな、と思う場面が多々ある。過去の自分が暴れた分の負債を被るのは今の俺なのだ。

 実家に帰ったのが2年前だった。両親も昔と比較し角が取れ、私も荒みきっていたし両親のことは本気で縁を切りたいし死ねばいいと思っていたが、そう思うにはもう歳を取りすぎた。両親と中学生以来に会話し、妹も大阪へ行った今では一人っ子(26歳)として失った子供時代を謳歌している。子供時代は金銭、衣食住的には両親の加護のもと生きるしかなかったが本当の意味でメンタリティ的に両親に甘える事は不可能だった。色々言うと怒鳴られるかシバカれるかの2択、家庭環境がまあまあ地獄みたいだったから、、、。実家が地獄でなくなったため、本当に安心できる住空間を今初めて手にした感覚だ。

 ソフト被虐待児だった私。過去については能動的に忘れるようしているが、人から聞く話、本当にヒドい。なんか愛を知らない野生児というか、怒りしか感情の発奮がないというか、とにかくコミュニケーションに難が有るというか、もう、色々と酷い。

 色んな人達が自分から離れていってしまった。

 こんなことここで書いたところで何の懺悔にもならない。懺悔にならないことが悲しい。

 どこにも届かないボトルメールとしてこの落書きを放流することをどうかお許し頂きたい。

 

 

 

 

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