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どこから見るか

皆さんは、どの席からステージを見ていますか?

 下の図は場内を簡略化したものです。黒い部分が上からステージ、花道、盆です。色のついた部分が客席と思ってください。劇場によって形状や大きさ、長さはマチマチで、椅子席もあったりなかったりしますが、まぁ、だいたいこんなものでしょう。

 私の場合、劇場内では青いエリアと運よく席が空けば赤いエリアの『かぶりつき』が定位置です。
 青いエリアからはステージの端から端までが視野に収まり、踊り子さんが盆に出てきてもホリゾント(ステージ奥の壁面)がバックに見えています。つまり、踊り子さんがどこにいても、全体が一目で収まる場所です。
 ホリゾントは横浜は白、新宿NAは黒、川崎や渋谷では照明機材が組み込んであったり、でらかぶや栗橋ではミラーが貼ってあったりと劇場によって異なりますが、ここに照明があたることで演出効果をあげています。
 照明は踊り子さんを浮き上がらせるだけではなく、スモークで空間を染めたり、ホリゾントに模様を浮かべたり、様々な演出効果を上げています。
 例えば、大和のスポットライトは高さが低くいので踊り子さんに光が当たると、ホリゾントに綺麗に影が映り、見事なシンクロ(当たり前!)が見られます。これは青いエリア以外では気がつかないことです。ホリゾントのビデオプロジェクターの動画とコラボした演目(浜野蘭ちゃんがやってた)はセンターから見るのが一番楽しめるし、浅草では中トリやトリの場合、ベットの立ち上がりからあの光輝く光線の中に納まっていく演出は正面から見るのとそれ以外から見るのでは雲泥の差があります。

 私にとって「全体を見る」とは踊り子さんを中心に照明効果までも含めてのことなので、この「センターライン、やや遠目」は外すことのできない位置です。椅子に座ればラクですが、目線が低くなってしまうので立ち見がほとんど。川崎の投光室下のベンチやでらかぶのソファは座れますが、渋谷や横浜、池袋、新宿では手摺の後ろ、大和では自販機の前、栗橋ではエアコンの間などは立ち見がほぼ定位置になってます。

 しかし、注意すべきことが一つだけあります。それは踊り子さんの目線。正面に客が立つのを嫌がる踊り子さんもいらっしゃいます。集中力を削がれるでしょう、当然だと思います。なので、真正面はできるだけ避け、大きな動きはせず、目立たないようにすることを心がけてます。

 『かぶりつき』にも座ります。ただし、盆の前方半分程度まで。なぜならそれより後ろ(ステージ側)に座ると大勢のお客さんと対面することになってしまうから。気恥ずかしいし集中もできません。
 かぶりつきから見えるのは「部分」。10数センチ、場所と場合によっては数センチの距離で(女性の)肢体を見ることができるのはストリップ劇場しかありません。もちろん「あの部分」に注目することは当然ですが、顔の表情や指先の動きなど細かい演技がよく見えます。そして例えば、汗ばんだ肌、キュッと締まった瞬間の筋肉、逆光に浮かぶ産毛、なまめかしい曲線、妖艶な曲面、ライトが作る陰影など近くでしか見られない部分が満載なのです。
 さらに、肌の質感、衣装が翻ったときに香る香水や息遣い、飛び散る汗をあび、時には体温さえ感じることもできます。視覚だけでなくストリップを五感で楽しむなら『かぶりつき』以上の席はないでしょう。 (注:触感は踊り子さんの許可が必要です)

 黄色のエリアは盆を後ろから見る位置になるので、ここから見ることはほとんどありませんが、大勢のお客さんを前にして熱演する踊り子さんを後ろから見ると、踊り子側の視線というかスタッフ目線というか、単なる客とは違った気分になることもあります。
 でも、川崎や浅草、池袋ではすべての椅子がステージに向いているので、盆方向を見るには体をひねらなければならないのはつらい。

 茶色の位置については特別な場合に限り座って(立って)いることはあります。それは池袋や上野、大和、蕨で定期的に行われるイベントの時ですが、これはこれで席の競争率は高く、このために開場前から並ぶ人もいるくらいなのです。

 どこに座るか(立つか)は何を見るか、何が見えるかによります。同じ踊り子さんの同じ演目でも見る場所によって楽しむポイントが違ってくることがあります。
 一回りしたら席を変えてみる、上手から下手へ、前から後ろへ。新たな発見があるかもしれません。

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