4月14日 シアター上野での出来事 その2

ここからは私の主観、私見がメインになりますので、事実だけでなく憶測、想像も含まれます。


 ガサ入れ後のお客さんは皆さん大人しくしてましたね。捜査員も客も、声を荒げることもなく事情聴取は淡々と行われていました。
 捜査員はハイハイとうなずきながら客の話を聞きいていますが、自分なりのシナリオを頭の中に持っているので、ときどき質問の仕方から「こう言ってほしい」「こんな証言が欲しい」という意図が見えてきます。 いわゆる『誘導尋問』ってやつ。 最後に話したことを文章化すると、確かに言ったことだけどなんかニュアンスが違うな、ということもあります。

 今回はそういうこともなく自分自身納得できるないようでした。
 実は、私は警察に事情聴取されるのはこれが初めてではありません。交通違反だったり、酔っ払いとのトラブルだったり、被害者側の証人だったり、いくつかの警察署に4,5通は私の名前が入った書類があるはず。(前科はありません) そんなワケで警察のやり口は多少知っているつもり。


 今回の件は単純で、容疑者も容疑も最初から明確だから、客は違法行為を目撃した参考人としての証言が取れればよかったのだと思います。
 過去の例だと客の個人的な違法行為(エロポラ撮ったり、オープンショーで過剰に煽ったり、ステージに上がってやらかしていたりすること)は公然猥褻幇助にあたり、最悪逮捕に相当、それで何十人もの客が逮捕されているようです。 しかし今回は客それぞれの個人的な行為・行動についての突っ込んだ質問はなく、特には問題視していないように思えました。さらには「鞄の中を見せてもらえますか」というお決まりの所持品検査もありませんでした。(他のお客さんもそうだったかはわかりませんが)
そうしたことから、今回は客が連行されることはないだろうと思いました。

 今回の件に限れば、客については参考人として書類に記載され保管されることはあってもおとがめはなく、家族や会社に連絡がいくことはたぶんないだろうし、自分から吹聴しなければ当事者であったことすら誰にも知られることはないと思っています。


 今回のターゲットは劇場そのもの、つまり劇場経営者と従業員だったと思います。
 踊り子もターゲットだったとすれば、出演者全員を確保できるまで(つまり1回目終わりまで)待ってから踏み込むだろうが、実際は最初の一人が終わったときだし、楽屋にいたであろう2番目以降の踊り子さんは逮捕されていない。(連行?任意同行?されたかどうかは不明)  
 特定の踊り子を狙ったわけではなく、劇場の違法行為を成立させるために必要だっただけで、それは最初の1人だけで十分だったのであろうと思います。
 違反することを待ち構えていて捕まえる。電信柱の陰に隠れていて右折した途端に出てきて反則切符を切る、あの手口と同じです。憤りさえ感じます。
 そう考えると、この事案に被害者というものが存在するとすれば、はからずもその引き金とされてしまった踊り子ではないでしょうか。 この事件が見せしめであるとか、浄化の対象だとか点数稼ぎとかいろいろな声もありますが、そうしたものも含めた、時代遅れの法律や制度とその曖昧な解釈・基準の犠牲者ともいえるでしょう。

 そんな踊り子さんをはじめ罪を背負わされた方々に敬愛と慰労の言葉を送ります。そして、再開の際には再会をお約束します。


 この事件についての新聞やテレビの報道は警察発表のほぼ転載のようなので、鵜呑みにするのは危険だと思ってます。警察発表の内容に嘘はありませんが、自分たち(警察そして現行法)に都合のいいように編集しているので、容疑者はあくまで悪者として扱い、世論の同情、共感を得るような書き方はしていません。発表していないこともたくさんあるはず。

 社会的に大きな反響を及ぼすような大事件であれば、マスコミも労力をかけて独自取材を進めるだろうが、この程度のことで行動を起こすとは考えられない。だから警察発表のほぼ垂れ流しで終わらせてしまう。
 そもそも連行される容疑者の姿をテレビカメラで映していること自体、マスコミを使った警察の情報操作。なぜドンピシャのタイミングでテレビカメラが劇場の前にいたのでしょう? 事前に情報をマスコミにリークして、逮捕前の容疑者に突撃取材をさる、逮捕の瞬間を撮影させるなど、マスコミを利用して悪人イメージを植え付け、悪評を増幅しているのです。
 今回のニュース・記事もそこに書かれていることは いかにストリップやその客、関係者たちを卑しく貶める書き方に終始しているかわかってもらえると思います。今のストリップを見たことがない人々には「汚らわしい」とか「気持ち悪い」「まだそんなことやってるんだ」など悪印象、マイナスイメージで受け取られていることでしょう。それはやがてストリップファンたちの肩身も狭くさせることにもなりかねない。
 こういう効果も狙ったガサ入れだったんでしょうね。

 当日を振り返って疑問点が一つ。
 捜査員は総勢20名程度でしたが、それだけの人間が一気に地下の劇場へなだれ込むために、彼らはどこでどのように待機していたのでしょうか?
 劇場前の道はそこそこ広く繁華街とはいえ、20人ものおじさんたちが平日の昼日中がたむろしていればそれだけで異様、不審ではなかったか? 車中にいたとしてもセダンなら4,5台、マイクロバスならもっと目立つ。1階の入り口からは見えない場所に隠れていて時間を見計らったのなら事前に内偵してタイムスケジュールを確認していただろうし、直前に警察無線で呼び込んだのかもしれない。
 入り口のスタッフは異常に気が付かなかったのだろうか? まぁ、察知したからと言ってあそこの構造上出入り口は1ヵ所だけなので逃げようはありませんが。

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 後日この話をした劇場関係者も「しばらくなかったことなので油断してた」と驚いていました。聞けばストリップ劇場の摘発は2013年1月のTSミュージック以来8年ぶりのこと。
 気になったので、「@劇ジェロNOW」の「STRIP MEMORIAL 1999~」からストリップ劇場の摘発事案を抜き出してみました。ここにはストリップ業界の出来事が現在から1999年まで順を追って記載されています。

 これによると、1998年から先日の上野までのべ64ヵ所が摘発され、経営者、従業員、踊り子、客など合計450人以上が逮捕されています。
 450人うち客は100人くらいが逮捕されていますが、その容疑のほとんどが公然猥褻か同幇助だと思われます。また客が逮捕されたのはほとんどが関西の劇場で、関東の劇場で客が逮捕されたケースは1件だけ。 同じ劇場に居て逮捕された客とされなかった客の違いは読み取れませんが、聞いた話によるとエロポラ撮影だったり、なま板で上がっていたり、個室利用中だったりが逮捕容疑となったようです。
 踊り子は200人近くが逮捕されていてその容疑は公然猥褻ほとんどですが、2007年以前は入管法、売春防止法、などが適用されるケースがあったようです。さらにそれ以前には職安法や児童福祉法が適用されていたことを見ると、最近はかなりクリーン?な業界にはなってきているように思えます。

* 「STRIP MEMORIAL 1999~」の記載は年表形式で各項目1行~3行程度、具体的な違法行為は書かれていません。また逮捕者数についても内訳が記載されていないケースもあるので、経営者・従業員・踊り子・客などの各人数は概算・推定です。


最後にこの文章を書いた目的について

 ストリップ劇場の摘発によって、客も逮捕・検挙されたり任意同行される可能性があり、もし自分がそこにいたら前科が付くんじゃないかと心配して、ストリップのお客さんたちがビビッて劇場から遠ざかってしまうことが一番心配なのです。(もちろん警察はそれも狙ってるわけですが)
 しかし、警察沙汰といっても大したことじゃない。例えガサ入れに遭遇しても交通事故の目撃者と同じ、証言してハイ終わり、個人的にも社会的にもなんら影響を受けることはないと言いたかったのです。

 もちろん客であっても劇場内での行為・行動によっては逮捕される可能性がないわけじゃありません。でも普通に鑑賞してるだけなら恐れることはないでしょう。

 この記事を読んだストリップファン、ストリップに興味を持っている人にお願いします。 ただでさえコロナで青息吐息のこの業界をこれ以上衰退させないためにも今まで同様劇場通いは続けてください、お友達を連れてきてください。
 もちろん私も時間と財布に余裕のある限り通い続けます。


 ストリップについてはまだまだ思うことはたくさんありますが、この件に関しての投稿はこれで終わりにします。

           長文ご閲覧いただき、ありがとうございました。

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