悲劇のヒロインでは終わらない
映画『プラダを着た悪魔』を数年ぶりに観た。超しびれた。
中間くらいのシーンが大好きで仕方ない。何年たっても同じところでしびれる。
世界的に権威のある一流ファッション誌「ランウェイ」で鬼のような編集長ミランダのもとで働くアンディ。世界の多くの人が憧れるポジションだが、あまりにも過酷。仕事へのプライドがなく、ファッション業界を見下し、どんなに頑張って働いても認めてくれないと愚痴をこぼすアンディに対して、同僚のナイジェルが。
そこから、目が覚めたアンディはこれまでファッションに興味がなかったのが嘘だったかのように、ファッション業界で働く女らしいスタイルに変身。仕事でもどんな無茶なことも不可能なままに終わらせず、何としてもやり遂げるアンディ。
メキメキとできる女になり、先輩アシスタントを差し置いて、第一アシスタントにしか許されない憧れのパリでのイベント同行の座を手にするまでになる。
いやぁ。最高。人は、覚悟を決めたときに変わるんだ。あーだこーだ言わずに一回腹を括ってやってみる。そういう人を実際に見たことがあるし、多分過去を振り返れば自分にもそういうときがあって、そこからが本当に面白くなる、世界が変わるんだと思う。嫌だ、やりたくないと言っているうちには見えない景色。悲劇のヒロイン?かわいそうな女?そんなんで終わってらんねえ。
何かを言い訳にしてグズグズしてしまうことがあるけど、そんなときにこのシーンを思い出すと、アンディみたいに変わろうと思う。
この映画、最後のパリでのアンディとミランダの会話でアンディははっとさせられていた。
自分の決断のために人を蹴落とすなんてしたくないのに、自分も結局そうしてパリ行きを決断した、と。本来抱いていた夢や信念、大事にしていた恋人、友人に背いていたとはっとさせられ、その場で仕事の携帯を噴水に投げ捨て、ランウェイで働くことにきっぱりとおさらば。帰国したアンディは元の道に戻り、しっかり自分の夢を掴んで終わる。。。
これも最高にスカッとした。
ランウェイでの仕事に一定プライドをもって満足できるところまでやれたから捨てられたんだろう。一定のところまでいくと捨てることって難しかったりもするけど、自分の信念や愛する人を選んで捨てられるところもかっこいい。あと、結局捨てることで新しい大きなものが入ってくるのよね。