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不便を体験することで得られる利益がある

 この本は川上浩司著『不便益のススメ』(精興社、2019年)という自己啓発本である。私の感想を補足すると、不便なものは物の理に奥づけられているため不便なものは己が成長するために重要だと気付かされた。また、なんでも便利にすればいいという訳ではないということを理解し、不便益とは自分自身や他の何かとしっかり向き合うためのきっかけになる、ということになる。
 この本のあらすじ・内容を紹介すると、同じ場所を三回通るとかすれていくナビ、メモリが素数の位置にしかない素数ものさし、足でこぐ車いすは、効率化や自動化の逆にある「不便益」の発想から生まれたデザインである。便利追及が見逃してきた、けれど本当は大切な視点を内包している。そんな新しい思想・指針を、具体的なデザイン、モノ・コトを通じて紹介していく。ということになる。
 この本を評価する根拠は、次の引用を読むとわかる。『「フラっと試してみる」ことを「工夫してみる」と言い換えてみます。「工夫しなくちゃいけない」をポジティブシンキングで「工夫させてもらえる」と捉えようぜ、と言いたいわけではありません。しなくてもいい工夫でも「していい」と言われると、したくなるものです。「もっとできるかも」と、つい思ってしまいます。このことを不便益の一つに数えます。逆に便利なものを使っていると、ついつい「これで、いいや」と思ってしまい、それ以上のことを人はしようとはしません。』(90項)
 私の感想は、不便益とは自分自身や他の何かとしっかり向き合うためのきっかけ、であったが、さらに考えると、この本が読者に対して持ちうる客観的な価値は自分自身や他の何かとしっかり向き合うための時間が必要であることを実感させるものであり、自分自身を大きく成長できるチャンスを与えてくれるものである。

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