日本が売られる 感想

 様々な視点から日本と世界各国を比較することができた。日本の水は安全で安価、対して海外の水は安全である保証はなく、高いものばかり。日本の介護は当たり前のように提供されるが、アメリカにとってみれば介護は贅沢。漁業、林業、農業、教育、医療、労働環境、その国にとって置かれる状況は違い、その中で生き残ろうと競争をしている。

 とりわけ印象的な問題が、遺伝子組み換え問題。私たちが口にしている食べ物に人体を脅やかす薬が混入しているということには衝撃を受けた。これには食品業界、並びに農薬を扱う企業は後退を免れない。また今までこの問題が公になって来なかったことにも驚きを隠せない。マスコミも正義を振りかざすことを恐れ、やはり利己主義に走る。

 世界には本書の問題以外にも社会問題が山積している。そんな中で、世界はあの手この手で生き残る道を探り、「競争」に勝つため他国を牽制し合っている。熾烈さを増したこの資本主義社会に果たして明るい未来はあるのだろうか。この世界が100年後、200年後も平和であるように、自国の権益だけでなく、互いの国を尊重し合い、嘘のない平等な社会を世界中の人々で手を取り合って支えていく方法を模索していくのが、賢明な判断だと考える。