オリンピック

 私にとってオリンピック・パラリンピックはずっと夜に観るものであった。
夜中に起きて何する訳でもない。早く起きる必要もない。自分が生きていようが死んでいようがどちらだって良い。そんなように思われる深夜。

そんな時間に海外からの生中継を見る。オリンピック以外は通販しかやってないような時間。膝が痛くて階段が登れないおばあさんが嘘みたいにスタスタと階段を歩く映像を見て、これは嘘だろと思わず口に出してしまう。

日本の選手が出ているから見るのではなく、ただなんとなく見る。つけたらルールも分からないカヌーが放送されていたりして、ただ見る。
事前の知識なんてひとつもなく見ている。そうすると、そんな自分にでも分かるほどに頭一つ抜きん出た選手が現れたりする。もう名前も覚えていないし、その後カヌーを興味深く追っているわけでもない。

それでも、全く知らないカヌーで盛り上がっていられる。深夜の放送だからこそ出会えたスポーツで感動できたりする。
スポーツに勇気を与えられることもない、見た次の日も別に頑張らない。


 そういうのが私にとってのオリンピック・パラリンピックだった。
日本で開催されるとお昼や夜のちゃんとした時間に放送されてしまう。今回のオリンピックは、スポーツニュースを見て日本人がメダルを取った、取ってないくらいの情報としてしか見ていない。
深夜の時間だから、一つの競技を長い時間見ることが出来た。その競技の中でのストーリーみたいなものを理解できた。


 ちなみにオリンピック・パラリンピック期間以外は深夜CSの放送でエッチ映画やドラマを見たりしていた。インターネットを通じてエロスに簡単にアクセスできる世代。それでもテレビで見るエロスはインターネットで見るより興奮できて嬉しかった。

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