見出し画像

100日間生きたワニ

 100日間生きたワニ見ました。
つらつらと感想を書こうと思います。批評や解説ではなくあくまで私一個人の感想です。
映画に関して批評、解説できるのは映画を年に100本や200本見て、あの映画まだ見てないの?見ないと人生損するよだとか、あのシーンは誰々監督のオマージュになっているとか言ってくるタイプの、映画への造詣の深さが人としての偉大さに直結していると思っている人種だと思っているので、批評や解説ではなく感想です。
今年見た映画はプペル、鬼滅、MEG ザ・モンスター(3回目)、これが今年4回目の映画。人気の話題作や通好みな単館映画の類いはほぼ無視している。なので感想を書きます、映画に詳しくないので。

ネタバレはします。嫌な人は映画見てから読んでください。

 『100日後に死ぬワニ』をTwitterで毎日ワクワクしながら100日間律儀に楽しみにしていたし、書籍も買ったしLINEスタンプも持っている。そんな自分からしたらとても良かった。
四コマ漫画のときのリズム感でずっと進んでくれる。
絵があんまり動かない、紙芝居みたいな言われ方をしているらしいけれど、全く気にならない。
バトルシーンが売りのアクション漫画が原作であれば気になるのかもしれないけれど、100ワニは会話が中心の四コマ漫画原作だ。むしろ原作の絵の雰囲気がそのままアニメになっていてすこぶる良い。違和感がない。
しかし、漫画と違って100日がカウントダウンされる形式ではない。


 前半はワニの生前、後半はワニの死後のお話。
前半は四コマの内容を駆け足でさらっていく感じ。
ワニがバスケをしたりゲームをしたり、バイト先のセンパイに恋をしたり、そして友人グループで楽しく過ごす。そしてそんなゆったりとした日常の最中でワニは死んでしまう。
後半は初めましてのキャラクターが出てくる。
カエルだ。このカエルが狂おしく好きだった。一見うざったいキャラクターに見える、それでも好きだった。


 カエルはいわゆる陽キャというようなキャラクターでノリが軽くて軽薄そうに見える。他の町から引っ越してきて、知り合いが一人もいない。
ワニの死で疎遠になりかけていた友人たちに馴れ馴れしく絡んでくる。ワニの親友だったネズミの働いているバイク屋さんに来て、それはもうネズミにダル絡む。
かつてワニが働いていたカフェで働き始めるのだが、バイトのトカゲっぽい女の子にガツガツ行く。ほぼ全員に軽い無視をされ、邪険にされている。

 でも思うに、悪いやつではない、人と付き合う上での適正距離みたいなのものを測り損ねてしまう不器用な人物なのだ。
おそらく今までの人付き合いでの成功体験のパターンが少なく、それを全ての人に適応してしまっているタイプの人なのだ。学生時代のノリで社会人になってからも人付き合いしてしまっている、そんな感じだ。
しかしバイトの女の子にフラれてもさっぱりとしている。相手を気遣える人物だ。
そしてワニの死を当然ながら知る由もない立場である。

 結局カエルは新天地で馴染めず、あげくバイト先での恋も上手くはいかない。その直後にネズミが働くバイク屋に行って整備してもらっていた自分のバイクの前でしゃがみ込んで泣いてしまう。
そこで前に住んでいたところでカエルは友人を亡くしていると吐露する。友人の死を乗り越え、新しい町で心機一転暮らそうとしていたのに、想像していた生活とは異なってしまった現状に心がダウンしてしまった結果の涙なのだろうなと思う。

 ワニが死んでから、ネズミを含むワニのグループの友人たちは全員喪失感が頭からこびりついて離れない。
グループで合うこともしない。ワニの死を引きずったまま、再び集合することを全員がなんとなく躊躇してしまっている。ワニが死んでから、各人が自らの人生を直視出来ていない。誰も前に進めていない。

 登場人物の中で前に進もうと努力しているのはカエルだけなのだ。
カエルは少し空回りしてしまっているけれど、友人の死から立ち直って新しい場所で前向きに人生を歩もうとしている。
泣いているカエルとのやり取りからそんな心の内を悟ったネズミはカエルをツーリングに誘う。
以前恋で傷心しているワニを連れていった綺麗な夕日の見える山にカエルと共に向かう。
不器用ながら愚直に前進しようとするカエルの姿勢に心打たれたのだと思う。だからワニとの思い出の地に再び行くことが出来た。

 その後ネズミは疎遠になっていた友人グループに集まろうと呼び掛ける、そこにカエルくんも誘ってあげる。
ネズミはカエルを友人グループに招いたあと、バイクレーサーの試験にチャレンジすることを明かす。
友人の死にとらわれずに泥臭く不器用に未来に向かって進むカエルの影響を受けて、友人の死の悲しみにくれるネズミたちが少しずつ前を向いて生きようとする話、そういう話だと個人的には思いました。
見た人は是非感想書いてください。
映画の感想を人に見せるのははじめてなので上手くいってるか分かんないけれど、上手くいっていなくても怒らないでほしい。


追記

サポートしてくれるのはめちゃありがたいんですけど、そのお金は是非映画館で使ってください。

是非サポートしてください。 7万5,000円の電子辞書を買うために貯金していきます。