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頭と首の挟み込み(エントラップメント)について

おはようございます。本日も素敵な一年になりますように願っております。

前回の記事”遊具での挟み込み(エントラップメント)に対する保護について”では挟み込み(エントラップメント)に対する保護に関する記述をさせていただきました。

今回は様々な挟み込みタイプの中から頭部と頸部における挟み込みの安全要件についてお伝えさせて頂きます。

BSI EN-1176-1: 2017(23頁)によれば

頭と首の挟み込み(エントラップメント)


頭が先にまたは足が先に通過するどちらの場合においても、どの開口部も頭や首の挟み込みを生じないように遊具は構築されなければなりません。
このタイプの挟み込み(エントラップメント)が生じる可能性のある危険な状況には、次のようなものがあります。
-       利用者が足や頭から通過させることのできる完全に閉ざされた開口部
-       部分的に閉ざされた、又はV字形の開口部
-       その他の開口部(例えば、剪断するまたは変化する開口部)

a)完全に閉ざされた開口部:
遊び(地)表面からの高さが600mmを超える下端を有するアクセス(入退場)可能な、閉ざされた開口部は、本規格の附属書Dの中の条項に従って試験しなければなりません。
大きな頭部用プローブ D の通過が可能でない限り、胴体用プローブ C または小さな頭部用プローブ E は、開口部を通過しないものとします。

注記1 プローブCは開口部への「足から先の」通過を表わし、プローブEは「頭から先の」通過を表わします。

※プローブD、C、Eにつきましては以前の記事”遊具点検用プローブについて”内の図を参照

b) 部分的に閉ざされた開口部とV字形の開口部:
地上600mm以上の高さの入り口を有する部分的に閉ざされた開口部またはV字形の開口部は、以下のどちらかに適合するように構築しなければなりません。
1) 本規格の附属書Dの中の条項に従って試験した時に、プローブが開口部
    にアクセスできない(入らない)。又は
2) 開口部の角度方向範囲に応じて、本規格の附属書Dの中の条項にに従っ
         て試験した時に、地上600mm以上の位置でプローブが開口部にアクセ
    スできる(入る)場合は、以下に準拠するものとします。
-       範囲1:(テンプレート中心線が垂直方向から±45°まで)。テンプレ
   ート頂点が開口部の底面に接触 する時、開口部の深さはテンプレート
   肩部の下面までの長さよりも浅くなければなりません。
-       範囲2:(テンプレート中心線が水平方向から+45°まで)。テンプレ
   ート頂点が開口部の底面に接触 する時、開口部の深さはテンプレート
   の「A」部分より浅くなければなりません。
開口部の深さがテンプレートの「A」部分より深い場合、「A」部分上の開口部のすべての部分が、テンプレートの肩部またはプローブDを挿入可能でなくてはなりません。
-       範囲3:テンプレート試験要件なし。

テンプレート A:「A」部分
B:「B」部分 B1: 肩部

c) その他の開口部(例えば、剪断するまたは変化する開口部):
非剛性部材(例えばロープなど)が重なり合うことによって完全に閉ざされた開口部の要件に適合しない開口部を形成する場合、重なり合わないものとします。
吊り橋の可撓性のある部分と剛性の側面部材との間に生じる隙間は、最悪の荷重状態(下図 参照)で直径230mm以上でなければなりません。荷重状態と非荷重状態の両方を考慮するものとします。

注記2 この要求事項は、橋の可撓性のある支持体(例えばワイヤーなど)の経年変化による伸縮の可能性にも関連している。典型的な吊り橋を図12に示しています。

※ 可撓性(かとうせい)とは、物質の弾性変形のしやすさを示します

例:可撓性のある吊り橋 1:  剛性側面部材 2: 吊り橋 3: 剛性側面部材 4: 最小直径230㎜


完全に閉鎖された開口部(剛性)の頭と首の挟み込み(頭から侵入)例
完全に閉鎖された開口部(非剛性)の頭と首の挟み込み(頭から侵入)例
部分的に閉鎖された開口部(剛性)の頭と首の挟み込み例
V字開口部(剛性)の頭と首の挟み込み例
完全に閉鎖された開口部(剛性)の頭と首の挟み込み(足から侵入)例
完全に閉鎖された開口部(非剛性)の頭と首の挟み込み(足から侵入)例

BSI EN-1176-1: 2017(88頁)参照