カミーユ・サン＝サーンス：ピアノ協奏曲第5番 ヘ長調 作品103
10:10 II. Andante
18:45 III. Molto allegro
### Orazio Frugoni (ピアノ)
**オラツィオ・フルゴーニ (Orazio Frugoni)** は、20世紀の著名なイタリア人ピアニストであり、卓越した技術と感情豊かな演奏で知られています。彼は数多くの国際的な舞台で活躍し、その洗練された演奏スタイルで多くの聴衆を魅了しました。
- **生年月日と出身地**: オラツィオ・フルゴーニは1921年5月19日にミラノで生まれました。
- **教育**: フルゴーニはミラノ音楽院で学び、その後、ジュリアード音楽院でも研鑽を積みました。
- **キャリア**: 彼はソリストとして、また室内楽のパートナーとして世界中で演奏し、多くの録音を残しています。特にショパンやリスト、ドビュッシーなどの作品で高い評価を受けています。
### Vienna Pro Musica Orchestra (オーケストラ)
**ウィーン・プロ・ムジカ管弦楽団** は、ウィーンを拠点とするオーケストラであり、その名の通り音楽のプロフェッショナルたちによって構成されています。このオーケストラは、古典的なレパートリーから現代音楽まで幅広いジャンルの音楽を演奏しています。
- **設立**: このオーケストラは第二次世界大戦後に設立され、ウィーンの豊かな音楽文化を反映した活動を続けています。
- **レパートリー**: ウィーン・プロ・ムジカ管弦楽団は、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトなどのウィーン古典派の作品を中心に演奏してきましたが、現代音楽にも積極的に取り組んでいます。
### Hans Swarowsky (指揮者)
**ハンス・スワロフスキー** は、オーストリアの指揮者であり、20世紀を代表する音楽家の一人です。彼の鋭い音楽的洞察力と指揮技術は、多くのオーケストラに影響を与えました。
- **生年月日と出身地**: ハンス・スワロフスキーは1899年9月16日にウィーンで生まれました。
- **教育**: ウィーン音楽院で学び、アレクサンダー・ツェムリンスキーやフランツ・シュレーカーの元で指揮を学びました。
- **キャリア**: スワロフスキーはウィーン国立歌劇場やウィーン・フィルハーモニー管弦楽団などで指揮を執り、また教育者としても多くの後進を育てました。彼の教え子には、ズービン・メータやクラウディオ・アバドなどがいます。
### Piano Concerto No.5, Op.103 (サン＝サーンス)
**カミーユ・サン＝サーンス** の「ピアノ協奏曲第5番 作品103」は、「エジプト」としても知られ、その異国情緒あふれる音楽が特徴です。この作品は1896年に作曲され、サン＝サーンス自身の演奏によって初演されました。
- **作曲の背景**: サン＝サーンスはエジプトへの旅行中にこの協奏曲を作曲しました。そのため、エジプトや中東の音楽的要素が随所に取り入れられています。
- **楽章構成**:
1. 第1楽章：Allegro animato
2. 第2楽章：Andante
3. 第3楽章：Molto allegro
この演奏は、Pathé-Voxレーベルから1955年にリリースされました（PL 8410）。演奏者であるオラツィオ・フルゴーニの卓越したピアノ技術、ウィーン・プロ・ムジカ管弦楽団の豊かな音色、そしてハンス・スワロフスキーの指揮によって、サン＝サーンスの作品が見事に再現されています。
カミーユ・サン＝サーンス（Camille Saint-Saëns, 1835-1921）はフランスの作曲家で、多くの交響曲、協奏曲、オペラ、室内楽などを手掛けました。その中でも「ピアノ協奏曲第5番 ヘ長調 作品103」（通称「エジプト風」）は、彼の晩年に近い1896年に作曲されました。この協奏曲は、サン＝サーンスがエジプトを訪れた際の印象や、異国情緒あふれる要素が取り入れられていることから「エジプト風」と呼ばれています。
### 作曲の背景
サン＝サーンスは旅行好きで、特にエジプトやアルジェリアなどの北アフリカを訪れることが多かったです。1896年にエジプトを訪れた際、この地で受けた感銘がきっかけとなり、この協奏曲が作曲されました。この時期、サン＝サーンスはすでに名声を確立しており、また自身の音楽にエキゾチックな要素を取り入れることに関心を持っていました。
### 楽曲の構成と特徴
「ピアノ協奏曲第5番」は3つの楽章から構成されています。
1. **第1楽章：アレグロ・アニマート（Allegro animato）**
- 伝統的なソナタ形式で書かれており、活気に満ちた主題と、リリカルな副主題が交錯します。ピアノとオーケストラが緊密に対話しながら進行します。
2. **第2楽章：アンダンティーノ（Andantino）**
- この楽章はエジプトのナイル川での夜の情景を描いているとされます。舟歌のような優美な旋律が特徴的で、エキゾチックな雰囲気が漂います。オーボエやクラリネットのソロが印象的です。
3. **第3楽章：モルト・アレグロ（Molto allegro）**
- 快活でダイナミックなフィナーレ。サン＝サーンスの技術的な巧妙さが光る楽章で、ピアノの華麗なパッセージが多く登場します。
### 楽曲の特徴
- **エキゾチックな要素**: 第2楽章にはエジプト風の旋律やリズムが取り入れられており、サン＝サーンスの異国趣味が表現されています。
- **技巧的なピアノパート**: 全体を通してピアノの技術的要求が高く、特に第3楽章はピアニストにとって挑戦的な部分です。
- **色彩豊かなオーケストレーション**: 管弦楽法も巧妙で、各楽器の特性を活かしながら豊かな音響を生み出しています。
### 演奏の歴史
この協奏曲の初演は1896年にサン＝サーンス自身のピアノ演奏で行われました。初演後も彼自身が頻繁に演奏し、その後も多くのピアニストにより取り上げられています。現在でもコンサートや録音で聴くことができ、その独特の魅力で多くの聴衆を魅了し続けています。
「ピアノ協奏曲第5番」は、サン＝サーンスの豊かな創造力と技巧が結実した作品であり、彼の音楽の中でも特にユニークな位置を占めています。この作品を通じて、彼のエジプトへの愛情と音楽的探求の精神が感じられることでしょう。
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