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第12話 ロー・テンション

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第12話 ロー・テンション


5号機初期、【ローテーションイベント】が盛んに行われていた。「スロット全台」または「対象機種全台」に期間内で設定6を使うという内容。期間中または終了後に答え合わせを発表してくれる店も多かった


当然、後半になればなるほど絞れてくるのでライバルも増えてくる。前半はセンス、後半は抽選運が鍵を握る

後半になると数こそ正義とばかりに下手くそ軍団が引き子を使って押し寄せる


たまに使っていた過疎店が一ヶ月間で店内の全機種を「機種ごとに全56」にするローテを開催した。例えば1日はエヴァ約束全56、2日は仮面ライダー全56など。稼働も全然なくガセもちょくちょくあったためなかなか絞り込めなかった


当時の人気機種だった「リンかけ」は最後の方にやるだろうという予想のもと、ローテ後半は前日に下見して出目をメモ、ガックンチェックしてその時を静かに待つ


基本変更しない店だったため、台にセロテープを貼って仕込みをする日もあった。仕込みに気づいた店長は丁寧にセロテープを剥がして全56にし、丁寧にセロテープを貼り直してくるようなくせ者だった


ここまでやられると俺らがやれることはただひとつ。閉店後に店長が設定変更するのを覗くしかない


閉店後しばらくして店長がホールに降りたのを車から確認して入り口へ。入り口の自動ドアは中が見えないように覆われていたが、自動ドアの上のガラスは透明で中が見えたのだ。だが当然普通に覗いても中は見えるはずもない


肩車だ!


深夜1時を回ったパチ屋の前で肩車をしてもらうロイニー。どうにか自動ドアの上の透明ガラスに届く


バレないように店内を覗きこむと、店長はリンかけを全台設定変更している。よしっ今日だ!


並び順の店だったため一度帰宅して早朝に並んだ。いよいよ決戦、一ヶ月の努力の真価が問われる



結果、その日のリンかけは全1だった


なぜか店長は俺らが肩車をして設定変更を覗き込んでいたことを知っていた。リンかけに入らなかったことへの怒りよりも、なぜバレたのかが不思議で仕方がなかった



入り口の防犯カメラの存在を忘れていた

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