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第13話 そうだ、やめよ part.2

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第13話 そうだ、やめよ part.2


青ドンのHを打っていたある日、知らない番号から着信があった


??「こちら株式会社○○の○○と申します。」
ロイニー「はぁ…」
??「デビューを前提として契約の話を進めさせていただきたいのですが、一度会ってお話出来ますか?」
ロイニー「…!」


当時事務所に所属していなかった俺らはソ●ー主催のオムニバスCDに参加し、音源が全国流通していた。どうやらそのオムニバスを聴いた某事務所が気に入ってくれて連絡くれたらしい


それは●’z、倉●麻衣、小松●歩など名探偵コ●ンの主題歌を取り仕切る大手B●ing G●ZAグループだった


来た、来た、ついに来た!


くすぶっていたバンド活動に一筋の光が差した


ただひとつ気になることが。この某大手事務所はJ-POPに強く、あまりにも俺らのジャンルとかけ離れていた。当時やっていたのはオルタナティブ~ギターロックとインディーズ色の強いジャンル


大丈夫か、これ…


でもコ●ンの主題歌をやれるチャンス!



-数ヵ月後

何度も顔合わせ、プリプロ、レコーディングを重ね三ヶ月ほどでメジャー契約へと話が進む


まずボーカルがクビになった


そして事務所が推していたアーティストをボーカルに迎える話が勝手に進む


デモ曲を何度提出しても全て勝手にアレンジされてJ-POPになって返ってくる


そしてある日、半ば強制でバンド名が変えられた


他のメンバーは状況の変化に動揺しつつも、こんなチャンスは二度とないと完全に腹をくくっていた。同期のワ●オク、R●Dに追い付きそして追い抜きたい気持ちが強かったのだろう



当時5年付き合っていた彼女と同棲していた。最初はメジャーデビューの話を自分のことのように喜んでくれていたが、日に日に彼女の表情は曇っていく


彼女「バンドやめて私と結婚して」
ロイニー「…え?」
彼女「メジャー行くなら私死ぬ」
ロイニー「ちょっと考えさせて」


そう、彼女はただのメンヘラだった


彼女のことはただなんとなく好きだった

デビュー出来ても自分のやりたい音楽すら自由にやらせてもらえないぐらいなら、このままバンドなんかやめて彼女と結婚するか



所属事務所の主催ライブは刻一刻と近づいていた

客は一般客ではなく役員や業界関係者のみ、これからこのバンドを売り出していきますよというお披露目的なライブだった。今後バンドに割り振られる宣伝予算などを決める重要なライブ


前日の夜までただ一人でずっと悩んでいた


…そうだ、やめよ


夜中にメンバーとプロデューサーに電話をした。必死に引き留められるも夜中のファミレスで土下座をしてやめた


なんとなく好きだった彼女を言い訳にして、やりたい音楽がやれないことを言い訳にして、大好きだった音楽から逃げ出した


薄々と自分の限界に気づいていた。ただこれから大舞台で音楽を続けていくことが怖かったんだ。どんなに努力しても才能には勝てない。才能のある人間はさらにそこから努力するから一生追い付けない



バンドをやめてからは彼女は憑き物が取れたかのように明るくなっていった。そうだ、これで良かったんだ…自分にひたすら言い聞かせた


結婚して、働いてこれからは普通の人生を歩んでいこう



-そして一ヶ月後、


フラれた男がそこにはいた


他に好きな人が出来たからと


彼女「バンドで輝いてるロイニーが好きだった」



もう一度言う…


彼女はただのメンヘラだった

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