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第2話 ロイニーの初体験

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第2話 ロイニーの初体験


高校二年の4月。親からもらった教科書代を握りしめたロイニー少年は古びたパチ屋の前にいた

学ランを脱げばバレないだろうという謎の自信で初めての入店

当時のスロットコーナーは照明も薄暗くイカツイ客ばかり。目を合わせぬように俯きながら歩くもパンチの効いた兄ちゃんに睨まれ、逃げるように早歩きでパチンココーナーへ向かう

パチンココーナーはスロットコーナーと比べておじいちゃんおばあちゃんも多く居心地も良さそうで、なんとなくスロットよりも簡単そうだった


(うん、パチンコにしよう。)


生まれて初めて打ったのは「天才バカボン」だった。右も左も分からぬ状態で周りの客を見よう見まねで玉を借りてハンドルを握る

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“カチカチカチカチ”と盤面に当たる玉の音、一定のタイミングで打ち出される玉の動きが妙に心地よかったのを今でも覚えている


あっという間に教科書代は全て飲み込まれていった

…あれ、教科書ないと学校行けなくない?

ビキナーズラックなんてものはなかった


ロイニー少年の通っていた高校は給食はなく毎日弁当だった。弁当代として親からもらっていた500円を握りしめてパチ屋に向かう日々が始まった


当時の主流は現金機で100円から遊べた。その中でも特に「タコヤキ八ちゃん」という羽根モノがお気に入りだった

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羽根に拾われた玉がVに入るか入らないかのあの一瞬がスローモーションのように感じ、股間がヒュンッとなる。今でも羽根物を打つとあのときと同じ不思議な感覚に襲われる


玉の動きに一喜一憂し、そして途方に暮れる毎日。500円を使いきっては一文無しになり、次の日には意気揚々と500円玉を握りしめてパチ屋に向かう


換金率は2.2円、台移動・共有禁止、羽根物に至っては2500発の定量制(※)


今冷静に考えると頭がおかしい


そしてその店に500円玉を握りしめて、毎日足しげく通う彼の頭はもっとおかしかった


(※定量制 規定の玉数になった場合は打ち止め終了となり出玉を流さなければいけない)

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