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訪問看護師やってみた 赤裸々体験談

訪問看護師って実際どうなの?

「訪問看護って難しそう」
「拘束勤務って大変そう」
「一人で判断なんて怖すぎる」
などなど・・・

以前からある訪問看護へのイメージでよね。
私はおよそ7年訪問看護師を経験しました。

ここでは訪問看護師としての働き方や体験談をまとめました。
訪問看護師への転職を考えている方は読んでみてください。





訪問看護師をやろうと思った理由

私は社会人を経て看護師免許をとりました。新人~5年間は総合病院で勤め(消化器外科、呼吸器内科、脳神経内科、糖尿病教室など三交代制)その後訪問看護ステーションに転職しました。

理由①聴こえの限界を知る
 私はもともと先天性の難聴で補聴器を使用していますが、次第にドクターや同僚の声が聞き取りにくくなりました。夜勤帯は静かで声のボリュームが小さくなるから尚更です。常に鳴っているモニターやアラーム音も耳にストレスになってきました。耳や体のことを考えると夜勤のない働き方を模索し始めました。

理由②自宅で療養する利用者さんの穏やかな様子が忘れられない
 訪問看護の研修を受けた際、実際の訪問看護の現場を見学しました。利用者さんやご家族と近距離で話すことができること、夜勤やモニターがないことはもちろんのこと、ベッドに横たわっている利用者さんの顔がなんとも穏やかなこと!!
私が勤めていた病院は入院患者のほとんどが高齢者で認知症患者も多く「センサーマット」といって立ち上がろうとするものならナースコールが鳴るという装置が全病棟で不足するほどの状態でした。想像するに容易いですが患者が穏やかな顔をしているはずがありません。

これらの理由で私は訪問看護にチャレンジしてみようと思ったのです。

訪問看護師として働く選択肢

看護師さんって根が真面目で一生懸命な方、本当に多いですよね。
でも、体は正直です。年齢とともに疲れもたまり、イライラも増しますよね。病棟はいつも人手不足で忙しく、その上異動が頻繁だったり、若い子がどんどん増えてきたり、また病院によっては疲れ果てた顔の先輩看護師を見たりして見たりして、今後、私は看護師としてどのようにキャリアを重ねていこう、、、と思ったりしませんか?

訪問看護師として働くには新たな免許は必要ありません。以前は臨床経験○○年以上とか現場でのキャリアがあることを求める暗黙の空気感がありましたけど、、、まだまだ訪問看護師が不足しているこのご時世、今では新人からでも訪問看護師を採用するステーションも存在します。(ただし臨床実習ができる協力病院があるステーションが多いですが・・・)

そして、訪問看護ステーションには夜勤がないところがほとんどです。
夜勤はもうしたくない方、体力的に不安がある方、訪問看護師という選択肢もあるということを知っていただきたいです。

病院の患者さんではなく、地域に住む市民を対象に「看護」「看取り」のお手伝いを経験することは、看護師として病棟勤務とは違う大きな価値観を得られます。

訪問看護師はどんな人にオススメ?

◎自宅で療養している方の看護をしてみたい人
前述したとおり、病室で横になっている患者さんと、自宅で療養をされている利用者さんは驚くほど表情が違います。もちろん、自宅という環境がそうさせているのでしょう。穏やかな表情の利用者さんの顔を見ながら看護してみませんか?

◎ナースコール対応に疲れ果てた人
これは病院にもよるでしょうが、わたしが勤務していた総合病院は入院患者の8割以上が高齢者でした。認知症患者、転倒、徘徊防止のセンサーマット、難病患者・・・つまりナースコールがひっきりなしでした。
「きちんと対応しなければ」という思いと「きちんと対応したのに」という気持ちでイライラしていました

◎患者さんともっとしっかり話したい人
情報収集から始まり、点滴や処置、医師への報告、検査介助、ナースコール対応の他、後輩の指導、委員会の仕事、チームカンファレンス、勤務後の勉強会、看護計画の立案、見直し、退院サマリーの記載等・・・
やるべきことは山ほどあります。
不安が強く緩和ケアが必要な患者さんともっと話がしたいと思ったり、退院後に必要な療養指導をじっくりしたいと思っていても叶わないことが多かったです。

訪問看護師として働くことのメリット・デメリット
メリット
①患者さん(利用者さん)とじっくり話ができる

ナースコールは鳴りません。時間内全てを利用者さんのことだけに使うことができます。また、その方がどのような人生を送ってきたのか、どのような家族関係の中でどのような役割を担ってきたのか等、人生の背景を土台に看護目標を一緒に考えることができます。

②夜勤がない
夜勤がないところが多いと思います。
ただし、拘束勤務といって勤務時間外や土日に利用者さんからの相談や場合によっては訪問をする電話当番があるところが多いです。
それでも月に8~10回夜勤がある病院と違い、拘束勤務は月に数日というケースが多いと思います(大規模訪問看護ステーションに限ります)
日勤だけというのは体にも良いですし、休日にご家族と出かけることも可能になります。

③一人時間が多い
病棟は基本チーム看護です。当たり前ですが看護師は病室にいるかステーションにいるか。
訪問看護師は車を運転して利用者さんの自宅や高齢者住宅等移動します。看護も基本的には一人。天候が荒れている時や看護判断に迷うとき、採血失敗したときなどは焦りますが、それでも慣れると一人でいる時間が長いのは性に合ってました。
熟年先輩にネチネチ言われ、後輩の言動が気になって仕方ない病棟時代を思うと、なんて自由なんだと思いました。

デメリット
①基本的に一人で判断、一人で処置をしなければならない
とは言っても、訪問先で電話で上司や同僚に相談できますし、採血や留置カテーテル等自分では厳しい時は、訪問してもらえます。
でも、やはり不安ですよね。
同行オリエンテーションでしっかり手順を覚えましょう。

②拘束当番がある
拘束勤務は緊張します。勤務場所によっては、訪問したことのない(別チーム)利用者さんから連絡がきたり訪問せざるを得ないことも・・・
料理中に電話があれば料理は中断。
夜中に電話が鳴れば何時でも訪問(緊急訪問したからと翌日休みになるわけではありません)
拘束当番の時は遠出、映画館、美容室は難しい。家族の理解が必要
拘束当番なしの条件で探したり、パートから始めるのもありですね。

③車の運転に緊張
車で訪問、その上住宅街を訪問のため道が細いことが多いです。
訪問先の駐車場も狭いことが多いです。
雪国なんて除雪していないと最悪です。(訪問看護利用者は高齢者が多いので、自宅の除雪をお願いするのは現実的に厳しいのです)

訪問看護ステーションの雰囲気は?

私が転職したのは隣町の難病・脳神経内科を得意とするクリニック併設訪問看護ステーションでした。
看護師は常勤3人。
皆それぞれ専門もキャリアも違って勉強になる部分がたくさんありました。刺激にもなりました。
少人数は情報共有が容易なのはいいですが、息が詰まるときもありますよね。。。
24時間体制をとっていたので、一人当たりの拘束当番が長かったのが一番辛かったです。

訪問看護ステーションの雰囲気って、ほんと入ってみないとわかりませんよね。事前に見学することも一つかな、と思います。
できれば看護師が多く所属しているステーションを選ぶといいと思います。
いろんな看護師さんがいて相談にのってもらえる方が精神上いいと思いますし、多種多様な疾患を抱える利用者さんの看護を体験することができると思います。また、拘束勤務日数も少なく済むと思います。

訪問看護師の給料は?

病棟勤務時代の夜勤手当を除いた金額、よりも少し少なめと思っていた方がいいかもしれません。
夜勤がない代わりに健やかな心身状態を得られると思って。

実際に訪問看護師として働いてみた感想

新鮮な体験ばかりでした。
患者さんやご家族に「ありがとう」と言われることが嬉しくて、
自分の知識や情報を伝えることができることにやりがいがあって、
もう、病棟にはもどれないな、と思うほどでした。
最初は与えられた30分、60分、90分を利用者さんの家で費やすことがどれだけ大変なことかを思い知り、それだけ病室では数分しか患者さんと接触していなかったことに気づきました。
皆さん、自宅でかけがえのない日常を送っている。
看護師としてそのお手伝いを担えることはすごい職業です。
わたしは体験できて本当によかったです。

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