駆け抜ける坂道 2nd Stage ーSector3ー
駆け抜ける坂道 2nd Stage ーSector3ー
〈チューニングアプローチ〉
ブォン、ブォン…
〇〇の86の後ろに史帆のインテグラが並ぶ。
ひかる:カウント行きまーす!
〇〇:…よし。
史帆:にしし笑 楽しみー!
ひかる:5,4,3,2,1…ゴー!!
ブォン、ブーーン…
保乃:さぁ始まったでー!
土生:いっけぇー!
友香:〇〇…頑張って!
理佐:相手、後追いを選んできたね。
由依:うん、でも大丈夫。作戦はある。
天 :なんか今までの相手とは違う雰囲気だよね。
--
ブーーン…
史帆:さぁバトルだよ!楽しませてね!
〇〇:先行か…地元の相手にこれはキツイぜ…
2台の差はほとんどないまま、
1個目のヘアピンに入る。
史帆:1個目のヘアピン…。お手なみ拝見!
〇〇:こっちもあんまり長引かせるわけには…
行かない!
キャァァァァァ
〇〇は理想のラインでコーナーをクリアする。
史帆:ふぅ〜やるね〜
〇〇:よしっ!
史帆:んじゃこっちも!
キャァァァァァ
史帆も〇〇と同じラインでコーナーを
クリアしていく。
〇〇:そりゃくるよね。一筋縄じゃいかないよな…
史帆:にしし笑 まだまだこっからだよ!
ブーーン…
--
保乃:ひーちゃん、このコースはどんな感じなの?
ひかる:う〜ん、何というか
直線っていう直線がないんだよね。
友香:ってことは低速コースってことですか?
由依:いや、そうでもないんだよね。
土生:どういうことですか?
由依:ここは櫻神峠よりも勾配がキツイ。
スピードは乗りやすいし、
ブレーキもシビアになってくる。
保乃:てことは、かなりテクニカルなコースだと。
由依:そういう事になるね。
友香:しかも〇〇が先行…
ひかる:きついね…
由依:でも大丈夫。
保乃:え?
由依:もう〇〇くんに指示を伝えてある。
友香:指示?
--
好花:にしても珍しいですよね。
久美:としちゃんが走るのが?
好花:はい…いつもそんな乗り気じゃないのに…
彩花:確かにね…
久美:まぁとしちゃんは感覚派だからね。
彩花:そういえばこのちゃんは
としちゃんの本気って見た事あったっけ?
好花:いえ…
久美:まぁ普段はほとんど本気で走んないからね。
彩花:あれは見たらびっくりするよ。
好花:そんなすごいんですか?
久美:まぁね、"あの子"が現れるまでは
ここで最速だったわけだし…
好花:そうですけど…いまいちイメージが…
久美:いつもはヘニョヘニョしてるしね。
彩花:にしても後追いを選ぶなんてね…
久美:それは私も意外だった。
好花:なんかビビって来たって言ってましたけど…
久美:とにかく任せるしかないね。
--
ブーーン…
2台は団子状態のまま、半分を過ぎていた。
〇〇:やっと半分…
史帆:ほらほら、早くしないと抜いちゃうよ〜
〇〇:とりあえず耐えるんだ!
ブォン、キャァァァァァ…
史帆:いいねぇ!いいツッコミ!
ブォン、キャァァァァァ…
史帆は〇〇が走ったラインをなぞるように
コーナーをクリアして行く。
〇〇:くっ…かなり近いな…。
背中から痛いほどプレッシャーを感じる…。
史帆:にしし笑
まだまだ私はこんなもんじゃないよ!
ブーーン、シュルルルッ
--
天 :ねぇ、あのインテグラって音が変だよね?
シュルルルッって
由依:あれは…ターボチューンだね。
天 :ターボチューン?
由依:あのインテグラは本来そういった
過給機はついてない…というかいらないくらい。
友香:あのエンジンはホンダの傑作ですからね。
由依:ただでさえ速いエンジンにターボ。
はっきり言って邪道だよ。
天 :でも〇〇さんの86も
スーパーチャージャーが付いてるよね?
由依:確かにどっちも過給機は付いてる。
でも、その2つは特性が違う。
ね?ゆかくん。
ゆか:簡単に言うとターボは高回転時、
スーパーチャージャーは低、中回転で
効果を発揮する。
同じ過給機でもアプローチが違うってこと。
由依:勝負のポイントはそこかな…。
ブーーン…
由依は遠くから聞こえるエキゾースト音の方を見る…
由依:(とりあえず最初は耐えて、〇〇くん…。
勝負はまだ先だから…)
--
ブーーン…
2台はもつれたまま、3/4を終えようとしていた。
史帆:にしし笑
ほらほら逃げないと2本目入っちゃうよ?
〇〇:くっそ…とにかく今は
由依さんの"指示"を実行するだけに集中するんだ!
Next Sector…
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