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もしも…下駄箱に不可解な手紙が入っていたら


キーンコーンカーンコーン…

〇〇:うーん…あぁ終わった。

退屈な授業が終わった。

〇〇:さて帰るか…

ーー

ガチャッ

〇〇:…また。

下駄箱を開けると一通の手紙が入っていた。

〇〇:今度は何だ?

ガサガサ

"体育のサッカー、ゴールすごかったね!
今日もカッコよかったよ!"

〇〇:はぁ…

俺は手紙をポケットに突っ込んで
帰り道に向かった。


??:はぁ…

ーー

〇〇:明日行けば休みか〜

??:〇〇!

〇〇:ん?あぁ夏鈴か。

こいつは藤吉夏鈴。
幼稚園から高校まで一緒の幼馴染だ。

夏鈴:もう帰り?

〇〇:あぁ。

夏鈴:ん?ポケットからなんか出てるよ?

〇〇:ん?あぁ。下駄箱に入ってた。

夏鈴:もしかしてラブレター?

〇〇:だったらまだいいんだけど…

俺は夏鈴にその手紙を見せた。

夏鈴:…感想文?

〇〇:ここ最近ほぼ毎日入ってるんだよね…

夏鈴:なんか…ちょっと怖いね…

〇〇:何もされてないからいいけど、誰から貰ったかもわからないしね。

夏鈴:まぁ…何かと気をつけな…

--

夏鈴:…ってことだけど?

??:そう…だよね…

夏鈴:まず何で名前も書いてないの?守屋ちゃん。

麗奈:だって…もし変に思われたら…

私、守屋麗奈は恋してます。
隣のクラスの〇〇くんに。

でも話すきっかけがないので夏鈴ちゃんの
アドバイスで下駄箱に手紙を
入れ始めたんだけど…

夏鈴:しかも内容も感想だけ…
このままじゃストーカーに思われるよ?

麗奈:それは絶対いや!!

夏鈴:だったらもうちょっと頑張りなさい!
あいつはただでさえ人気なんだから!

そう、〇〇くんはモテる。
放課後によく告白されてるらしい…


麗奈:どうしたらいいかな…

夏鈴:まず名前を書く!
そしてもっと自分の気持ちを書く!

麗奈:出来るかな…

夏鈴:まぁフォローはしてあげるけど。

麗奈:お願いぃぃぃ!!

--

ガチャッ

〇〇:…入ってる。

ガサガサ

〇〇:?

夏鈴:よっ。

〇〇:おう。

夏鈴:また入ってた?

〇〇:入ってたけど…
点しか書いてないんだけど…

夏鈴:…ちょっと借りとく。

〇〇:え、うん、あぁ…

ーー

夏鈴:守屋ちゃん?

麗奈:…

夏鈴:確かに「好きです」とは書いてある。

麗奈:…

夏鈴:でも何で虫眼鏡で見ないと
見えないくらいの字で書くの?

麗奈:その…恥ずかしくて…

夏鈴:こっちの方がむずいわ!
こんな暗号みたいに書かれても読めるか!

麗奈:はいぃ…

ーー

その後も手紙は書くが…

夏鈴:좋아요、레나…これは何語?

麗奈:ハングル…

夏鈴:〇〇もあんたも日本人でしょうが!!

ーー

夏鈴:3332244443339995…?

麗奈:その数字をキーボードに当てはめれば…

夏鈴:す…き…て…す…れ…な。
って今時ガラケー使うか!!

暗号化されたものばかりだった。

ーー

夏鈴:どう最近?

〇〇:何が?

夏鈴:手紙。

〇〇:最近は入ってないな…

夏鈴:ふ〜ん。なんか寂しそうだけど?

〇〇:まぁ少し面白かったからさ

夏鈴:へ〜そうなんだ〜チラッ

麗奈:ササッ

〇〇:ん?どうかした?

夏鈴:んーん。別に。

ーー

夏鈴:ってことだけどマイナスなイメージは無さそうだね。

麗奈:どうすれば?

夏鈴:ってかその前になんで〇〇のこと好きになったんだっけ?

麗奈:それは…

ーー

半年前…

休みの日に用事があって電車に乗っていた。

麗奈:うわぁ、人がいっぱい…

行楽シーズンてのもあって人が多くの人がいた。

麗奈:次乗ろうかな…でも遅れちゃうし…

結局私は満員電車に乗った。

麗奈:…!?

乗っているとお尻を触られた気がした。

麗奈:…ん!?

まただ…後ろのおじさんかな…

声出して助けて欲しいけど怖くて声が出ない…

??:…

スッ

あれっ?止まった?

ちらっと後ろを見ると私とおじさんの間に同い年くらいの男の子が入ってきていた。

男 :…ギロッ

おじさんは男の子ことを睨んでいた。

??:…どうしました?

男 :…ふんっ!

プシューッ

おじさんは次の駅で降りていった。

??:大丈夫でしたか?

麗奈:え、あ、ありがとうございました!

??:これからは気をつけて下さいね?ニコッ

麗奈:!?

か、かっこいい…

プシューッ

??:では…

麗奈:あぁ…

男の子はおじさんが降りた次の駅で降りて行った。

麗奈:名前…聞けなかったな…

ーー

夏鈴:へ〜そんなことあるんだね〜

麗奈:カッコよかったな〜

夏鈴:でその人に恋しちゃったんだ。

麗奈:え!?えっと…

夏鈴:図星笑

〇〇:あ、夏鈴!

夏鈴:んー?

〇〇:うちの母さんがこれ夏鈴の
お母さんに渡しといてって。

夏鈴:わかったー。

〇〇:じゃ、よろしく〜。

スタスタ…

麗奈:…

夏鈴:守屋ちゃん?

麗奈:うそ…

夏鈴:まさか…

麗奈:こないだの電車の人…あの人だ…

夏鈴:〇〇が!?

ーー

麗奈:…ってことで…。

夏鈴:ちなみにその時のお礼って…

麗奈:まだ言えてない…

夏鈴:まずそこからじゃない?

ーー

〇〇:さて…帰るか…

夏鈴:ほら守屋ちゃん、行くよ!

麗奈:えっ。ちょっと!

夏鈴:〇〇〜。帰ろー。

〇〇:ん?あぁ…ってその方は?

麗奈:あ、あの…

〇〇:?

麗奈:守屋麗奈です…。

〇〇:守屋さんね。夏鈴にも友達いたんだな笑

夏鈴:それってどういう意味!?

〇〇:なんでもねーよ。帰るぞ。

ーー

結局私と夏鈴ちゃん、
〇〇くんの3人で帰っていた…けど。

夏鈴:あ。

〇〇:どした?

夏鈴:私、お母さんに
お使い頼まれてたんだー。行かないとー。

〇〇:おう…。

夏鈴:2人は先に帰ってて!じゃあ!

麗奈:あぁ…

夏鈴ちゃんが棒読み丸出しで帰っていった。

〇〇:じゃあ…帰ろっか。

麗奈:うん…。

〇〇:あいつと一緒で疲れない?

麗奈:ううん!そんなことないよ?楽しいし。

〇〇:そっか。

あの時のお礼…言わないと…

麗奈:あ、あの〇〇くん!

〇〇:ん?

麗奈:あの時はありがとう…

〇〇:あの時?

麗奈:電車で痴漢に遭ってた時…

〇〇:ん?あーあの時の!

麗奈:ちゃんとお礼言えてなかったから…

〇〇:ううん、大丈夫だよ。怖かったでしょ?

麗奈:うん…。でも助かった。ありがとう!

〇〇:どういたしまして!ニコッ

その優しい笑顔、あの時私が安心した
笑顔と一緒だ…

〇〇:じゃあ俺こっちだから。

麗奈:あ、あの!

〇〇:ん?

麗奈:こ、今度のお休み…ご飯に行かない?

〇〇:ご飯?

麗奈:こないだのお礼に…

〇〇:そんなの気にしなくていいって。

麗奈:でも…

〇〇:そしたら普通に友達としてご飯に行こう?

麗奈:うん!

〇〇:よし決まり!あ、連絡先無いとだよね?

麗奈:え、あぁそうだね!

〇〇:はいこれ。俺の連絡先。

麗奈:うん!

〇〇:じゃあまたね!

麗奈:またね!

〇〇くんは帰って行った。

麗奈:はぁ〜…

夏鈴:上手くいってよかったね。

麗奈:わぁ!いたの!?

夏鈴:心配だったから陰から見てた。

麗奈:ねぇ…どこ行ったらいいかな…

夏鈴:そしたらね…

ーー

麗奈:はぁ…緊張するなぁ…

待ち合わせの時間より30分も早く着いちゃった。

麗奈:服はよし。髪型…よし。
あとは気持ちだけ…。

〇〇:あっ!守屋さーん!

麗奈:!?

〇〇:ごめん、待たせた?

麗奈:ううん!私が早くきただけ!
でも〇〇くんも早いよね?

〇〇:待たせるのも申し訳ないからさ。

優しい…どんだけ優しいの?

〇〇:それじゃ行こっか。

麗奈:うん。

〇〇:と言ってもご飯食べるには少し早いし…
どっか寄ろっか?

麗奈:えっ!?う〜んそうだな…

〇〇:あっ!じゃあさ水族館に行かない?
このすぐ近くにあるからさ!

麗奈:え…うん!行こう!

ーー

待ち合わせ場所のすぐ近くにあった
水族館に入った私たち…


〇〇:おっ、ペンギンだ。

麗奈:かわいい〜!

〇〇:ね!このトコトコ歩く姿、可愛いよね!

麗奈:うん!

ーー

麗奈:あ!イルカショーあるみたいだよ!

〇〇:行こっか!

私達はイルカショーの会場に入った。

麗奈:すごーい!

〇〇:すっげぇ飛ぶな〜。

ヒュー…バシャーン!

麗奈:!?

〇〇:あぶない!!

バシャーン!

麗奈:…!?

イルカが飛ばした水しぶきが私にかかりそうなのを〇〇くんがかばってくれた
…のはいいんだけど…

〇〇:大丈夫?

顔がすごい近い!!

もうちょっとでキ、キ、キ…

〇〇:?守屋さん?

麗奈:!?あぁえっと…大丈夫だよ!

〇〇:そっか、よかった。

麗奈:ってか〇〇くんは!?

〇〇:ギリギリで当たってないよ。
ちょっと袖が濡れたくらい。

麗奈:ええ!?大丈夫!?

〇〇:これくらい大丈夫だよ。
守屋さんが濡れなくてよかった。

ずるいよ…
そんなこと言われたら余計に
好きになっちゃうよ…

〇〇:イルカショーも終わったことだし、
そろそろご飯に行こっか。

麗奈:う、うん!


ーー

水族館を出た私達はレストランに
向かっていた。

〇〇:…でどこだっけ?

麗奈:ええっと…ここだよ!

〇〇:ん?…ってええ!
ここ来たかったとこだ!

麗奈:本当!?よかった…


…ってのはウソ。

ほんとは夏鈴ちゃんに〇〇くんがここに行きたがってたのは聞いてた。


〇〇:よし!行こう!

〇〇くん、すごい嬉しそう。

あの優しい笑顔も好きだけど、
今の子供みたいな笑顔も可愛いくて
好きだなぁ…


ーー

〇〇:パスタ美味しかった〜

麗奈:ね!

〇〇:デザートはどれにしよっかな〜


麗奈:私はこのイタリアンプリンに
しよっかな。

〇〇:じゃあ俺はティラミスにしよ。

ーー

麗奈:ん。美味しい!

〇〇:うまっ。

麗奈:ティラミスも美味しそうだね!

〇〇:ん?食べる?

麗奈:えっ!?

〇〇:ほら。

〇〇くんはティラミスを乗せたスプーンを
差し出してきた。

こ、こ、これって…あーんってやつ!?

〇〇:ん?どうしたの?

これで断ったら変だし…

麗奈:あーん…パクッ

〇〇:どう?

麗奈:お、美味しい///

〇〇:よかったパクッ

えー!!

〇〇くん…今私が食べたスプーンで
そのまま食べたよね!!

そ、そ、それって、か、か、間接キス!?

ーー

〇〇:ちょっとごめん、トイレ行ってくる!

麗奈:う、うん!

〇〇くんはトイレに向かった。

麗奈:はぁ…


さっきのティラミスの一件…

何で平然とああいうこと出来るのかな…

もしかして…
女の子として意識されて無いのかな…


〇〇:お待たせ。じゃあ行こっか。

麗奈:うん!えっとお金は…

〇〇:あぁ、大丈夫。今払ってきたから。

麗奈:ええ!?そんな、悪いよ…

〇〇:いいよ!
こういうのは男が払うもんでしょ?

麗奈:でも…

〇〇:夏鈴と仲良くしてもらってるお礼…
ってことにしといて!
あいつ友達少ないからさ。


夏鈴:クシュン!…誰か噂してるのかな…


麗奈:ええ…

〇〇:とりあえず出よっか。

ーー


私達はレストランを出たあと、 
公園で座って話していた。


〇〇:今日はありがと!
行きたかったとこに連れて来てくれて!

麗奈:私こそ…奢ってもらっちゃって…

〇〇:いいの!ここはカッコつけさせて?


そんなことしなくてもかっこいいのに…


ドサツ!

〇〇:?

子供:うぇーん!

私達の前で子供が転んで泣いてしまった。

〇〇:ぼく?大丈夫?

子供:うぅ…グスッ

〇〇:痛かったね〜よしよし

〇〇くんが話していると、
子供が泣き止み始めた。

〇〇:もう大丈夫かな?

子供:うん…

〇〇:よし!それでこそ男の子だ!
でも今度は気をつけるんだよ?

子供:うん!

〇〇:よし!ほらお母さんが心配してるよ?
戻ってきな?

子供:うん!おにーさんありがと!

〇〇:バイバイ!

子供は笑顔になって帰っていった。

〇〇:子供は元気だな〜

麗奈:やっぱり優しいんだね…

〇〇:そりゃ、困ってる人は放っておけないでしょ?

麗奈:やっぱり好きだなぁ…

〇〇:え…。

麗奈:え、あ、いや!違うの!
違くはないんだけど…

〇〇:?

麗奈:私…前に助けてもらった時から
〇〇くんのことが好きなの…
そして今日一緒にいて…大好きになったの!

〇〇:…

麗奈:だからその…
私と付き合ってくれませんか!

〇〇:守屋さん…うん、いいよ。

麗奈:ええ!?

〇〇:今日一緒にいてすごい楽しかった。
もっと一緒にいたいと思った。
だからこれからもよろしくお願いします。ニコッ

麗奈:やったー!

〇〇:可愛い…

麗奈:え?

〇〇:こ、この際だから言うけど…
守屋さんってすごい可愛いよね…

麗奈:嬉しい///

〇〇:と、とにかく!これからよろしく!
守屋さん!

麗奈:麗奈って呼んで!

〇〇:れ、麗奈…

麗奈:な、なーに?//

〇〇:///

麗奈:それと一つ謝らないといけないことが…

〇〇:?

麗奈:こないだまで…
下駄箱に手紙入ってたよね?

〇〇:あぁ〜。

麗奈:あれ書いてたの…私なの。

〇〇:そうだったの!?

麗奈:うん…変だったよね。

〇〇:ううん。途中から何書いてあるか少し楽しみだったよ笑

麗奈:はぁ…よかった…

〇〇:さて…帰ろっか。

ギュッ

麗奈:!?

〇〇くんが手を…

麗奈:ずるいよ…

〇〇:?

麗奈:こんな事、普通にやるなんて…

〇〇:彼氏なんだから当たり前でしょ?

麗奈:…うん///

〇〇:よし。行こ!

麗奈:うん!!

ーー

夏鈴:よかったね。付き合えて。

麗奈:うん!これも夏鈴ちゃんのおかげ!
ありがとう!

〇〇:麗奈〜!

麗奈:あ!〇〇くん!

〇〇:帰ろっか。

麗奈:うん!

夏鈴:お熱いことで。

〇〇:ごめんな?
麗奈はもらったから帰る人いなくて。

夏鈴:そのイジりやめろー!

〇〇:わぁー!逃げろー!笑

ギュッ

麗奈:えっ!ちょっ!

夏鈴:待てー!!

〇〇:あはは笑

麗奈:…クスッ。あはは笑

夏鈴:守屋ちゃんまで笑うなー!!


今繋がってるこの手。

走りながらだけど優しく握ってくれてる。

こんなにも優しい彼氏…。


私は今、とっっっっても幸せですっ!!


Fin

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