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負けられない

モズスーパーフレアが内枠からダッシュ良く飛び出し、あっという間に先頭に立ち、前半600mが34秒1、後半600mが35秒1という、重馬場で上がりが掛かることを考慮に入れると平均ペースでレースを引っ張った。スタミナも問われる流れになり、最後は実力馬3頭の争いになった。

勝ったダノンスマッシュは前にレシステンシアを見ながら終始手応え十分で進み、最後の直線に向いて余裕を持って追い出され、ゴール前でグイッと伸びて頭ひとつ抜け出した。着差こそ僅かだが、何度走っても勝つだろう。香港スプリントを勝った馬がこのメンバーでは負けられない。休み明けであったが、中間の馬体を見る限り、決して余裕のあるつくりではなく、結構ギリギリであった。昨年の高松宮記念はギリギリを超えてしまって敗れただけに、今回は限界を超えないように気をつけながら攻めた陣営の勇気と手腕に賛辞を送りたい。

川田将雅騎手は自信満々に乗っていた。昨年の凡走があるだけに、今年こそ勝ちたい気持ちは強かったはずだが、それを表に出さず実に冷静な騎乗であった。勝気を見せたのはゴール前200mで、きっちりと馬を動かして、ダノンスマッシュもそれに応えてきっちり動いてみせた。

レシステンシアは初の1200m戦、しかもG1の舞台であり道中はや惑いを見せていたが、鞍上の叱咤激励に応え、最後まであきらめずに脚を使ってみせた。決して自分の形になったわけではないからこそ、逆にこの馬の強さが垣間見えた。距離はもう少しあった方がレースしやすい。

インディチャンプはレースの流れに乗って、福永騎手が描いていた通りの走りだったはず。最後は先着した2頭のスピード能力に屈してしまった。年齢を重ねて集中力が続く時間が徐々に短くなっているため、精神的な距離適性はスプリント戦の方が合ってきているのではないか。


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