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ブロードアピールの追い込み

あっと言う間に1月も終わりそうです。来月末にはもうフェブラリーステークスが行われるかと思うと、嬉しいやら、待ち遠しいやらで、少し上機嫌になってしまいます。今週の根岸Sも、フェブラリーステークスへと繋がっていくステップレースのひとつですので、よーく目を凝らして観ていきましょう。

根岸ステークスといえば思い出してしまうのが、ブロードアピールのあの強烈な追い込みです。まるで1頭だけ芝の上を走っているのではないかと思うぐらいの、次元の違う末脚で全馬をごぼう抜きにしてしまったレースですね。追い込み馬列伝の企画があると、必ず上位に推されるレースでもあります。シルクロードSを勝っているように、芝でも走る馬でしたが、とにかくダートの短距離戦での追い込み力は圧倒的でした。

ブロードアピールの父ブロードラッシュはヒムヤー系の種牡馬です。ヒムヤー系はエクリプスから出て、細々と現代まで生き延びてきたアウトサイダーです。アメリカでこそ血は今なお大切に守られているのですが、世界的には傍流の傍流になってしまっています。それでも、スピードを失っていないのがこの系統の凄いところですね。

たとえば、ダイワメジャーの母母父クリムゾンサタンはヒムヤー系の種牡馬です。ダイワメジャーはサンデーサイレンス産駒の中でも異質のスピード馬でしたが、それは母系にこの傍流ヒムヤー系がひそかにかかっているからではないでしょうか。同じ父サンデーサイレンス、母父ノーザンテースト産駒のデュランダルとタイプが全く違うのは、このあたりの血脈に理由があるのかもしれません。もちろんダイワスカーレットにもヒムヤーの血は流れています。

そういえば、2001年の根岸ステークスでブロードアピールを負かして勝利したのも、ヒムヤー系ブロードラッシュの産駒であるノボトゥルーでした。その後7年間ずっと走り続け、晩年は思うような結果を残せませんでしたが、2008年に12歳で根岸ステークスに出走したのも驚きでした。今となってはヒムヤー系の馬を探すのが難しくなってしまいましたが、この時期の重賞に出走してくることがあれば、ぜひ追い込みを期待して狙ってみたいですね。


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