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【すぐ使える!】小規模事業者持続化補助金の書き方(企業概要 財務分析 基礎編)

この記事を読んでいる人は、小規模事業者持続化補助金で申請を考えていると思います。

持続化補助金の申請で最初に立ちはだかる壁である「企業概要」。

この記事では、企業概要の欄で使える財務分析の基礎について説明をします。

この記事を読めば、財務分析の基礎が分かり、持続化補助金の申請書のレベルが向上して採択される可能性が上がりますのでぜひ最後まで読んでみてくださいね。


小規模事業者持続化補助金の企業概要について

小規模事業者持続化補助金の企業概要では、いわゆる企業の自己紹介です。

しかし、ただの自己紹介では小規模事業者持続化補助金の申請書としては満点とは言えないでしょう。

なぜなら、小規模事業者持続化補助金には『この事項について見させてもらいますよ。』という審査項目が公募要領に定められているからです。以下、小規模事業者持続化補助金〈一般型〉の公募要領から引用抜粋します。

Ⅱ.書面審査

経営計画書・補助事業計画書について、以下の項目に基づき加点審査を行い、総合的な評価が高いものから順に採択を行います。


1.自社の経営状況分析の妥当性
自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや自社の強みも適切に把握しているか。


2.経営方針・目標と今後のプランの適切性
○経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。
○経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか。

3.補助事業計画の有効性
○補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。
○販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために
必要かつ有効なものか。
○補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。
○補助事業計画には、ITを有効に活用する取組が見られるか。

4.積算の透明・適切性
○補助事業計画に合致した事業実施に必要なものとなっているか。
○事業費の計上・積算が正確・明確で、真に必要な金額が計上されているか。

※過去3年間に実施した全国対象の「小規模事業者持続化補助金」で採択を受けて補助事業を実施した事業者については、全体を通して、それぞれ実施回の事業実施結果を踏まえた補助事業計画を作れているか、過去の補助事業と比較し、明確に異なる新たな事業であるか、といった観点からも審査を行います。

※より多くの事業者に補助事業を実施いただけるよう、過去の補助事業(全国対象)の実施回数等に応じて段階的に減点調整を行います。
※補助金申請システム(名称:J グランツ)を使用せず、郵送で申請を行った事業者に対して、減点調整を行います。

太字の部分に『自社の経営状況を適切に把握し~』との記載がありますが、ここで自社の状況を適切に見れていますか?と聞いています。

経営状況というと、財務、取引先、ステークスホルダー、など色々ありますが、基本的には財務情報は自己紹介に切っても切れない重要な情報になります。

つまり、財務分析の手法をたくさん知っていればいるほど、経営状況は客観的に把握しやすくなるということです。

偏りすぎの情報はいけませんが、たくさんの手法を持っていて状況に応じて分析できる力は補助金申請だけではなく経営に大いに役立ちますのでこの機会にぜひ勉強してください。

損益計算書の構造を覚えよう

売上高
②売上原価(粗利)
③売上総利益
④販売費および一般管理費(営業経費)
⑤営業利益
⑥営業外収益
⑦営業外費用
⑧経常利益
⑨特別利益
⑩特別損失
⑪税引前当期純利益
⑫当期純利益

上は法人の損益計算書で使われる様式ですが、個人の青色申告決算書では以下のようになります。①~⑤の該当部分を赤字で記したので参考にしてください。

ここまでの数字が分かればあとは、単年度でまとめて、直近決算の説明をしてもいいし、複数年度でまとめると業績推移ができあがります。

個人的におすすめしているのが、複数年度でまとめてグラフを使って視覚的に分かりやすく説明する方法です。

数字や文字だけの羅列だと、審査をする先生達もさすがに疲れると思うので適宜、画像やグラフを用いて説明するのが良いと思います。


業績推移を説明すると、『事業所がどのような経営状態でどのように推移しているのか』がより客観的に分かります。

例えば、売上高が変わらないのに売上総利益が下がっていたら、売上原価に問題があります。

問題を細分化してみると仕入費用が昨年よりも増大していたとします。

増大の理由は、自社でコントロールできるのか、できないのか。

コントロールできない場合、代替案はあるのか。など、売上原価だけ見ても考えるべき要素はたくさんでてきます。

単年度では、気づくことができなかった問題も、複数年度でみると見えてくる経営課題があるのです。

補助金申請だけではなく、普段の経営にも役立ちますので、ぜひ複数年度で業績を見るクセをつけましょう。

利益率をみてみよう

では、もう一歩踏み込んで、利益率をみてみましょう。

ひとえに利益率といっても、売上総利益率、営業利益率、経常利益率、純利益率などいろいろな種類があります。

先にも書きましたが、小規模事業者持続化補助金は小規模な事業者を対象にしています。(対象事業者についてはこの記事で詳しく書いていますので参考にしてくださいね。)

ですので、利益率についても売上総利益率と営業利益率が分かれば大丈夫です。

売上総利益率の計算方法

売上総利益率は、売上高に占める売上総利益(粗利)の割り合いを表しています。

売上総利益率の計算式は以下になります。

売上総利益率=売上総利益÷売上高

売上総利益率が高ければ、以下の2点が考えられます。

  1. 売価が上がった

  2. 仕入費用が安くなった

注意すべき視点は、以下の視点です。

【1.売価が上がった】

これは、売上の単価を想定しています。

客単価が上がることは、売上単価が上がる場合もありますが、いわゆるクロスセルなどの購入点数を増やしただけの売上増の場合は売上総利益率に影響しません。

(例)

(売上高)100円×1個=100円

(仕入費用)50円×1個=50円

(売上総利益)100円-50円=50円

(売上総利益率)50÷100=50%


(例:購入点数が増えただけの売上増の場合)

(売上高)100円×2個=200円

(仕入費用)50円×2個=100円

(売上総利益)200円-100円=100円

(売上総利益率)100÷200=50%

このように購入点数が増えただけでは、売上総利益率は変わりません。


(例:売価が上がった場合)

(売上高)150円×1個=150円

(仕入費用)50円×1個=50円

(売上総利益)150円-50円=100円

(売上総利益率)100÷150=66.7%

このように売価が上がった場合には、売上総利益率が上がります。


【仕入れ費用が下がった】

これは、会計期間の最初と最後に在庫がないことを想定しています。

会計期間の最初に在庫があって、最後の在庫よりも多い場合は、売上総利益は減ります。

逆に会計期間の最初にあった在庫よりも、最後にあった在庫が多い場合は売上総利益は増えます。

つまり、仕入れ費用が下がっても、在庫の状況によって売上総利益は変わるので、仕入れ費用だけではなく在庫を加味して売上総利益を考えなければなりません。

営業利益率の計算方法

営業利益率は、売上高に占める営業利益の割合を表しています。

営業利益率の計算式は以下になります。

営業利益率=営業利益÷売上高

営業利益率が高い場合は、以下の理由が考えられます。

  1. 売価が上がった

  2. 仕入れ費用が安くなった

  3. 営業経費が節約できた

1と2については、上の売上総利益率の説明を参考にしてください。

3の営業経費については、営業に必要な経費になります。販売費および一般管理費ともいわれます。

営業利益率については、複合的に要素が絡みあってきますが、重要な要素は『売上』『仕入』『営業経費』の3個です。

ですので、営業利益率の分析には、この3つの要素の動きに着目すると良いのです。

まとめ

この記事では、小規模事業者持続化補助金の企業概要で使える財務分析を見てきました。

今回は基礎的な内容ですが、企業概要で自社の財務状況の説明が十分できると思います。

補助金だけではなく、普段の経営にも役立ちますのでぜひ参考にしてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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