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幸せで残酷な夢を見た、夏

親友と遊ぶ夢を見て、楽しくて幸せでたまらなくて、これは夢だと気づいて、でも気づいていることを相手や周りに知られてしまったら夢が終わってしまうような気がして、気づかれないように全力で楽しいフリをしていた。
目が覚めてめそめそと泣いて、今日からお盆だと気付く。

会いにきてくれたと思っていいのだろうか。
私は親友だと思っていたけど、相手はどう思っていたかもわからない。
交友関係の多かった彼は、会いに行く先など他にも多々あるだろうに。
ついでに寄り道でもしてくれたのか。
はたまた私の願いが夢になっただけか。

親友を亡くしてもう8年になる。
自分の人生に必要だったはずの存在を失ったまま、8年も平気で生きていられることに、ふと恐ろしさを感じることさえある。
彼だけではない。私は、自分の人生を手放しで幸せだと感じるには、大切な人を失い過ぎてしまったと思う。

そのあと何人、大切な人に出会えても。
親友を失った傷は、親友その人でないと癒せないのだ。
この先何年経っても。
今この瞬間、彼が生きていたら。と思うときが何度も何度も訪れる。
人生に迷ったとき、幸せなことがあったとき、悲しいことがあったとき、お前ならどうする?と問いかける。
答えは帰ってこないけど。あいつならこうするだろう、と思って生きて行く。

二度と彼に会えない地獄はこれからもずっと続く。
それでも私はその中で幸せになるしかないのだ。
後を追うことも、忘れ去ることもできないのだから。

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