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Narumi
2022年3月24日 12:42
ルビーが飛んでいる。灰色の空を駆け巡る赤い閃光のごとく、飛んでいる。私は目を見開く。見える。遠くの方に、彼女を見とめる。ルビーはいつも一人で、気持ちよさそうに飛んでいる。それを見るとなぜだか嬉しくなって、喉奥がぎゅっとなり、涙が出るのだ。いつだって体温のある涙だった。私の中の愛が溢れていた。私は彼女が好きだった。みんなから「ルビー」と呼ばれるその鳥は、つややかに輝く赤色の毛、大きなくちばし