50代.口蓋裂の話。



結論として、再手術はしない事に決めたよ。身体に負担が大きすぎる、との医師の判断。障害の程度が大きくて、いま10代だったとしても厳しいとのこと。この分野、40年前より大して進歩してなかった。

もしフル完治を望むなら、血管付きの骨を身体から取り出して、血管を頚動脈にくっつけて、さらにベロを上顎に縫い付けて二週間そのまま、だったかな。
それでも移植が成功するかどうか、という、かなりシビアな話。

具体的には、頚動脈から血管を経由して骨に栄養を送って定着させるんだって。軟組織(骨以外の組織。歯茎を含む、上顎ね)も薄いから、ベロの組織を利用して増殖させるとか。

何年も、何回も手術を重ねて、それでも成功するかどうかわからない。それなら顎義歯で穴をなるべく塞いで感染症に気をつけつつ人生を全うする、という方向に、最終的にシフトした。

生まれつきの話なので大人に言われたとおり病院に通って来たので、今回、自分の障害の全容を初めて把握することになった。
また今後の展望を思い知らされて、この一週間は頭の片隅に無念さが常に渦巻いていて、元気になれなかった。

口いっぱいに食べ物を含み、その香りを痛みを気にする事なく味わいきれない残念感。
鼻に空気が漏れる不便さ。
年取って免疫力が下がった時の感染症への恐れ。

残念感や不安は尽きぬけど、もうこうするしかないなら、仕方ないんだけどね…とつぶやける程度までは、心が回復してきた。








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