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補助輪なし

生きるのが下手な気がする。純文学の主題としてよくある「生きづらさ」とはまた別の、もっと根本的に生きるのが下手な感じ。目的地まで近道しようと道路を渡ったら元いた方の道路に目的地があるし、安く済まそうと入ったパン屋で定食屋くらいお金使うし、引っ越す前の家の方が今の職場から近いし、試着せずに買うからいつもシャツはワンサイズ小さいし、電車乗った瞬間トイレに行きたくなるし、健康保険証がない時に限って病気になるし、仲良い友達はいたけど文化祭を一緒に回るような友達はいなかった。

学生の時付き合っていた元カノにコメダコーヒーで「もし君と結婚したら君から借りてる金はどうなりますか」と聞いたら、一拍あけて「結婚したらそれは、チャラだよ」と言われた。その後二回実家に挨拶に行って、煙草臭い喫茶店でうちの母親を紹介して、向こうの家族と一回星乃珈琲で食事して、別れた。あん時くらいからおかしくなってきている気がする。ペースを乱されている、ということにしておきたい。二回目に元カノの実家に寄る途中向こうのお母さんに頼まれて精肉屋に寄った時、元カノのことを昔から知ってる店主が「○○ちゃんおっきなったなあ!」って言って元カノは人見知りだから小さく笑って、こういう些細な幸せを積み重ねていくんだろうなと思ったのに普通に別れた。LINEのKeep機能がサービス終了と聞いて見返していたら元カノの三姉妹の名前の漢字を覚えるために書いたメモが残っていた。別れてかなり経つのにまだ引き摺っている。引き摺るという行為は今まで出会ってきた人ともこれから出会う人に対しても失礼だと知っている。でもじゃあどうやって断ち切ればいいんだ

この前友達の結婚式の二次会に行った。そういう場に初めて行った。たとえば人生が映画になった時ナレーションで「家族に恵まれて」と一言で済まされてしまうような、でもそれにしては勿体なさすぎる美しい景色が眼前に広がっていた。その一行が自分の映画には登場させられる気がしない。二次会の後に新郎新婦含めてみんなでカラオケに行って歌おうとしたけど思いついた曲がぜんぶ失恋ソングで縁起悪いから辞めようとしたら「気にせず歌っていいよ」と言われて結局ドライフラワーも猫もソラニンも入れた。ソラニンなんて普段失恋ソングなんて意識したことなかったけどちゃんと考えたら世の中ほぼすべて失恋ソングだった。Vaundyの『踊り子』で小松菜奈が握っているようなスタンドマイクが部屋の隅に置いてあった。なんか恥ずかしくて結局そのマイクでは歌わなくて、でもずっと気になってて、後日後輩と行った別の街のカラオケルームにもスタンドマイクがあったからそれは流石に歌ってしまった。上手くもないのに見かけだけ一丁前で鏡に映った自分があまりにもダサかったからもうやらない。けど楽しかった。結婚式は大学の知り合い同士で、だから朝方の原宿地下のカラオケ館はまんまあの頃のあの部屋に戻ったみたいだった。外に出たら人気のない竹下通りが嘘みたいで、山手線始発の冷えた空気は忘れられない

大学四年生の頃に6人でしていたシェアハウス時代の一人とGWに会った。男4女2の、学年もバラバラの6人。一緒に暮らしていたのに会って数分は人見知りを発揮していて、でもここで文字起こしするに及ばない短い単語の会話であの時の温度感のやりとりができて安心した。アジフライのしっぽまで食べて歯磨きが長くて酒が強くなくて早く寝る奴だった。二階の隣の部屋。青葉市子の音楽がスピーカーから聴こえてきて本棚には吉本ばなながあった。青葉市子を知ったきっかけで、だから青葉市子を聴く度に思い出す。ベランダでも部屋が繋がっていたけど汚すぎて一回も通らなかった。部屋のドアの上に突っ張り棒を伸ばしてワンピースを短冊みたいに掛けていて、そこを服に当たるよう雑に通るとワンピースが全部落ちてきて面白かった。キッチンに自分の育てた野菜を持ち込んでいた。持ち前の手先の器用さで作ってくれたポシェットを今仕事で使っている。久しぶりに一緒に酒を飲んだ。煙草を咥えたいと言うから渡したら「燻製の味がする」と言っていた。隣の席のおっちゃんと仲良くなりたがってたけどなれずにおっちゃんが残していったピザとフライドポテトを店員さんの許可を貰って二人で食べた

だらだらと近況を書いてしまった。犬も食わない退屈でオチのない話に付き合ってもらってありがとうございました。思考が少し整理できました

ここから先は近況というより最近ぼんやり考えていることで、脈絡なく書いていたら長くなってしまったし恥ずかしいので鯨のために買ってやろうと思う人だけで大丈夫です

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