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トレード資金を守る:証拠金は自分の金だと強く認識すべきです

証拠金取引と金銭感覚の麻痺

初心者トレーダーが大損して退場する良くあるパターンは、デモ口座で少し動作になれたら、本番で試しにやってみようとなるケースです。口座開設ボーナスなどがあって、それをだけを使って取引できるブローカーであれば、問題ありません。

しかし、スキルが未熟なまま本番に進むと損益勘定が正しくできず、預けた証拠金とポジションのロット数が正しく計算できず、訳が分からないままに大きな損失を出してしまうことがあります。それを勉強代などというには、あまりにも勿体ない状況です。

証拠金とは?

証拠金とは、FX取引を行う際に口座に預け入れる資金のことです。この資金が取引の担保となり、取引のリスクをカバーします。これは資金が無い人は参加できない大きな参入障壁としても機能しています。証拠金が減少すると、追加の資金を入れるか、強制的にポジションを清算されることになります。これが証拠金取引の怖い部分です。

証拠金を投入した瞬間から、トレーダーの金銭感覚は麻痺し始めます。100万円の証拠金を持っていると、損失が1万円、2万円と増えても「まだ大丈夫」と思いがちです。

これを読んでいる人は、1万2万が減っているのに平気なのは、その人が異常だからとか、金持ちだからとか、そんなことを想像するかもしれませんが、その状況になると当たり前のように受け入れられるようになります。

それが証拠金の恐ろしさでもあります。

100万円の証拠金からすれば、1%2%のなのです。マネーゲームとして考えれば、まだドボンしないというような発想に変わってきます。チャージ型のプリペイドカードやカジノに行ってチップに変えた後と同じ状況と言えば分かってもらえるかと思います。

しかし、この感覚が命取りになります。損失が増えるにつれて、トレーダーは次第に損失に対する感覚が麻痺し、冷静な判断ができなくなります。気づいたときは数十万円の損失がでていて、初めて、これはマズイと気づくのです。

そのような状態になることはブローカーが想定通りのことであり、このような仕組みで初心者トレーダーはカモにされているのです。

FXとギャンブルの違い

FX取引とギャンブルを比較すると、いくつかの明確な違いがあります。例えば、公営ギャンブルの競馬ではレースが終われば新たに賭けることはできません。負けた場合、その損失は賭け金に限定されます。開催日以外は馬券を買うことができず、出した金額以上の損失になることがないという部分は、ギャンブルにとって最大の救済とも言えることです。

しかし、FXではポジションを持ち続け、損切りをしない限り、損失がどんどん膨らむ可能性があります。週末でマーケットが閉じても持ち越しとなり、翌週も損失が継続されます。この違いが、ギャンブルとFXトレードの大きな違いになります。

競馬であれば、一度の負けで損失は終わりですが、FXでは損切をせずに損失が続く限り、その損失額は増え続けます。つまり、トレーダーが証拠金取引のリスクを理解していない場合、大きな損失をだすことは想像できることなのです。

億り人とは何だったのか?

仮想通貨が盛り上がった年に億り人などと成功者を称賛するようなニュースがありましたが、元金1万円から1億円を稼いだわけではなく、もともと1000万円程度の資金を10倍に増やした程度です。仮想通貨ブームのピークとも言える2017年でも20倍のリターン程度で、1億にするためには、元金が500万円必要だったわけです。

ギャンブルには、一獲千金という可能性があります。現在の競馬などの三連単では、万馬券は当たり前に出ますし、100万馬券などということももあります。100円の馬券が、1万円になるのですから、万馬券で100倍、100万馬券は、1万倍です。FXのリターンが如何に小さいか分かっていただけることでしょう。FXに一獲千金は無いのです。

強制ロスカットとマージンコールの罠

FX取引には、証拠金不足になると強制的にポジションを清算する「強制ロスカット」制度があります。これにより、全ての資金を失う前に取引を終了させることができます。また、証拠金が減少すると「マージンコール」と呼ばれる警告が出され、追加の証拠金を要求されます。この警告を無視すると、最終的に強制ロスカットが実行されます。

感覚を麻痺させる連絡

証拠金におけるマージンコールは、「もう直ぐ資金がなくなるから追加で証拠金を入れないと強制的に損切りするよ」という連絡です。この警告は、多くのトレーダーに「証拠金を追加すればまだ巻き返せる」または「損失が確定する前に証拠金を追加しなければ」と勘違いさせる点で非常に危険です。実際には、追加の証拠金を投入することで、さらに大きな損失を抱えるリスクが高まります。

証拠金を積み増すという行為は、支払い済みのお金というイメージになってしまいます。買い物をした後、失敗したと思っても、何年も引きづることは多くないでしょう。一度、財布から出たお金は忘れがちです。そのため、一度証拠金という名のもとにお金を出させることで、そのハードルを大きく下げることができるのです。

証拠金は食いっぱぐれしない仕組み

証券口座を作るためには、マイナンバーの提出が必須ですので、逃げることはできません。証拠金など入れなくても、クレジットカードの番号を登録することで、いつでも支払いには対応できるはずです。しかし、毎日のように損失分がクレジットカードで支払われたら、とても続ける人はいません。

証拠金を入れることで金銭感覚を麻痺させるという手法は、ブローカーは絶対に損しないための必須のルールとも言えます。悪い言い方をすると負けることが前提とも言えるわけです。

投資における資金管理の重要性

投資において最も重要なことは、資金管理です。これをエントリー方法や相場観以上に重視する必要があります。資金がなければ、どんなに優れた取引戦略も実行できません。

証拠金はあなたのお金であり、いつでも取り戻すことができます。帰ってこないものではありません。その証拠金を守り続けることで、次のトレードにチャンスを繋ぐことができます。今日は負けても明日は勝つと考えるべきです。

投資で爆発的に儲けたという話をよくネットでは見ることができますが、そのリターンは現実的には限られています。先ほど書いたように億り人などと持ち上げられる成功者も、もともと多額の元金を持っていたわけです。レバレッジがあるので、何百倍にもなるような錯覚をしますが、年利〇〇%というようなことが現実的な数字であり、それを守っている人だけが生き残っているとも言えます。

練習と検証の意義

最後に、練習と検証の重要性について触れます。証拠金取引のリスクを理解し、コントロールするためには、練習が不可欠です。何の練習をするかと言えば、損切の練習です。シミュレーターを使い、損切の練習をするのです。

どのようなタイミングで損切を続けたら、資金はどのくらい減るのか?その損切をもっと早くしたら、どのように変化するのか?もっと遅くしたら?別のい指標を使って損切のポイントを考慮してみるなどなど、損切の練習をすることは、大切なことです。

書くまでもありませんが、損切できないトレーダーは生き残れません。

そして、損切の経験を積むことは、リアルに近いシミュレーター環境を提供できる練習ツール以外にはありません。デモ口座でも練習はできますが、とても効率が悪いので、練習ツールを持っていた方が良いでしょう。

注意してほしいことは、検証ツールでは、損切の練習が効果的にできないということです。証拠金の変動は、練習ツールを使えばコントロールすることができるようになるでしょう。練習することで損切をマスターし、常に冷静な判断を心がけることで、証拠金取引のリスクを最小限に抑えることができるでしょう。

証拠金取引は大きなリスクを伴いますが、正しい知識とスキルを身につけることで、そのリスクを最小限に抑えることができます。経験を積み、常に冷静な判断を心がけることが重要です。また、損切のタイミングを見極め、適切な資金管理を行うことで、大損して退場するリスクを減らすことができます。

FX取引はギャンブルではありません。しっかりとした計画と準備を行い、慎重に取引を進めることで、成功への道が開けるでしょう。証拠金を守り、次のトレードにチャンスを繋げるために、資金管理と冷静な判断を忘れずに行いましょう。

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