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【The Auction終幕】テアトロ・ガットネーロの魅力

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こんばんは、ROOTON(るーとん)です。
今回、アバター劇場「テアトロ・ガットネーロ」一般記者向けの
カメラフリー回があると聞き行ってきました。

実は、本公演の視聴は今回で二度目。
一度目は事前情報なしで入ったのであります。

今回はそんな単なるアバター宣伝イベントの枠を超えた、
評判が評判を生んでいる本イベントその魅力を考察します。

アバター劇場「テアトロ・ガットネーロ」って?


はじめに、ここではどんなイベントで、何時間くらいかかるのか。
参加するときにどんな準備が必要かお話します。

そもそも、アバター劇場「テアトロ・ガットネーロ」とは…何か。
有体に言えば、プロが行う演武・観劇のパフォーマンスイベント。
またVRChatでのアバターや衣装を紹介するイベントが併設されています。

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この後、参加しようという人には、一点だけ注意を
本イベントは、2時間強・途中休憩を挟まない長丁場の舞台です。
20:50(入場開始)/21:00(開幕)~23:00(順次解散)
となるため、100%楽しむためには時間の確保をしてください。

The Auctionでの舞台のプログラムは下記のとおりです。
・20:50~21:00 開場
・21:00~21:20 諸注意 主催者挨拶
・21:30~22:00 第一幕 演武(徒手空拳・剣舞・Mao Tu紹介)
・22:00~22:40 第二幕 劇中劇(無声劇・Silvia&Lilia紹介)
・22:40~23:00 アバター試着会
23:00~    閉幕(以下自由解散)

初めてイベント参加するという方にアドバイス。
テアトロ・ガットネーロは大好評のイベントのため
先着順で開場すぐ満員になります。
余裕のある時に下記の事を準備することをお勧めします。
 ①主催のうぃりあむ氏をフレンド登録しておく
 ②会場後すぐ(21:50)に「join」する
 ③負荷軽減の設定をしておく
(ご本人のステータスが緑色/青色になっていないと入れない)

晴れて入場できれば後の「劇場を楽しむための操作」は会場でも丁寧に説明してもらえるので安心してください。


細部宿る「魂」-”The Auction”からの問い


「魂は細部に宿る」というが、本公演にぴったりの言葉かな…と思います。

一目見て気づかない所に存在していて、血のにじむような努力、
実践できそうに見えて意外と気づかなかった細やかな配慮

一つ一つを消して疎かにしないイベントだからこそ
そういった膨大な積み重なり感情――「感動」に繋がっていました。
ここでは、僕なりに見えた小さな気づきをお話します。


観劇中、僕はどこか「違和感」を感じていました
何か、自分一人が不思議な世界に迷い込んだかのように思ったのです。

2人の少女が舞台から降り、皆がそれを熱心に吟味します。
アバターの説明とともに、ポーズを決めます。
いつから始まるのだろう?あるいはもうはじまっているのだろうか

この不思議な舞台に、たった一人迷い込んでしまった自分は
聞くこともできず、その違和感を、ずっと抱え込んでいたのでした。

実はそれも、この不思議な世界へ、足を踏み入れる
いや……不思議な世界の一員になるからくりだったのでした。

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第四の壁を越えて―壁は超えてこそ

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舞台と客席の間には「壁」があります。第4の壁といいます。
目に見ることはできませんが、「見ている私たち」と「演劇内の世界」を
分けています。意図的に破るものもありますが、ふと現実を直視します。

では、今までに見ている私たちを半ば強制的に登場人物に仕立て
なおかつ作品の世界観を崩さず存在させることができるでしょうか。

それを、いくつかの仕掛けにおいて成立させたのが、
アバター劇場「テアトロ・ガットネーロ」でした。

一つヒントがありました。
予算は多めに、使えるものを」団長が言っていた言葉です。

劇中で、何名か話すものがおりました。
演劇を見に来た訪問者でした。
この劇は、この世界の一員であろうとする彼らの意思―予算によって
舞台における第4の壁を超え
、舞台を上っていたのでした。

もう一つの試み。それが僕が違和感に感じていたもの。
いつイベントが始まっているんだろうか。
と感じたのは時間構成の仕掛けにあると思いました。

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明確にパートを設定するのではなく、さも劇中であるかの
ような余韻
を引くことで、内容はアバターの紹介でありながら
異世界での風景。あるいはオークション会場のような雑多な世界
形成していたのでした。

劇場あるいはサーカス会場をイメージしたワールド
入場口と開演の挨拶、不思議な見た目をした観客たち
異世界からの男メビウスの声

視覚、聴覚…を通じ、異世界と現実の境界をあいまいにすることで、
そうと意識せずとも世界に入り込む仕掛けがあったのです。
こうして、舞台における第4の壁をあいまいにしていきました。

観客各々に、舞台の第4の壁をあがってこれるよう手を差し伸べ
その壁自体も薄くあいまいにしていくことで、
第4の壁をなくすことに成功していましたのでした。

この不思議な体験、舞台の第4の壁を超えた先の演劇が魅力に感じました。


電子の世界から「魂をうけた」アバターたち
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浄瑠璃・人形劇――
そこに人はいるはずなのに、それを感じさせないものがあります。
VRという表現方法で、演者を消すことで
アバターを立たせる仕掛けがありました。

ワールドに入って一つ不思議なことがありました。
カソウ舞踏団のうち誰が何役かどこにも表記されていませんでした。
演劇は、「誰が何役をやるか」というのも大きな注目を集めます。
「●●役の××さん今日もサイコーでした!」って言いますよね。

たまたま書くのを忘れてしまったのでしょうか。否、あり得ません。
指先に至るまで、魂が通っていたのでした
これほどまでに、キャラクターを操演できるほどの人達が
今回の演劇を単純に「即興」でやってるとは言えないと思いました。

では、意図的に劇団の「顔」 演者を隠している理由とはなんでしょう。

アバターの性格を理解するのは簡単に見えて難しいです。
何故なら通常いろんな人が何らかの個性を付けて自己表現します。
とすれば、今回のアバターそのものの魅力を引き出すには、
自分を消しアバターの個性に寄せる必要があります。
本来でなら強みのはずの己の個性が「ノイズ」となります

己の魂を消して、アバターを表出させるとしたのではと考えました。
まさにその試みに「魂消る(たまげる)」ばかりでした。


アバターの魅力を引き立てるという目的のために、
役者の個性を隠してまで、演じ切るその試みに魅力を感じました。


活動形態に見る「異質さ」とプロフェッショナル

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「完璧な操演」はなぜ可能だったのか。
役者の個性を消すという仕掛けを優先することができたのか。
VRではまだ黎明期のプロフェッショナルによる活動が可能としていました。


現状はまだまだ本格的な商業ベースでの活動が少なく、
個人の趣味の範囲であることが多い創明期のVRでの活動。
その中で、一早く「経済活動」を考慮したその枠組みだから
できたのではないかと考えました。

アバター劇場「テアトロ・ガットネーロ」においては、
2点において他のイベント・団体との大きな違いがあります。

パフォーマンスで用いられるアバターは汎用のものであること。
プロによるイベントであり金銭の収受が発生していること。

金銭の収受については、誤解なきように申し上げると
怪しいオンラインサロンとか、金銭や対価を払わないといけない精神状況に
追い込まれるということはありませんから、どうぞ安心してご覧ください

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アバターの魅力の発信方法としてはいろんな方法がありますが、
活動・紹介としては、一つ「アイドル」の存在があります。
個々人あるいはグループの活動にスポットがあたり、
多くは趣味として、対価は金銭的な見返りなしに活動しています。

この動きとは異なり「異質な」イベントであるように思います
では、プロフェッショナルが集まって行う理由はなんでしょうか。

VRはバーチャルの「永遠」「強固」なイメージから一転。
実際プレイすると、かなり不安定なシステムであるといえます。
イベントで失敗など日常茶飯事であり、通常は笑って過ごします。

プロフェショナルというのは、失敗を付加価値を付けリカバリー
できる技法……アドリブ力
を持つ人であると考えています。

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この演劇では、過度なパーティクルやアニメーションを使用しません。
その場の状況に合わせモノをつかむ/暗転する。
基本は人の動きによって演じられている、生の演技なのです。

技術的には、全自動が可能であることでも、あえて全部手でやること
そうしたことが、演者が客の雰囲気を読む。客が演者に合わせて動く。
双方向な動きを可能としました。

これは、かなりのアドリブ力を要します。
前述するキャラクターには不要とされていた人の力がここで
初めて必要となり、この演劇の根幹を支えていたのでした


一見最もローテクに見える人の力でやることが、
不安定なVRにおいて最先端の芸術と確実性を担保していること。
それを平然をやってのけるのがプロだからと言えました。

何でもないことが、実はアバターで大切だった。


劇中でどこか怪しげな男 メビウスは問いかけます。
「ご自身にあうアバターは見つかりましたでしょうか。」

そして妖艶な声色でメビウスは、職人が丹精込めて作り上げたものには魂が宿り私たちちはそうした”魂”を売買していると、説きます。

そして、連れ出された少女。あなた好みの好きにできるという。

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会場は異様な空気に包まれ、好事家たちがおずおずと値段をつけはじめる。
「3500」「4000!」「4200だ」

私は彼女に値段をつけることができませんでした。
この光景に、私は違和感を。普段の行いについて考えていたからです。

普段より、嬉々として髪型を変え、色を変え、衣装を変え
「自分好みのアバターを作る」という行為。

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それが、いまこの舞台の上の少女と好事家との関係と同じなのではないか
そう考えさせられたのです。

ここで誤解なきように言うと、本公演は
アバターの改変を批判とか、衣装替えに反対する
という意図を持ったものではないということです。

僕の中で強い違和感を感じるところでありました。
―劇場でのメビウスの問いかけは、アバター購入に妨げとならないか。
「アバターを紹介するイベントが、これではむしろ買うのをためらうのではないか」と思ったのです。

その答えは、ホームページから
そして演者らの言葉によってうかがい知ることとなりました。

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―アバターの魅力”だけ”を引き出すということ

アバターの購入への動機となるものは通常
・自分が好きな表情、機能、姿である
・期間が限定されている/今を逃すと買えない などがあります。
劇場/アバター紹介というのだから何か限定品がある。
特別な品がある。僕はそういったものとばかり思いこんでしました。

しかし、アバター劇場「テアトロ・ガットネーロ」では
劇中での登場人物は、皆さんが各作者のショップで購入してアップロードすれば使うことのできるアバターになります。
また、衣装や小物が今回の劇中専用であり期間中に買わないと、もう買えないこともありません。

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アバター劇場テアトロ・ガットネーロとは
ありのままのアバターで、本来の世界観にあわせつつ行う劇場であります。
それでいて、劇場と呼ぶのに相違ないものであること。
一切のクオリティーの妥協を許さないものとして完成されているのです。

アバター購入の妨げになるのではないかという問いに対しては、
「演者の個性」「独自の設定」そう言ったものからいったん距離を置き
キャラクター本来の個性を見つめなおすために
そうしていたと考察しました。

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きっと魂の強い揺さぶりがといいますか
言いようのない強い感情にかられることでしょう。


つぶやき―文化の先進性と批評について

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きざなことを言うと、過去の作品・文化が広まるには
 ①時代を少しだけ跳躍した優れたアーティストがうまれる
 ②優れたアーティストに的確な評価をする者があらわれる
 ③的確な評価を受けて大衆が納得する

過程があると思います。①は準備していただいたのかもしれません。
次のバトンは……今こうしてこれを書いている僕も
自分自身が②番走者であるのか、③番走者であるのか
はたまた単にらくがきに過ぎないのか。

それを知るすべはありませんが、
願わくばこの演劇をもっと多くの人が見て、
その活動が認知され、評価されることを願ってやみません。

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