東京03の「小芝居」が面白すぎるという話


東京03のコントで「小芝居」というネタがある。

3年前に開催された単独公演「自己泥酔」で披露されたコントのひとつなのだが、これがとにかく面白い。


私が東京03とコントを中心にお笑いを好きになったきっかけのネタでもあるので、お笑いにそこまで興味のない方にも、コントを観るきっかけになれば…という思いでブログを更新してみた。

ここからは私が個人的に「良い!」「すごい!」と思ったポイントを書き連ねていく。
ただ、未視聴の方がネタバレを踏むのを避けたいので、まずは一度観てから先を読み進めていただきたい。
約12分間なのでそこまで長くはないはず。お時間のある方はどうかお願いします!


東京03「小芝居」の好きなポイント

ギリギリありえそうな設定

ある番組でアンガールズの田中(敬称略)がこのコントを紹介する際に「日本のコントの中で5本の指に入る面白い設定」と褒めていた。お笑いを観るようになってから日が浅い私でも、面白い設定だなあと思う。
このコントのベースとなる「居酒屋で職場の同期から結婚の報告を受ける」という場面は、普通に生きていてもそれなりに経験しそうではある。
そんな場面設定に「小芝居をさせられる」というたった1つの設定が、誰にでも起こりそうな場面の違和感になっているのが面白い。

そもそもお笑いのネタって、ありそうな日常を絶対にありえない非日常にした設定が主流じゃないの?と思う人もいるかもしれない。そう考えると他のコントの設定と何ら変わりないようにも思える。しかし、東京03のネタは日常に違和感をプラスしてもギリギリありえそうな設定になっているところがリアルで面白い。


3人の演技と演じ分け

このコントはやっぱり飯塚(敬称略)の演技の上手さが見どころで、演技が上手くなければ成立しないネタなのがまず面白い。しかし、角田(敬称略)の演じ分けと豊本(敬称略)の女性らしい仕草や表情も自然で何度観ても笑いつつ感心してしまう。

飯塚はコントという芝居の中で小芝居をさせられる(しかも上手な芝居をしなければならない)というかなり難しい設定にもかかわらず、上手な小芝居として成立している。また、演技をしている飯塚としていない飯塚の演じ分けもされていて、芸人でありながら役者としてのスキルが高すぎる。すごい。
また、飯塚と同様に角田もコントの中で小芝居をしているのだが、「飯塚の演技が上手い」という設定を成立させるためにあえて少し下手な演技をしているのがさらにすごい。(「俺たち結婚するんだ」というセリフがやけに棒読みだったり)
他にも、このギリギリありえそうな設定を大ボケの角田がコミカルに演じることで、観る側にあくまでもコントらしく「ありそうでそうそう無い」場面に感じさせているところも好きだ。角田の喜劇的な演技、本当に最高。

さらに豊本の演じる豊美の女性らしい演技もすごい。常に少し顔の近くに手があったり、結婚を報告するシーンで恥ずかしそうに角田の袖を少し引っ張ったり、飯塚の演技を褒めるときに小さく拍手したり……女装したおじさんとは思えないくらい可愛い。
また、東京03は3人とも中肉中背で特徴的なビジュアルのメンバーがいない。普通なら女装しているというだけで一番目立ってしまいそうなところを、中ボケという立ち位置にしてあくまで登場人物の一人として機能させているのも面白い。


オチと伏線

このコントで一番好きなのはやっぱりオチとその演出。もしできるなら記憶を消してあの驚きをもう一度味わいたいと思うくらい好きだ。欲を言えば現地で生で観てみたい。
作中最後の豊美のセリフ「私たちは何もなかったっていう芝居を続ける」にもあるように、小芝居は角田にバラされてしまったけれど2人だけの秘密の芝居は今後も続けるという設定が少し怖くもあり、個人的には性癖に深く刺さった。飯塚が無言で頷き暗転する演出にも鳥肌が立ち、コントで興奮するという経験がクセになりお笑いにハマったといっても過言ではない。

また、私はこのブログを書くにあたって、東京03ファンアプリで購入できる、飯塚が使用した「小芝居」の台本を読んだ。台本には飯塚の手書きの修正や修正箇所についての補足説明も記載されている。
台本を読んでいると、飯塚の演技を褒めるシーンで角田の「経験者?」というオチの伏線にもなりうるようなセリフの補足的なセリフがカットされていることが分かった。考察厨の私は興奮してさらに解釈が深まったので、気になった方にはぜひおすすめしたい。


「小芝居」というタイトル

最後に、タイトルについて少しだけ。
最初に設定の話をしたように、誰かに頼まれて芝居しなければいけない場面なんて普通に生活していてもそうそう起こり得ない。
しかし、隠し事があったり嘘をついていたりすると「小芝居が必要になる場面」は誰にでもある。私自身も普段から小芝居しながら生きているということにこのコントで気付かされた。
そんな日常の中の芝居もすべて含めて「小芝居」というタイトルにしているところが本当にすごい。そしてなかなか設定を出せない角田を尻目に、このネタをサラッと書きあげた飯塚悟志さん、本当にすごい。


ここまで長々と一つのネタについて書いてきたけれど、「小芝居」の他にも面白いコントが山ほどあって、いくつかはYouTubeの公式チャンネルでも視聴できるので、空いた時間にぜひ!

そして、普通のおじさんの皮を被った3人の天才が今年もネタ作りと稽古に励んでいるそうなので、第22回単独公演「ヤな塩梅」、事態が収まったらぼっちオタクの私と一緒に観に行きませんか…!



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