「数分間のエールを」を視聴して
ものづくりを続けるか、辞めるか、何故ものづくりをしているのかというシビアな問題を善と悪という単純な二元論で語らず、溢れんばかりのエールで覆い尽くす、そんな際限のない青さに魅力を感じる映画でした!!
僕がこの映画に惹かれた一番の要素が織重夕というキャラクターでした。
何故かというと夕がああ見えて強欲だからです。
夕ってものづくりに対して彼方とトノ、二人が目指す理想を両方持っていると思うんですよ。
彼方のものづくりで人を動かしたいという理想を持っていることは言うまでもなく、トノの自分自身が創りたいものを創りたいという理想も彼方が夕のライブを聴いて創った渾身のMVの公開を解釈違いを理由に断るシーンから、夕がそれを持っているんだと気付かされるました。
やっぱりこういう細身で儚げな雰囲気なのに自分が本気なことにはとことん強欲になるギャップのあるキャラはいつになっても魅力的だしなにより僕の癖に刺さりすぎました。個人的に罵倒されたいです。
それはそれとして、二人の理想を持つ、これってありのままの自分で他人から高評価をもらうということだからプロとしてやっていくにはめちゃくちゃ厳しいと思うんですよ。
まあそんなことはおそらく理解していながらも反骨心で立ち向かう織重夕が私は好きなんですけどね。
後、個人的に好きなシーンが彼方が夕の弾き語りを聴くシーンなんです。
彼方が「人は日常で感じたことをモチーフに感情を乗せてMVをつくる」的なセリフを言った直後に夕の未明を聴いて心を動かされた訳なので、彼方は普段の日常じゃ感じることができない夕の呪いを情熱だと勘違いして感動したと思われますが、弾き語りしてる夕からしたら踏ん切りつかなくなるので皮肉ですよねw
ラストシーン、夕はMVが良かったとも素晴らしかったとも言わずただ、エールをありがとうと残すんですが、これが好きです!
彼方は先生の満足がいくようなMVをつくれなかったかもしれないけど、エールをおくってくれること自体が夕の作品、夕の未明をつくるまでの過程を賛美していることになっているんだと思います。
そしてなんといっても僕の地元である金沢が舞台であるということが事前情報無しで視聴したので驚きましたw
開始一分で鼓門が映し出されてたときは衝撃でしたねw
夕がドライブしている最中の片町の風景とか「ああ、ここ行ったことある!!」と心の中で思わず叫んでいましたw(片町から千里浜で自転車で行く彼方は化け物です)
片町、金沢城、千里浜など見慣れた地名が出るだけで作品に親近感が出たので、舞台の影響の強さを改めて感じました!
深堀りすると僕が見つけられないような演出にもこだわりがあるとは思いますが、物語やメッセージは非常に分かりやすく、老若男女誰が見ても面白い作品だと思います!
僕自身も周りに音楽活動している友達がいるので薦めてみます!!