「健康を食い物にするメディアたち」医療をベースにしたマーケティングが難しいなあということ

もともと医療向けの製品を扱う会社において、一般消費者向け製品のマーケティングをしていた立場から考えた、身体や健康に関する情報の発信についてのこと。

基本的に社内基準が医療だと、堅い。慎重という意味だけでなく、表現自体が堅く難しくなりがち。しかし一般向けの場合、代わりに伝えてくれる医療従事者はいない。わかりにくいものをわざわざ読もうという人は少なく、「正しいかどうか分からなくても、わかりやすいもの」に走った生活者が、結果、間違った医療情報に踊らされる。それを横目にため息をつく。

逆に、一般向けの市場の周辺では、ギリギリセーフというか、完全にアウトな表現のものの方が売れていたりして、そちらに傾く誘惑に駆られる。「他はもっとひどいから」という理由をつけて、自分たちの作っていたハードルを下げようと考える。良心が残っているうちは手前で踏みとどまるが、そのうち「ギリギリセーフのラインを探す」ようになってしまったら、他との違い、ベースに医療があるという強みが消えてしまう。

「正しい情報」を「わかりやすく伝える」ことを”怠った”責任を感じるべきなのだろうか?それとも、そんなことは不可能なのだろうか?

「健康を食い物にするメディアたち」を読みながらそんなことを考えていた。メディアについての本だが、メーカーの情報発信もメディアの一つと考えれば、無視できない話。もっと早く読むべきでした。


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