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世界一の美食の街・サンセバスチャンの食の民主化・美食文化形成

昨日はモリゼミオープンデイ。テーマは美食の街“サンセバスチャン”
子供の頃に美味しんぼにはまって、食を研究したいと思った時もあった私にとっては、早く現地に行って、現地の空気感を味わって食を味わってみたいと思う時間でもありました(笑)

ヌーベルキュイジーヌといえば、古典的なフランス料理よりも郷土料理からアイデアを得たメニューに斬新な調理方法というイメージでしたが、
食の民主化・美食文化が形成された起点でもあったのか!という気づきから始まりました。

そして、前半のレクチャーで出会った素敵な言葉。
「私のレストランだけが繁盛し続けるのは難しい。しかし、サンセバスチャン全体のレストランの質が上がり、繁盛し、お客さんを分け合えば、いいだけだ。」byルイス・イリサール

実際に現地のお目当てのお店に入れなくても、何が食べたいかを聞いてくれて、そのお店で修業したシェフのいるお店に連絡してくれる。
そんなオペレーションが店員さんにも根付いているのは素晴らしいですし
言葉の通り、お客さんを分け合う、しかもお店側の都合を押し付けるのではなく、お客さんのニーズもくみ取ってレコメンドしてくれる。
レストランの質が高いからこそできるサービスですし、また行きたくなりなる。

こんな素敵な環境が生まれたのも、レシピのオープン化から。
何事にもある一定状態から発展を遂げるには「情報のオープン化」ってキーになってくるのだなと思いました。
公開することによる透明性の確保、誰もが知ることができるからこそ
多様な視点でそこから新しいものが生まれてくる。
文化の継承って、オープン化による活性とそれによって元の文化を壊さないようにする保護の両面がワークしないとうまくいかないなと思いました。

サンセバスチャンで見ていくと…
古くからあった美食倶楽部。
豊かな地域とは決して言えない地域として生きる方向性を模索する中であたりまえだった美食倶楽部の文化、そこから価値を再発見して、この50年で変わってきた。
目で覚えるという徒弟制度、レシピを盗まれたら店がつぶれると言われていた環境も志ある方達によって変わってきた。
そして、教える側がレシピ化する過程で言語化することによって理解が深まり、互いに教えあうことで理解も含まり、地域全体の料理のレベルが一斉に向上していく。

その取り組みから、ついに観光局と官民連携。
でも、美食倶楽部がなくなるような取り組みはしてはいけない!
質の高い観光客に来てもらう。時間の価値、モノの豊かさの価値がわかる人に来てもらえる、質の高い観光を増やしていこうと明文化した。
そして、美食研究の拠点・バスククリナリーセンターを作った。
こういう単に経済発展をすればよいという方向ではなく、きちんと文化を保護する動きとセットで発展してきたところが素晴らしいです。

観光業で産業活性となるとどうしても観光客のための街になってしまいがち。
でも、そこに住む人の歴史、文化に対する誇り、それらを維持しながら暮らす、自分たちが居心地の良い街は変えずに、
これを守るための活動を貫くからこその魅力が出てきて、外からも人が来る。
これこそが、望ましい姿なのではないかなと思いました。

まとめると
・気づき、その文化の中心となる人のコミュニティ作り
・年齢や分野にとらわれない学びのシェア
・学びのアウトプットの場の提供
ここまでワークして土台ができて初めて、
・広く発信するためのメディア活用・ブランド化
・発展的継承を実現するためのテクノロジー活用
に至ることができる。

そんな時に目に入ってきた福島県の大内宿の住民憲章。
島根県の大森町にも住民憲章があるらしい。
伝統文化をどう継承するか、自分たちはどういう街に住みたいのか
住民憲章がある地域の活動を調べながら、考えてみたいなと思いました。

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