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第7話 国債の担保は国民の預金なのか

今回は財政破綻によって、国民の預金が国の没収にされるのではないか、という危険性について考えてみる。実際、日本でも過去(昭和2年)に金融恐慌が起こり取り付け騒ぎが発生した。

ちなみに、国民と国は直接には債務者、債権者の関係にないので、国民の預金が国に没収されるということは直接的にはなく、銀行の経営が悪化することで預金が下ろせなくなる、というのが正解である。ここでは銀行の経営と国債の発行がどのように関係するのかを見てみたい。

そもそも銀行はどうやって利益を出しているのかというところだが、基本的にはお金を貸して貸したお金に対して利息をもらっている。貸したお金が返ってこなければ大きな打撃になる。銀行は国から国債を引き受けているので、この国債が不渡りになれば当然銀行の経営は大打撃を受ける。これが、財政破綻によって国民の預金が国に没収されると考えられている主な理由と考えられる。

ところが実はこれは当てはまらない。銀行は国債を日本銀行に引き受けてもらうことができる。つまり債権を日銀に譲渡することができるのだ。もともとは、債権の日銀への譲渡は制限されていたが、2013年の量的質的緩和政策によりその制限も撤廃された(インフレ率2%達成までの期間限定)。

この辺りは前回に書いた国の借金は誰に対して返すのか?と全く重複した話になってしまうが、日銀と国は子会社、親会社の関係になるので日銀が引き受けることで債権は消滅する。結論として国債の発行により国民の預金をが没収されることはないのである。


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