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将来は小さなお店を

求人の面接をしていて、将来はどうなりたいですか?と聞くと、ほぼほとんどの人が「将来は小さなお店を持ちたいです」と言う。かなりの確率で。80%は優に超えるのではないか。もうこの言葉は、信ぴょう性10%くらいの感じで聞き流すことにしています。私も昔は言っていたのかな。どうだろう。そんな若かりし自分にかける言葉があるとすれば、一言「若気の至り」。小さなお店ならラクに持てると思ったら、とんでもないことです。

小さなお菓子屋さんだろうと、ゼロからお店を持つのは、結構大変だと思う。まずは、自分がどんなお菓子をつくる人なのか、そこの軸をつくるというのはすごく悩みが深いところ。画家でいえば画風というか、そういう味や雰囲気を自分で持つというのは、自分自身を客観的に見つめる視点というのが必要で、その深層心理までを深く掘るつらい作業もある。
フランス留学で、自分のお菓子のスタイルが見つかるかと思ったけど、23歳で1,2年フランスに行ったぐらいでは、正直なところ見つからなかったです。フランスから帰ってきて、仕事をしながら、池袋のコミニティカレッジで開講されていたCUELのハギワラトシコ先生のフードコーディネーター講座を受講しました。料理の本をつくってみようというテーマで半年ほど「自分のレシピ本」について考えながら、自分はどんなお菓子を作る人なんだろう・・・と一生懸命考えたりして。で、そこで本にしながら、いろんな人とお菓子の関連性を絡めたりしながらテーマを決めて、そんな中でだんだん見えてくるものがあったんですよね。あそこで糸口がつかめた気がします。そのあと、フードイベントを何度か開催したりして、そのスタイルがだんだんとフォーカスされていった気がします。

21歳頃から始めたフードイベントの企画は、最初はピアノの発表会をするような気持ちで、そしてだんだんとイラストレーターさんが個展を開いていくような気持ちで発表の場として開催しました。同時に自分自身を知るためでもありました。イベントひとつとってみても、どんなイベント形態にするか、テーマを変えてもそのスタイルが持続できるか、それにお金を払っても来てくれる方がいるのか、そのための集客のためのお知らせの方法、スムーズな運営の方法・・・やってみると、恐ろしく大変でしたが、大きなやりがいがありました。この経験は本当にお店に少しずつ繋がっていくことにもなりましたし、一人では何もできないので、手伝ってくれる人達の采配というのも大きな経験でした。手伝ってくれる人達には、最低でも交通費になるような金額と、最後にみんなで楽しく打ち上げして御礼をするというのもお約束で、自然にお店の小さな運営や経営のようなものを単発的に経験していたんだと思います。イベント開催で大きな収益を得ることはありませんでしたが、借りていた会場の会場費、材料費、お手伝いしてくれる人へのお礼の金額などなど、いろんな経費を考えた上でのイベントへの参加費というのを最初に設定することが必要でした。イベントだったので、打ち上げて1回で終了するというもので、あまり継続性を考えることはなかったのですが、これが決定的なお店との違い。お店は、次の仕事のために、きちんと売上を出して、継続していかないといけない。イベントでも大変だったけど、継続するということは本当にまた違った能力を要するのでした。

最近友人がお店をオープンして、オープンまでのいろんなことをお手伝いしたりしましたが、お菓子屋さんの仕事として、内装やらメニューやら業者さんを決めたりするのはいいのですが、一番大切なのは、日々淡々と働く仕事を決める仕組みやルール作りなんだな。と少し遠いところから眺めていると、つくづく感じています。一人ではできないので、スタッフそれぞれの仕事の範囲を決めて、うまく回る仕組みを決めたり、スタッフにとっては淡々と仕事をしたら終わる日々になるように、そしてきちんと利益が出るように。自分の思っているカラーをきちんとお客様や世の中に伝えられるように努力しながら、仕事や売上のボトルネックになっている部分を感覚的に察知して変更したり、時々世の中に対してお店の存在意義を客観的に見つめ直しながら、そのお店の雰囲気を崩さないようにアイデアを出し続け、新しいことにも挑戦したりすることも必要です。

小さくても大きくても、お店を作るというのは、結構大変です。まずは自分のお菓子のスタイルを確立できる位まで知識や技術を高めつつ、世の中のどこの位置に必要とされるのか、そこでの存在価値を感じつつ、日々淡々と仕事することで売上、利益が出る仕組みをしっかりつくることがお店の仕事なんだと思います。

大変だからといって、やらなきゃいいとも思いません。行動することで開ける景色が変わって考え方も変わります。考えているだけではだめで、行動することの一歩を踏み出さなければ、客観的には立ち止まっている状態です。勇気がいることではありますが、私も行動して、行動し続けることで、気がついたら周りの景色が全然違っていました。エキサイティングな人生です。時々ご褒美のような仕事が舞い込むこともありますし、夢のような出会いも待っています。romi-unieの中では、切り込み隊長としての役割をしっかり自覚しながら、楽しく突き進んでいきたいと思います!

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